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プロローグ

陽キャや、特にギャルは嫌いだ。


煩いし、クラスでは偉そうにしてるし、オタクを馬鹿にする。


でも、それをみて斜に構える自分(陰キャ)がもっと嫌いだ。


自分が惨めになるし、そんな暇あったら自分のために使いたい。


だから、関わらないのが一番だったのに……あんなことになるとは。










散々せがまれて、仕方なく小説を見せたのは良いが……。


まさか、こんなに食いついてくるなんて。


「ねえ!? これの続きは!?」


「まだだよ! 無茶言うなよ!」


「どうしてよ?」


「あのな! 小説一話二千文字書くには一時間かかるんだよ!」


「そ、そんなにかかるの!?」


「そうだよ! ……それに、なんだって俺の小説なんか読みたいんだよ? 可愛いし、リア充でギャルで、クラスの人気者のくせに……」


「か、可愛い……?」


「はぁ? そんなの言われ慣れてるだろ?」


「そ、そうね! ……えっと……なんだっけ?」


「だから、ギャルのくせに何で俺の小説を見たいんだよ?」


「どういうこと?」


「ん?」


「別にギャルだってネット小説見たっていいじゃん。何がダメなの?」


「……はっ? 何だ、今流行りのオタクに優しいギャルってやつか?」


だめだ、自分の嫌な部分が出てくる。


こんな言い方、絶対に良くないのに……だから関わりたくないんだ。


どんどん、自分が惨めになって……嫌いになる。


「なにそれ? 別に優しくないけど? 私は君の作品を見て、面白いと思ったから見たいって思っただけ」


「お、おう」


いかん……ニヤニヤするのを止められない。


作者としては、それが一番嬉しい言葉だから。


「あと、確かにオタクに優しいギャル?はいないかもしれないけど、オタクなギャルはいると思うけど?」


「うん?」


「君に比べたらあれだけど、私だって漫画とか読むし……にわかに見えるかもしれないけど——それじゃダメなの?」


「っ——!?」


……その真っ直ぐな言葉に、俺は言葉を詰まらせる。


そうだ、エンタメが衰退する理由の一つが、オタクによる排他主義だ。


中途半端なオタクを許さずに、そいつらを叩く。


本来なら、その人たちを取り込むのが正解なのに。


そうすれば客層は広がり、自分が好きな作品が打ち切りにならなかったりするかもしれない。


「それで、どうなの?」


「……わかった。明日まで待ってくれ。そしたら読めるはずだ」


「ほんと!? やった! 楽しみにしてるね!」


背中をバンと叩いて、葉月が去っていく。


この日から、俺と彼女の物語が始まる……なんてな、ラブコメ小説じゃあるまいし。


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