尋問
なんとか無事に、プリクラを撮り終えると……。
「ほら、外に出るよ」
「お、おう」
外に出て機械の側面に立つと……さっき撮ったものと思わしき映像が出てくる。
そこには変な顔をした俺と、可愛く笑っている葉月の姿がある。
「うわっ、私ってば可愛くないし」
「そうか? 普通に可愛いが」
「……へっ?」
「……へっ? ……あっ……い、いや、一般的な意見ってやつだ」
「そ、そう……」
し、しまった。
思わず、心の声が漏れてしまった。
実際に、めちゃくちゃ可愛いし。
「というか、葉月は基本的に写真写りが良いし。俺の顔なんか見てみろよ、我ながらひどい」
顔は引きつってるし、ニヤニヤと気持ち悪い顔をしている。
写真慣れもしていなければ、女性慣れもしてないので仕方がないと思う。
「確かに、野崎君の顔は変だね。もっとリラックスしないと……うん? 基本的に写真写りが良い? ……どういう意味? 私の写真を見たことあるの?」
「……あっ」
しまった! つい、和也君の家でみた卒業アルバムが浮かんでしまった!
「野崎君? ……どういうことか説明してもらうよ?」
「……はい」
その後、プリクラの落書きを終えた俺たちは、ジュースを買って近くのベンチに座る。
もちろん、ジュースは俺の奢りだ。ちなみに、プリクラ代も。
そもそも、俺が付き合ってもらってるわけだし……だから許してくれないですかね?
「それで、なんで知ってるの?」
「いや、実は……和也……佐々木君の家で卒業アルバムを見まして……」
「あぁー……そういうこと……そういや、一緒の学校だったし」
葉月は顔を両手で押さえて、下を向いてしまう。
やっぱり、俺に見られるのは嫌だっただろうか?
「あっ! 悪いのは俺だから! 佐々木君が葉月と同じ中学だって言ってて、その流れで卒業アルバムを見るかって話に……」
「べ、別に怒ってないし。そういうことは、友達の家に行けばよくあることだし。それよりも……変じゃなかった? 髪は黒いし、真面目な顔してるし」
「変? ……いや、別に。今とは大分違うなとは思ったけど。というか、真面目な顔してなかったらおかしいし」
「ふーん……野崎君は、あっちの方が良かったりする?」
「うん? なんか、佐々木君にも同じこと聞かれたなぁ。別に、どっちでも良いんじゃないか?」
「むぅ、それってどうでも良いってこと?」
「いや、どっちにしろ葉月は葉月だろうし」
「……ふふ、そっか。じゃあ、勝手に見たことは許してあげるし」
「ほっ、助かる」
「じゃあ、UFOキャッチャーしよ!」
どうやら、ご機嫌は良くなったらしい。
まあ、その理由はわからないけど……別にいっか。




