第一話 ようこそバグ力養成学園都市へ!
ライブ感で書いています、頭を空っぽにして読んでください。
「コイツ、ウサギの様に跳ねまわりながら銃を乱射しているぞ!」
そこには銃を両手に持ちながら一定の速度で地面を跳ねまわる一人の少年がいた。
「チーターは全員民殺しだ!!」
チーター、それは悪に屈した証拠として親玉のハンバイ・ギョウシャから力を受け取り世界を混乱に招き入れる者達の事だ。
(チーターと言っても、ここに居るのは全員壁が透けて見えるぐらいの雑魚能力だけか...)
少年はそんなことを考えながら一人一人と銃弾を頭に打ち込んでいく。
「助けてくれェ!!」「死にたくない!!」「俺達が悪かった!」
「いいねぇ、もっと泣き叫べ!!」
しかし少年はその悲鳴を聞くとさらに口角を上げて歓喜の顔を浮かべた。
その顔はまさに悪魔のような笑顔だった。
銃声が消え、辺りが静かになった時には立っている人間は少年一人しかいなかった。
少年は銃を背中に戻し、胸ポケットから携帯電話を取り出した。
「こちら西園寺 聖夜、依頼を只今完了いたしました」
「そうですか、ご苦労様」
通話相手の返事は酷く簡素な物だった。
(お前の代わりに仕事をしたのにそれだけか? いつか他の奴らと一緒に絶対ブチ殺してやる)
少年は平静を保ちながら心を殺意で燃やしていた。
そして、電話が切れると一人少年は呟いた。
「なんで俺様がこんな生活を過ごさなければいけないんだ…」
────俺の人生が狂いだしたのはこの日からだった。
「おら、俺の靴を舐めろ!」
「そんなのできないよッ!」
「それならお前の靴を舐めてやろうかッ、アアンッ!?」
シャツを無理やり破って袖を無くしたヤンチャな生徒が一人の大人しそうな生徒を苛めていた。
「あの子可哀そう、入学早々靴舐めの斎藤に目を着けられちゃったよ…」
「誰か止めてあげなよ」
彼女達はひそひそと心配そうに彼らを見ていた。その視線を遮るように俺は足を進めた。
「ここらへんで辞めておくんだな、ヤンチャな一年生君」
「何だテメ!?」
ヤンキーは驚いたような顔でこちらを見る。まあそれは仕方ない事だろう。
なぜならば俺は高校二年生で身長が180センチ以上、そしてなにより輝いて見えるほどのイケメンなのだから。
「あの人誰? モデルみたいにカッコイイ!」
「でも、服が厳つすぎない? 全身ゴールドじゃん…」
どうやら全校生徒の視線は一瞬で俺に奪われたようだ。目の前の男子達も俺に見とれて争いを辞めてしまっていた。
「暴れたい年頃なのは分かるが、やりすぎないようにね☆」
俺はそう言い残して皆の視線を集めながら校舎の中に入っていった。そして、俺のその優雅な後姿を誰かがジッと見つめていたことに気が付かなかった。
改めて説明しよう。俺の名前は西園寺聖夜、何の変哲もありすぎる日本一の財閥グループの御曹司だ。
顔はイケメンで高身長、常に学業もトップを駆ける天が間違えて一物を与え過ぎた人間で一番神に等しい生物だ。
学校でも二年生ながら生徒会長を務め、告白された回数は数えきれない程だ。
まあ、自己紹介はここまでにしておこう。俺の良い所を言い出したらキリがないからな。
ともかく、俺が凄い人物でこれらから経済を回す人間だと認識してくれればいい。
そう、俺はこのまま高校を卒業すれば正式に父から実権を譲渡されることが決まっている。勿論海外の名門大学も通いながらの仕事となるがな。
……そう、俺の人生は順風満帆だったんだ。
「貴方には才能があります、バグ力戦闘者としての才能が」
そう言って今朝の騒動でチラッと見た一人の女子が帰路の途中で俺にそう告げた。確か俺に熱い視線を向けていた女子の一人だったかな。
「厨二病か…」
「違います」
…思ったことが口に出てしまった。
「ともかく、貴方を規則に従いバグ力養成学園都市へ連行いたします」
連行? 規則? 何を言っているんだ。俺がそんなことを考えているうちに奴は特殊なスプレーを顔に向けて噴射し、意識を失ってしまった。
意識が戻ると、俺はまるで夢のような光景を見ていた。あるムキムキの男子が空を高速で駆け抜け、同じく前髪で目が隠れた大人しそうな女子が盾に乗って高速で飛翔している光景。
地上では人が壁をすり抜けまくっている。
「ナニコレ?」
「ようこそ、バグ力養成学園都市へ!」