表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
WEB作家で陰キャの俺、小説を書いてるのが陽キャのギャルにバレる~そしたらラブコメみたいな展開になった~  作者: おとら@9シリーズ商業化
一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
36/63

それぞれ

 ある程度歩いた後、安全な道に入ったので、二人の手を放す。


 無論、目を離すことだけはしない。


 子供というのは、どんな行動するか予測がつかないからな。


「パンケーキ~パンケーキ~」


「お兄ちゃん! ファミレスのパンケーキっておいしいの!?」


「うまいぜ! フワフワで家で食べるのとは違うぜ!」


「わぁ~! たのしみっ!」


 そんな姿を見ていると、何やら心が暖かくなってくる。


 よくわからないが、父性ってやつなのか?


 パンケーキくらいなら、食べさせてあげたいと思ってしまう。


「ご、ごめんね」


「うん? 何がだ?」


「その、お母さんが変なこと言ったり、拓也や恵梨香が騒がしかったり……」


「いや、別に気にしてない」


「そ、そう……」


 横目に葉月を見ると、自分の手でポニーテールをいじっている。


 ……なんかめちゃくちゃ可愛く見えるのはなぜだ?


「え、えっと、恵梨香はファミレスにいったことがないのか?」


「いったことはあるんだけど、小さくて覚えてないみたい。あと前も言ったけど、いったとしてもファミレスでパンケーキは高いから」


「そういや、言ってたな」


 まだ二週間くらい前なのに、そんな感じがしない。


 ……それだけ俺が、この状態を楽しんでるということか?


 楽しいと、時間はあっという間に過ぎるというし。


「ねえ、聞いてもいい?」


「ん? なんだ?」


「今日は、どうしてそんな恰好してるの?」


「……やっぱり変か?」


「へ、変じゃないし!」


「別に気を遣わなくていいぞ。自分でも、慣れない格好なのはわかってるし」


「変じゃないから困ってるし……」


「はい?」


「そ、そうじゃなくて! 恰好の理由を聞いてるし!」


「あ、ああ……姉貴が、相手の親御さんに好印象を与えてきなさいって」


「そ、それってどういう意味?」


 こちらを伺うように、上目遣いをしてくる。


 ……お、落ち着け、俺。


「いや、小さい子供を預かるなら、きちんとした格好をしなさいって。お母さんからしたら、知らない男なわけだし」


「……もう!」


「いてっ!? なぜ叩く!?」


 何故か、肩を思い切り叩かれた。


「そこは冗談でも、私のためにって言うところだし! そんなんだから、ラブコメが書けないんじゃないの?」


「ぐぬぬ……」


 確かに、葉月の言う通りだ。


 ラブコメの主人公なら、そういうことを言いそうな気がする。


 よし……ここは、頑張ってみるとするか。


「ふふ~ん……言えるなら言ってみてもいいけど?」


「は、葉月が可愛い女の子だから、それに釣り合う恰好にしてきた……それと今日の洋服、よく似合ってると思う。あと、ポニーテールもいいと思います」


 こ、これでどうだ?


 くそ、自分の心臓がうるさい……!


「……」


「葉月……?」


 恐る恐る、葉月を見てみると……そっぽを向いている。


 ……失敗だったか。


「はぁ……」


「ようやく、言ってくれたし……」


「へっ?」


「とりあえず——合格!!」


 背中をバシンと叩かれる。


 しかしその顔は、見たこともない微笑みを浮かべていた。


 その笑顔に、俺の心臓が跳ね上がる。


「お、おう」


「えへへ……拓也! 恵梨香! あんまり先にいかないの!」


 葉月は走り出し、二人に駆け寄っていく。


 ……叩かれた背中は、結構痛い。


 それこそ、背中が熱くなるくらいに。


 でも……何やら、それ以外の熱を感じる気がする。





 ◇


 ふふ、髪型も洋服も褒めてくれた。


 私は上機嫌で、二人に駆け寄っていく。


「おねえちゃん、顔あかいよ?」


「どうしたんだよ、そんなに笑って」


「き、気のせいよ」


 ほんと……なんか、昨日から変な感じ。


 家に帰ってからも、ずっと落ち着かなかったし。





 あの日、私は家に帰ったあと……布団の中で悶えていた。


 幸い、お母さんが早く帰ってきたので、二人を連れて買い物に行ってるから平気だ。


「何あれ? えっ? やばくない?」


 脳裏には、私をかばう野崎君の声と映像がリフレインしてる。


 ……不覚にも、カッコいいと思ってしまった。


「いやいや、普段からああすればラブコメじゃん。というか……ドキドキさせるのは私のはずなのに、こっちがドキドキしてるし」


 まずいなぁ……どうしよう?


「と、とりあえず……落ち着け、私」


 これは吊り橋効果っていうか、いっときの感情かもしれないし。


 ひとまず、色々と確かめてみないといけないよね。


「そのためには、まずは野崎君と色々なところに行ったり、色々なことをしてみたり……」


 明日は早速出かけるし、何かアクションを起こしてみようかな?


「うーん……あっ、髪型変えてみる? というか、洋服も決めないと」


 布団から出て、自分の引き出しを開けてみる。


「……私、お金ないからあんまり洋服ないしなぁ」


 放課後は制服で過ごしちゃうから楽だけど、休日はそういうわけにはいかない。


「えっと、確か可愛いスカートがあったよね……あとは靴は綺麗なのあるし、上はパーカーとかでも良いかな?」


 別に、ファミレスに行くだけだし、あんまり気合い入れてると思われるのもアレだし。


 野崎君も、普通の感じたと思うし。


「そうなると……髪型かぁ」


 三つ編み? サイドテール? おでこあげる?


 結局、みんなが帰ってくるまで鏡の前で格闘するのだった。





 それで洋服や髪型が決まったのは良いけど……。


 なによ、野崎君ってば……普通にお洒落してきちゃって。


 髪型が違うから、いつもより顔がよく見えるし……うん、やっぱり素材は悪くなさそう。


 というか、ドキドキさせるはずなのに……こっちがドキドキするし。


 もう——なんなのよ、この気持ちは……。













評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ