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よろしくお願いします。
「お疲れ様でした」
受付にはヒルダがいた。
「ヒルダさんもお疲れ様です」
「ユウセイはちゃんとメンターとして面倒みてましたか?」
「見てたよな!?」
「はい!きっちりと」
「それはよかったです。
では狩りの成果を拝見します」
成果?なにも持って帰ってきてないぞ?
ヒルダが手を伸ばしてくる。
そして魔力鑑定の時同様、銀の光が放たれていく。
「おお、オーディナルマウス512匹討伐ですか!
すごいですね!」
そんな詳しくわかるのか!
「ありがとうございます」
「ではユウセイさん」
「はいよ」
ユウセイもヒルダへと頭を下げ、鑑定を受けている。
「ユウセイは3匹ですか、サボってましたね?」
「誤解だ誤解!経験積ませるためにあえて手出してなかったんだよ!」
「どうだか」
「その3匹はこいつが魔力切れで危なかった時の3匹だ!
ちゃんと仕事はしたぞ!」
「ほんとですか?」
「はい!全部ほんとです!」
「そうですか。
ではメンター料と、討伐料を持ってきます。
少々お待ち下さい」
しばらくして、ヒルダがお金と紙を持って現れた。
「まずはメンター料の明細です。冒険者カード振込でよかったですね?」
「ああヒーちゃん。助かるよ」
「カード振り込みってなんですか?」
「冒険者カードに金を紐つけて登録できるんだよ。登録内容は鑑定で見れるから、他の街でも自由に引き出せるんだ。
冒険者ギルドがあればな」
「すごいですね!」
「所持金が多くなるまでは手持ちのほうが何かと便利だ。
カードで払える場所なんてのはギルド内くらいだからな」
「なるほど」
「ではこちらがイズル様の討伐料となります。
どうぞ」
「ありがとう!」
銀貨が4枚に、銅貨6枚、鉄銭が1枚だ。
どれくらいの価値があるんだろうか?
「すごい額だろう!」
「いまいち価値がわからなくて」
「最初はそういう方が多いですね。
明日にでも親御さんにお見せください。
今日は泊まっていかれてはどうですか?」
「え、泊まれるんですか?」
「ギルド直轄の宿屋があります。
十分な任務をされた方や、遠方から招聘された方は無料で宿泊できます。
イズル様も無料でお泊めできますよ」
「おお!ありがとうございます!」
「ユウセイ、今日はあんたが奢ってあげなさいよ」
「へぇへぇ。イズル!街に出て飯を食いに行くぞ。宿屋はその後案内してやる」
「ユウセイさんも泊まるんですか?」
「ああ。
俺は三次職だからいつでも泊まれるんだ。
俺の常宿ってところだな」
「そうなんですね」
その日はユウセイに案内されるまま、美味しい肉料理を堪能した。
翌朝。宿屋を出て家に帰ると、ルーナが抱きついてきた。
「大丈夫!?どこか怪我はない!?」
「ただいま!大丈夫だって」
「よかったっ!」
ルーナは涙まで浮かべて、ほんとに心配だったようだ。
「おおイズル。戻ったか!」
「父さんただいま!これ給料だって!」
そう言ってお金を見せると、父さんは驚いていた。
「そんなに!?随分無理したんじゃないか!?」
「うーんうん、ネズミ狩りしただけだよ?」
「ネズミ狩りで、銀貨4枚か。とんでもないな冒険者は」
「これって、どれくらいの価値があるの?」
「だいたい、銅貨1枚あれば一日暮らせる。
それだけあれば一月半暮らせるぞ」
「そんなに!?」
「ああ。冒険者は随分ともらえるんだなぁ」
「だね!」
そんな大金だったとは、驚きだ。
「ルーナ、俺もっと強くなって、もっといっぱい稼いでみせるよ!」
「イズル、強くなるのはいいことだと、私も思うわ。
でも絶対無理はしないで。
無理に稼いだりしなくても大丈夫なんだから」
「そうだぞイズル。お前はまだ子供なんだ」
「俺はもう、子供じゃない!一人前だ!」
「あ、イズル!待ちなさい!」
俺はやりきれなくて、家を出た。
こんなに俺はすごくなれたのに、どうして皆わかってくれないんだ?
いっそのこと、冒険者ギルドに泊まり込みで、ダンジョンに潜ろうか。
とりあえず今日もまた地下水道に潜るとするか。
あれから二十日がすぎた。
毎日のように地下水道に潜る中で、パーティーにも加えてもらうことができた。
メンバーは俺を含めてファイター2人、メイジ2人のバランスのとれた構成だ。
基本的にはファイター二人が戦い、メイジはファイターの回復をしつつ、逃げ出したり回り込んでくるマウスを倒すという連携をしていた。
「いやぁイズルが来てくれて助かったよ!
私一人でカバーするのは大変で」
俺の相棒のミライはそういって頭をかく。
黒い短髪に気の強そうな吊り目だが、見た目に反して穏やかな少女だ。
「ミライ一人のカバーじゃ不安だったな」
そう言い捨てるのはゴンゾウだ。がっちりした色黒の大男で、髪は栗色だ。
「そう言わないの。ミライちゃんだって一人で頑張ってたでしょ!」
アイラはいつもフォローをしてくれる。
金髪の長い髪が美しい少女だった。
ソロで潜る時はオーディナルマウスばかりの一層のみで、四人で潜る時には最下層までを往復して戦っていた。
「イズルはまだ冒険者になって3週間なんでしょう?なんでそんなに強いの?」
ミライが聞いてくる。
「それは俺も知りたい。
イズル。お前は魔力の伸びが大きいな。
コツでもあるのか?」
ゴンゾウは見た目の割に鋭い。
細かいところまでよく気がつくようだ。
「俺もよくわからないけど、一番はよく潜るからじゃないか?
ソロでも一層を戦っているし」
これは嘘だ。
確かにソロでも戦ってはいるが、俺は周りと比べ明らかに成長が早かった。
最初は俺が魔力15でパーティーメンバーでは一番低い魔力だったが、今では45になっている。
二次職になるのに必要な魔力は50だから、あと一歩と言えた。
一方で他のメンバーは25前後だった結成当時から2,3しか伸びていない。
「確かに、イズルが一番頑張っているわね!
私も頑張らないと!」
アイラはそう言って伸びをした。
俺をモチベーションに皆が頑張れるなら、嬉しいことだ。
「さ、今日も最下層まで行っちゃおう!」
「おう!」
俺たちは最下層へと続く門を開いた。
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明日も同じ時刻にお願いします!




