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WEB作家で陰キャの俺、小説を書いてるのが陽キャのギャルにバレる~そしたらラブコメみたいな展開になった~  作者: おとら@7シリーズ商業化
一章

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楽しい時間も終わり

 その後、なんとか地獄の時間は過ぎ……。


 四時ちょっと過ぎの時間になる。


「あなた達は、時間は平気なの?」


「えっと、五時半くらいに帰れば大丈夫です」


「そう、この後はどうするの?」


「さあ……何したらいいんだ?」


 また小説や漫画を見てもいいが、それは一人でもできることだし……。


 こういう風に人が集まった時って、何をしたらいいんだ?


「この子ってば……はぁ」


「し、仕方ないだろ。人と遊ぶことなんかないし」


 すると、何やら温かい視線を感じる。


「にいちゃん! 俺が遊んでやるぜ!」


「わたしも!」


 ……幼稚園児や小学生に遊んでもらう高校生……我ながら悲しすぎる。


「そうね、遊んであげようね」


「おい? 流石に傷つくんだが?」


「ふふ、ごめんね」


 そう言い、俺の肩をポンポンする。


 そんなことが、なんだか無性にむず痒い。


「じゃあ、お姉ちゃんも遊んであげるわ」


「いや、いらない——」


「何か言ったかしら?」


「い、いえ……ナンデモナイデス」


 鋭い視線に晒されて、俺の意思は粉砕された。


「じゃあ、決まりね……恵梨香ちゃんは、何かしたいことある?」


「うんと……トランプ! あのねっ! この間覚えたの!」


「えぇ〜トランプかよー。俺はテレビゲームとかやってみたい」


「こら、アンタはお兄ちゃんなんだから」


「でもさ……俺んちにはないし、そういうの全然やったことない。友達の話にもついていけないし……」


 最近のゲームは高いし、持っていないのも無理はないか。


 しかも、俺もそうだった……あの頃は姉さんも学生で、俺のゲームを買う余裕などなかったし。


 学校で話についていけず、友達ができなかった……と、言い訳をしてみる。


 俺は拓也の頭に手を置き……。


「大丈夫だ。また今度来たら、ゲームしような」


「また来ていいの!?」


「ああ、もちろんだ」


「わかったっ! ならトランプでもいい!」


「ふふ、わかったわ。じゃあ、用意するわね……えっと、確かあそこにしまってあったはず……」


 リビングに置いているタンスの中を、姉貴がごそごそすると……。


「良かった、あったわね。じゃあ、テーブルでやりましょう」


「「はいっ!!」」


 二人はいそいそと、テーブルに座る。


 すると、葉月が近づいてきて……。


「野崎君、ありがとね」


「ん? ……ああ、さっきのか。いや、別にいいよ。また連れてくるといい」


「うん、そうするね。それもいいけど、今度は私一人で……」


「はい?」


「うんん、何でもないし。ほら、野崎君もいこ」


 葉月に背中を押され、俺もテーブルに座り……トランプが始まる。






 ……結果からいうと、トランプはめちゃくちゃ盛り上がった。


 恵梨香はもちろんのこと、拓也や姉貴まで……。


 そして、俺も……そういや、大人数でトランプするのなんか初めてだったな。


 多分、葉月も楽しんでくれてるはず……。


「ふふふ、我が手の中のどっちにババがあるかな?」


 そんな中、楽しくなり、ついついそんな台詞が出てくる。


 こんな風に、ずっと遊びたかったことを思い出しつつ。


「そんなの決まってるわ——こっちじゃない方よ!」


「なっ——負けたぁぁ!」


「やーい! にいちゃん弱いぜ!」


「よわーい!」


「弱いわね」


 この三人に言われるのは仕方ない。


 実際、俺と葉月がほとんど負けてるし。


 多分、現役かそうじゃないかということかも。


「ほんと、弱いし」


「いやいや! 最後のは紙一重だろ!?」


「そんなことないし! あっ、もうこんな時間……」


「「えー!?」」


「わがまま言わないの。また来ていいって言われたからいいでしょ?」


 その言葉に、二人が渋々といった感じで頷く。


 その後、玄関にて……。


「お邪魔しました!」


「楽しかったですっ!」


「ええ、こちらこそ。いつでもいらっしゃい……あら?」


 その時、ピンポンの音がなる。


 面倒なので、そのまま扉を開けると……。


「お、お母さん!? どうしたの?」


「いえね、買い物帰りに挨拶だけでもって……」


「お母さんだっ!」


「ママー! あのね、あのね!」


「はいはい、あとでお話を聞きますから」


 三人の後を追って、俺と姉貴も玄関の外に出る。


「突然きてしまい、すみません」


「いえいえ、こちらこそ弟が娘さんにお世話になって……お弁当まで作ってもらってるみたいで。こちらとしてはお金を払いたいのですが……」


「いえいえ、平気ですよ。こちらこそ、物凄くお世話になってますから。結衣だけじゃなく、恵梨香や拓也まで……本当にありがとうございます」


 その親同士のような会話が気恥ずかしくなり、俺と葉月は少し離れる。


「も、もう……お母さんってば」


「はは……」


「でも、今のうちに……」


「うん?」


「今日は本当にありがとね?」


「お、おう」


 満面の笑顔で言われると、普通に照れる。


「それと、今度は二人でお出かけしよっか?」


「な、なに?」


「ほら、普通の高校生がしてることをしてみたいって。だから、放課後とかに遊んだりデートとかしたり……あくまでもラブコメイベントの参考で」


「ああ、なるほど……うん、確かにしてみたい」


「い、言っておくけど、エッチなことは違うからね!?」


「わ、わかってるし!」


「そ、そう、なら良いけど……じゃ、じゃあ、そういうこと!」


 俺から離れ、母親の元に戻っていく。


 ……ラブコメイベントか……。


 そんなの、どうでも良くなってきた自分がいる。


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