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よろしくお願いします。
「まずは使う魔法を決めようか」
「はい」
「どんな魔法が使いたいとかあるか?」
どんな魔法か。
「とにかく威力が高くて、広範囲にダメージを与えたいです!」
「あはははっ!そんな強い魔法は使えないよっ!まだ一次職だからね」
「そうなのか」
それは残念。
「まあ一番スタンダードなやつにしようか、ファイアボールって唱えてみて」
「ファイアボール!」
再び手の先へと力が吸い取られ、火の玉となって飛んでいった。
目の前のユウセイの元に。
「うわぁぁっ!なにすんだってめぇ!」
「うわぁすいません!」
「危ないだろうが全く。
次からは壁か、水路を狙えよ」
「わかりました。ファイアボール!」
水路へと向かった火の玉は水にぶつかるとジュッと音を立てて消え、白い煙が上がった。
「いい感じだ!速さも大きさも申し分ない。
君はなかなか筋がいいね!」
「ありがとうございます!」
「この分ならオーディナルマウスどころかこのダンジョンの大抵のモンスターは余裕だろう。
見てるからどのモンスターが来ても恐れず戦ってみて」
「はい!」
赤い門を出て30分程した頃か。
前の方からカサカサと何かが動く音が聞こえてくる。
薄暗くよくは見えないが、この先にいるのだろう。
「音が聞こえてくる。そろそろだ」
「わかりました」
「俺がライトをつけたら、まずは一匹仕留めるんだ。いいね?」
「はい!」
「フラッシュライト!」
辺りを強い明かりが照らすと、先には20匹程のネズミの群れがいた。
目が赤く光っており、サイズも普通のネズミより随分と大きい。
20cm程はあるだろうか。
そんなネズミたちが5m程先に居た。
「よし!やれ!」
「ファイアボール!」
先程よりも強く魔力が吸い取られると、出てきた火球は大きさも速さも練習の時よりも上だった。
これならいけるっ!
火球は一番こちら側にいるネズミにぶつかると弾けて周囲のネズミ達も焦がした。
一撃で5匹のネズミが動かなくなり、ダメージだけなら10匹くらいには当たったはずだ。
これなら2発目で!
「すごい威力じゃないか!もう一発打ってみろ!」
「ファイアボール!」
しかし今度の火球は当たらなかった。
無傷のネズミ達はすでにずっと遠くまで逃げていたし、ダメージを追ったネズミ達も動いていたため、火球で捉えることができない。
「オーディナルマウスの動く先を狙うんだ。
一発目でダメージを受けたやつらは動きが鈍い。
そいつらの先頭の移動先を読むんだ!」
「はい!ファイアボール!」
3発目の火球は先頭のオーディナルマウスに当たると弾け飛び、再び多くのマウスにダメージを与えた。
それに驚いたマウス達は今度はこちらに向かってくる。
「よし、どんどん近づいてくる。よく狙えよ!」
「ファイアボール!」
4発目。わずかに残ったオーディナルマウスはついに全滅した。
「いやーほんとに筋がいいね!
この狩り場で戦う分には十分すぎるね。
次は同じ初心者同士で来るといい。
君なら引っ張っていけるだろうよ」
「ありがとう!」
「今日教えたことを忘れずにね。せっかくだからもう少し狩っていこうか。」
「はい!」
その日は結局、500匹ものオーディナルマウスを退治した。
地上へ出ると、あたりはもう夕暮れだった。
「いやほんとに驚いたよ。
ただガス欠には気をつけるようにね」
「はい、気をつけます」
狩りの最後、連続して接敵したために魔法力が枯渇し、倒れかけてしまったのだ。
初心者にはよくあるらしいが、恥ずかしい。
「まあ普通に狩ってる分にはパーティーならああはならないし、なってもカバーしてもらえるだろうけど」
パーティーか。
組めるといいな。
「俺が見た中じゃ一番すごかったな。
最初から魔力10ってだけあるね」
「ありがとうございます」
「噂じゃ最初から魔力100あったやつもいたらしい。
どっかの貴族の姫様らしいけど、今頃はもう四次職かもな」
「そんな人もいるんですね」
「ああ二年前だ。
そういえばちょうどその頃スタンピードがあったな。
巻き込まれて死んだのかもしれん」
スタンピード。
原因不明の魔物達の暴走のことだ。
父さんにもスタンピードになったら俺に構わず逃げろと散々言われた。
冒険者の仕事にはスタンピードに対して組織的に迎撃するというものも含まれる。
「なんにせよお前は優秀だ。
だけど上には上がいる。
増長せずにやってれば強くなれるさ。
今度はパーティーメンバーとして組もう!」
差し出された手を握ると、ユウセイは人懐っこい笑顔を浮かべていた。
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