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よろしくお願い致します。
「ルーナが三次職!?」
ルーナ、冒険できないって言ってなかったか!?
それが三次職って……一体どういうことなんだ!?
「説明してくれルーナ!前は冒険者にはなれないって言ってたじゃないか!?」
魔力がないから冒険者を目指せないってことじゃないのか!?
「私が冒険者になれないって言ったのは、魔物が怖いからなの。決してイズルを騙すために黙ってたんじゃないわ!」
「魔物が怖いのに三次職になんてなれるわけないだろ!」
「なれるわよ!私は生まれつき魔力が高かったの」
そこに突風が吹き、今は廃墟となった我が家を砂埃が抜けていく。
ルーナはピンク色の髪を抑え、続けた。
「十才の時、私の魔力は160を超えていたの。すぐに三次職になれるとわかって、家族は湧いたわ」
「160!?」
そこで思い出した。ユウセイが言っていた、2年程前に最初の魔力鑑定で三次職となった姫様のことを。
「じゃあルーナが例の姫様ってことか!?」
「そんなことをどこで!?」
今度はルーナが慌てて聞き返してくる。
そこに父さんが帰ってきた。
「やめないかイズル」
時間はあまり経っていないが、もう落ち着きは取り戻しているようだ。
そうだ!ルーナを引き取った父さんは事情を知ってるはずだ!
「父さんも!知ってたのか!?俺だけ除け者にして……」
「ああ知っていた。だがこれは子供が知る必要のないことなんだ!」
「もう俺は子供じゃない!一人前の冒険者だ!」
「一人前の男なら!ここで、こんなところで、いとこの辛い記憶を掘り起こしたりはしない!」
ハッとする。辛い記憶?
初めから三次職になれることのどこが辛いんだ!
俺がその立場をどれほど望んだことか!
「辛い記憶だって?」
「ああそうだ。イズル。ルーナはただ三次職になったんじゃない。
そのことがきっかけとなって家族が大勢死んでる。
家族だけじゃない。スタンピードが起きて領内の大勢が亡くなったんだ!」
そんなことが起きていたのか。
親が亡くなったことと、そのことが繋がっていたと。
「じゃあ魔物が怖いっていうのも、それが」
「そう、スタンピードを間近で見たのが原因よ。あれを見てしまった私は冒険者にはなれないと思ってた」
「思ってた?」
「ルーナ、どういうことだ?」
「私も冒険者になる!私は魔物と戦える!
イズルを守るために。私も冒険者になるわ!」
俺はずっとルーナを守ろうと思ってたのに。
俺はむしろ、守ってもらう側だったってのか。
「冗談じゃねぇ!ルーナに守ってもらうなんて真っ平だ!弱虫!」
「イズル!」
またこれだ。
また家を飛び出してきてしまった。
冒険者になってからずっとこれだ。
ずっと心が通わない。
ルーナを振り切ってギルドにつくと、辺りは騒然となっていた。
「ユウセイどうしたんだ!?」
「おお!イズル!無事だったか!」
いつもの余裕はどこへやら。
ユウセイは俺の顔を見るなり抱きついてきた。
「おい、どうしたんだって」
「バフォメットが襲来したって。
お前も襲われたかもしれんと思って気が気じゃなかったんだ!
救援に向かおうにもギルド本部が情報収集中で動けないとよ」
「目撃情報はあるのですが規模も位置も不明なのです。
イズル様はなにかご存知ないですか?」
ヒルダはやや焦った表情で聞いてくる。
「……なにも知らない!」
俺はそう言い捨てて宿屋へと向かった。
心がささくれだっていた。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
少しごたごたしていて読みづらいかもしれませんが、次の次くらいからはまた明るい話になっていきます。
何卒よろしくお願い致します!




