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WEB作家で陰キャの俺、小説を書いてるのが陽キャのギャルにバレる~そしたらラブコメみたいな展開になった~  作者: おとら@9シリーズ商業化
一章

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絡まれる

 その日の昼休み……葉月から弁当を貰った俺は、いつものように教室を出る。


 葉月は、いつものメンバーで飯を食うらしい。


 たまにはなんちゃらとか言ってたな。


 付き合いをしておかないと、面倒なことになるとか。


「リア充って言うのも大変だな」


 いや、社会人になると必須能力だって、アキトさんが言ってたな。


 作家でも、営業力やコミュニケーション力はいるって。


 人対人である以上、それは避けられないと。


「はぁ……そういうのが苦手だから、作家の道を選んだ部分もあるのに。まあ、もう本気で作家になりたいって思ってるから頑張るしかないよな」


 そのためには、最低限のことはやっていくか……面倒だけど。





 そして、校舎裏で弁当を食べる。


「うん、うまい」


 卵焼きが甘めで俺好みだ。


「うまいはうまいんだが……なんだ?」


 なんだか、物足りない。


 強がりではなく、俺は一人が好きということに嘘はない。


 だから、これはむしろ好都合なはず。


「……葉月がいないからか」


 それを寂しいって思ってるのか?


「まじか……まだ、二週間くらいだぞ?」


 それだけ、俺の中で大きくなってるってことか?


 ……好きだとか。


「いやいや、俺が単純に女子に慣れてないだけだろ」


 そんなことを考えつつ、弁当を食べ終わると……。


「ん? 雨か……仕方ない、中に戻るか」


 これだから、梅雨の時期は嫌なんだよなぁ。


 俺は仕方なく、もう一つの隠れ家である体育館に行く。


 昼休みを終えた陽キャなどが遊んだりしてうるさいこともあるが……。


 体育館の裏には屋根がついているので、こういうときは使ったりする。






 ……しまった。


 体育館の裏に、誰かが先にいる。


 しかも、髪が金髪でガタイも良くて、いかにも悪そうな見た目の男子だ。


 もはや絶滅危惧種であるヤンキーってやつか?


「……こりゃだめだ、仕方ないから教室に戻るか」


 静かにその場から立ち去ると……前から見覚えのある奴がやってくる。


「おっ、野崎じゃん」


「……おう」


 やばい、誰だ?


 多分、一年のときに同じクラスだった気がする。


 リア充グループの一人だったはず。


「聞いたぜ、なんか葉月に付きまとわれてるんだって?」


「いや、そんなことないけど……」


「いやいや、最近一緒にいるじゃんか。まあ、あっちはお前をからかって遊んでいるだけだろうけどな」


「……そうかもな」


 別にそれ自体は否定しない。


 俺自身も、未だにそう思うことはある。


「まあ、顔は可愛いけど、俺はお断りだな。知ってるか?あいつ、放課後とか夜とか、おっさんと遊んで稼いでるらしぜ。いわゆるアレってやつだ。噂だけど、あいつならやってそうだし」


「はぁ?」


 こいつ、何言ってんだ?


 あの葉月に、そんな時間があるわけないだろうか。


 そもそも、お金がなくとも……そんなことをするような奴じゃない。


 付き合いは短いが、それくらいはわかる。


「お前も遊ばれてるだけだろ、あのくそ女に。それとも、なんか弱みを握ってるとか? だったら、俺にも教えろよ」


「……うるせぇ」


 俺の中に、ふつふつと怒りが湧いてくる。


 こんな感情は初めてだ。


「あん? なんつった?」


「うるせぇ! 俺が遊ばれてると言われるのは百歩譲っていい。だがな、あいつの悪口を言うことは許さん。あいつはくそ女なんかじゃない——めちゃくちゃいい子だ。俺は一緒に過ごしてて楽しいと思ってる」


 そういう風な噂があったかどうかは、人と関わってなかった俺にはわからない。


 だが。少なくとも……俺の知る葉月はそんな女の子じゃない。


「……なに調子に乗ってんだ? お前の意見なんか聞いてないんだよ」


 まずい……思い出した。


 こいつ、確か……空手部のやつだった。


 だが、だからといって退くわけにはいかない。


 俺は腹に力を込めて、相手を睨みつける。


「……生意気……お、お前は」


 なんだ? 後ろに誰かいるのか?


 俺が振り返ると……先ほどのヤンキーがいた。







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