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7話目です。お願いします。

目が覚めると、知らないところに寝かされていた。

「ここ、どこだ?」

「目覚めましたか?」

「ヒルダさん!」

てことは冒険者ギルドか。

それより!

「ミライは!ミライは無事なのか!?」

「無事ですよ。私達が到着するまで、よく持たせたね」

ヒルダの後ろに白い司祭服の男が立っていた。

黒い短髪に眼鏡の、いかにも知的そうな男だ。

「あなたは?」

「僕はセドリック。司祭系統の三次職、ビショップだ。……僕が彼女を助けたとき、君はまだヒールをしていたはずだけど?」

言われてみれば思い出してきた。

意識を失う寸前まで回復魔法を使っていたところに、こいつは現れたんだ。

こいつのおかげで、助かったのか。


「ありがとうございます!」

「当然のことをしたまでだ。

君の方こそ、よくヒールで持たせてくれた。

あれがなければ手遅れだったよ」


あれは意味があったのか!


「エクスヒールは身体の欠損も含めて回復ができる。

ヒールじゃあせいぜい失った血を増やす程度だ。

だけどそれのおかげで、あの子は失血死せずにすんだよ」


俺、人を守れたんだ。

冒険者になった最初の目標を達成できたのか。


「俺、ビショップになる。俺もセドリックみたいに、みんなを助けたい!」

「ヒーラーは大変だけどやりがいも多い職業なんだ。歓迎するよ」

「ありがとう!」


「さあ、元気になったなら救護室を出ましょうか。早速鑑定を行います」

「わかりました!」

俺たちは救護室を後にした。


受付までの道すがら、セドリックからクレリックについて教えてもらえることになった。

「エクスヒールはビショップにならないと使えない。クレリックになって使える回復スキルは、エリアオブヒール、ラージヒール、リフレッシュの3つなんだ」

「そうなんですね」

「範囲回復、大回復、状態異常の解除が効果なんだ。大丈夫。クレリックとしていく場所であれば、十分に通用するよ」

「なら安心ですね」

「そう!回復面は安心なんだ。

ただ攻撃面はかなり不安定なんだよ。

メイジから増えるのはセイントライトっていう聖属性の魔法だけだ。

そこがウィザードとの大きな違いだね」


もともと目指していたアークメイジの系統の二次職はウィザードといって、攻撃面に特化した職業だ。

当然比較すれば火力は落ちる。

だがそんなことは問題にならない。

「いいんです。モンスターを倒すだけじゃ守れないって、わかりましたから」

「そうか!」

セドリックは満足そうに頷き、肩を叩いてくる。

受付へと到着した。



「では鑑定を行います」

ヒルダがいつものように手を当ててくる。

「ゴールデンラット124匹!すごいじゃないですか!魔力も56まで上がっています!」

「おお!」

「二次職へも転職できますね。本当にクレリックでいいのですか?」

「お願いします!」

「二次職からは転職できませんが……」

「構いません!」

「では転職の儀を執り行います!」

ヒルダの背後からアレンが現れた。


「イズルか。もう転職とは、随分と早いな」

「ありがとうございます!」

「よしいくぞ!」

アレンの放つ金の光が俺の体を包み、輝きを増していく。

すぐに消えると、力が湧き上がってくる。

これが二次職の力なのか!

「おめでとう!これでお前はクレリックだ。イズルならもっと強くなれるさ。期待しているよ」

「ありがとうマスター!」


「それと今回の狩りの報酬です。お受け取りください」

そういって渡された額はとんでもない量だった。

金貨四枚に銀貨ニ枚。

今までの狩りと比べても破格の量だった。


「こんなに!いいんですか?」

「ゴールデンラットを100匹以上も倒したのです。これくらいは当然です」

「他のみんなも?」

「もちろん」


報酬は頭割りになっている。

それでも一人当たりの収入で、最初の十倍近い。


メンターをつけた場合の報酬が一割引かれていたのもあるが。


「それだけあればクレリック用の装備も買えるだろう。ローブや帽子はつけたほうがいい」

「わかりました」

セドリックは本当に親切だ。

俺も一人前のヒーラーを目指す!

だけど、

「その前に、三人に会いたいんですが」


アレンが頷づいて答えた。

「ああそうだな。連れて行こう」


冒険者ギルドからはアレンと二人で出た。

「えと、三人は無事なんですよね?」

「ああ無事だ。だが魔力不足だけの君と違って、怪我や脱水が激しかったからな」

そういってアレンが指を指すと、何やら白い建物が見える。

「あそこは病院だ。三人には医師にも見てもらうことにしたよ。念には念をだ」


病室に入ると、変わらぬ三人の笑顔があった。

「お前ら!無事だったか!」

「おおイズル!お前ぶっ倒れてたんだって?」

「イズル聞いたよ!ほんとにありがとね!」

「イズルさん!私ちゃんと助けを呼べました!」

「ゴンゾウはうるさいぞ!無事を喜ぶ場面だろうが!」

そういってゴンゾウに拳を見せると、ゴンゾウも拳を当ててきた。

「ナイスファイトだ、ゴンゾウ」

「お前こそ。ナイスガッツだ」


「それで、これからのことなんだけどね」

ミライがやや言いづらそうに口を開く。

「まさか、冒険者辞める気か?」

「いや、そうじゃないの。ただ私はイズルと組んでも、きっと足を引っ張っちゃうと思うんだ」

「いや、足を引っ張るだなんて!」

「ううん。私が一番わかってる。

ねえ、イズルはいま、魔力いくつなの?私は28よ」

魔力か。

「イズル君の魔力は56だ」

「マスター!?」


「冒険者の世界ってのは、全く平等じゃない。

そもそもなれる人自体がほとんどいないんだ。

こんなに才能に左右される世界なんざ、他にないだろうな」

そうだ。それは間違いない。

それにたしかに俺の方が力は上だろう。

でも、それでも俺はこいつらと……!


「ミライ君の言ってることは間違いじゃない。

イズル君はもっともっと強くなるだろう。

そこに彼らを連れて行くのは、彼らのためにもならない。

もちろん君にとっても」


「俺はこいつらと戦うのが楽しいんです!

なあお前ら、俺と一緒にこれからも組んでくれよ!」


「イズル……」

「イズルさん、私だって。でも私じゃ……」

「イズルもわかるでしょ?私たちには、支えられないよ」

三人は一様に顔を伏せる。

こいつらも俺と組みたくて、それでもお互いのために解消しようとしてくれてるんだな。


「パーティー内の魔力の不均衡は、君が思っている以上に危険なんだ。イズル君。

慢心、不平等、依存、責任転嫁。

そうやって崩壊してきたパーティーがいくつもある」


たった二十日。

でもそれはかけがえない時間だった。


「わかったよ、マスター。俺はこいつらとのパーティーを解消する」


「イズルは卒業だな!」

「ゴンゾウ、いつかまた組もうな!」

「ああ!待ってろよ!すぐにお前なんか追い抜くからな!」

「言ってろ!」

本当に、追い抜いてくれよ。ゴンゾウ。

俺は病室を後にした。


お読み頂き、ありがとうございました。


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