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WEB作家で陰キャの俺、小説を書いてるのが陽キャのギャルにバレる~そしたらラブコメみたいな展開になった~  作者: おとら@9シリーズ商業化
一章

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21/63

陰キャ、頑張る

 その後、放課後を迎え……。


「じゃあ、また明日ね!」


「おう」


 葉月が席を立ち、教室から飛び出していく。


 聞いてはいないが、おそらく弟か妹のお迎えだろう。


 俺の姉貴がそうだったように。


「さて、俺も帰るとするか」


「おい、待てよ」


 ……ついに来たか。


 いや、遅かったというべきか。


 三浦って言ったっけ?


 軽く染めた茶髪に、着崩した制服姿。


 顔は整っているし、身長も180くらいある。


 ……どう考えても、アレの件だよなぁ。


「何か用か?」


「いいからついてこい」


「断る」


 俺は腹に力を込めて、言葉を発する。


 そうしないと、足が震えそうになるからだ。


「……はっ?」


「俺に何のメリットがある?」


「お前、調子に乗るなよ?」


「いや、そういうわけじゃなくて……何の意味があるのかと」


「意味? 俺がお前に聞くことがあるからだよ」


 あぁ……いやだ。


 こいつらは、自分の話を聞いてもらうのが当然だと思ってる。


 俺の一番、嫌いなタイプのリア充だ。


「俺は、お前に話すことはないけど?」


「何だと?」


「どうして、俺が話を聞くことが前提なんだ? 俺はやることがあって忙しいんだが」


 俺だって、そこまでクソじゃない。


 葉月のように、いい奴だっていることもわかった。


 でも、多分……こいつはダメだ。


 俺だって『今日の放課後は時間あるかな?』とか言ってくれば、話くらいは聞く。


 だけど、こいつは俺がついてくることを当たり前のような前提で話をした。


 それが、俺には許せない。


「いやいや、ぼっちのお前には時間はあるだろ?」


「ないよ。じゃあ、そういうことで」


「お、おい!」


「ちなみにだけど……葉月とはただの友達だから安心していい」


 その言葉を残して、教室を出て行く。






 ……プハァ!


「き、緊張した」


 校門を出るまで、何とか耐えきることができた。


 足は震えてなかったか?


「……あんなリア充と話すことなんかないし」


 そもそも、話す内容はわかってる。


 葉月のことに決まってる。


 話を聞くのは嫌だが、アレだけは言っておかないと。


「というか、時間がないのは事実だし」


 あのままついて行ったら、長くなる予感があった。


 下手すると、一時間くらい。


 そんな暇があったら、小説が1話かけるし。


「おっと、そうだ……電話しないと」


 携帯を取り出し、ラインの通話ボタンを押す。


『やあ、天馬君』


「アキトさん、こんにちはです。お時間は大丈夫ですか?」


『いやいや、電話するように頼んだのは私だから』


「それでも、お忙しい方ですから」


 web更新と、書籍化作業を二作品、他にも原作者の仕事などもしている方だ。


 本業のライターの仕事もあり、多忙な生活を送っていると聞いたことがある。


『まあ、有難いことにね。それで……例の女の子はどうかな?』


「えっと……色々と作品を読んでくれてたみたいで」


 その後の出来事を説明する。


『……これまた、面白いことになってるね』


「まあ、たしかに」


『ラブコメイベントか……うん、いいね。その内容をまとめて、私に送ることは可能かな?』


「はい? ……それは構わないですけど、理由は聞いてもいいですか?」


『おっと、すまない。つい興味が湧いてしまったね。まあ……恥ずかしい話だが、私は結構な年だ』


「いえいえ。たしか、まだお若いじゃないですか」


 Twitterのスペースや、招待された人たちだけで話せるディスコードという機能がある。


 そこで話をしたが、ハスキー声だけど若そうだったし、三十歳は超えてないと言っていた。


『君に言われるとあれだね。まあ、少なくとも、学生の頃の記憶は薄れているわけさ』


「まあ……それはそうでしょうね」


『そこでだ……君の文章や話を通じて、私に疑似体験をさせて欲しい』


「なるほど……小説の資料ってことですね?」


『その通りだ。青春モノや、ラブコメ小説……それらの参考になるかもしれない』


「わかりました。では、出来事や試したイベントなどをまとめておきます」


『うむ、すまないね。君のスランプを利用するようなことを』


「いえいえ、アキラさんにはお世話になってますから」


 忙しい中、俺の文章を読んで感想をくれる。


 他の作家さんにも、俺という存在を紹介してくれたりも。


 たかが、一高校生の俺をだ。


 アキラさんには、なんの得もないだろうに。


『ふふ、こちらこそだよ。若い人達と関わることなんかそうそうないからね。君は、私達の役に立っていないと思っているかもしれないが、そんなことない。私達作家は、良くも悪くも自己中だ。きちんと、君から得ているものはあるから気にしなくていい』


「……そういうものですか」


『君にも心当たりがあるだろう? こんなことしてる暇があったら、小説を書きたいとか』


「……さっき思いました」


『ふふ、いい傾向だ。悲しいが、それが作家への第一歩だ』


「なるほど……たしかに、普通の人っていないって聞きますけど」


『君もそうだよ? 小説を書く時点で、普通ではないしね』


「それはわかります」


『ならいい。では、また連絡待ってるよ』


「はい、失礼します」


 そこで通話が切れる。


「普通じゃないか……まあ、そうだな」


 俺たちは現実の人達ができないこと、または自分が伝えたいことを書いている。


 すべての人が、自分の言いたいことが言えるわけじゃないから……。




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