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2話目です。よろしくお願いします!
あれから日年が過ぎた。
十才となった俺は王都シングレアを歩いていた。
魔力鑑定のためだ。
十才以上の国民ならば誰でも最低一回、魔力鑑定を受けて冒険者としての適性を検査してもらうことができる。
基準となるのは最も弱いモンスターであるオーディナルマウスを倒せるとされる魔力で、これを1としている。
いよいよ俺が冒険者になれるかが決まるのだ。
ワクワクする。だがそれ以上に、
「父さん!あっちにもこっちにも店がならんでるよ!」
「わかったからそうはしゃぐな。はぐれるなよ」
街道は大理石で出来ているし、馬車がすれ違える程に広い。
人が歩くスペースも十分にある。
王都の名にふさわしい街道だ。
「みて!あそこには武器のお店がある!俺にもなにか買ってよ!」
「もし冒険者の適性があるってわかったら、買ってやるよ」
「やったぁ!忘れないでね!」
武器も買ってもらえる!
ということはいよいよ冒険者として冒険がはじまるんだ!
そうして歩いていると、一際大きな建物が見えてきた。
緑色のドーム状の建物で、一番高いところには赤い旗が靡いている。
「父さん、あれが冒険者ギルド?」
「そうだ、よくわかったな。あの旗は冒険者の熱い心を表しているんだそうだ」
なるほど、それで赤い旗なんだ。
「にしてもルーナも来ればよかったのに。
ルーナは冒険者にはならないのかな?」
ルーナは留守番をすると言って聞かなかった。
王都に来るだけでも楽しいだろうに。
「王都はそんなに遠くない。
一番近い冒険者ギルドがここってくらいだからな。
また来ればいいさ」
「そうだね」
冒険者ギルドの中に入ると、受付には列が並んでいた。
案内されると、綺麗なお姉さんが立っていた。
「今回担当する、受付のヒルダです。
ご要件はなんでしょうか?」
「はい、魔力鑑定を。この子なんですが」
「なるほど、やってみますね。失礼します」
ヒルダが俺の頭に手をかざすと、淡い銀の光が放たれた。
十秒ほどで光は出なくなった。
いよいよわかるのか!
「おめでとうございます!
魔力10なので、冒険者として認められます!」
「おお!よかったなイズル!」
「やった!!やったよ父さん!!」
「よしよし、よかったな」
父さんに抱きつくと、頭を撫でてくれた。
「失礼ですが冒険者の方ですか?存じ上げませんが」
「いやいや農民だよ。そんなに珍しいのか?」
「冒険者になる方自体はそんなに珍しくはないですが、魔力10というのは魔力のある血族でないと珍しいです」
「なるほど。すごいじゃないか!」
「これで俺も冒険者だ!」
俺は嬉しくて仕方がない。
これで皆を守る力が手に入る!
「お父様も、魔力鑑定をなさいますか?」
「では一応頼む」
またヒルダの手から銀の光が出て、父さんの頭へと吸い込まれていく。
「魔力3ですね。一般の方よりは高いです。
もしかしたらご先祖様に冒険者様がいらっしゃったのかもしれませんね」
「この子は先祖返りか」
「そのようです」
ヒルダは笑うと、紙を二枚渡してきた。
「こちらが魔力鑑定書です。
二枚目が冒険者登録申請書になります。
お父様の分もお渡ししますか?」
「いや、大丈夫だ」
「では申請書に必要事項を記入後、提出なさってください。提出後転職の儀を行って頂き、冒険者カードを受け取って頂いたところで、本日は終了となります」
「わかった。ありがとう」
「ありがとうございました!」
「ええ、頑張ってね!」
「ふむ、君が新しい冒険者か。名前は?」
転職のためと案内された先には、中年の男が立っていた。
長身で筋骨は隆々としており、なかなかの迫力だ。
「イズルです!」
「そうか、俺はシングレア支部ギルドマスターのアレンだ。よろしくな」
「お願いします」
「ではいくぞ!」
アレンが叫ぶと、手から金色の光が放たれ、俺の体へとまとわりついていく。
一段強く輝くと、消えた。
「これで終わりだ。
今日からお前は冒険者、メイジのイズルだ。
一次職のうちは何度でも転職できる。
いつでも声をかけてくれ」
「ありがとうございます!」
ついに、俺も冒険者になったんだ!
冒険者カードをもらい、武器を買って家につく頃には日が暮れていた。
今ではすっかり家事を身に着けたルーナは夕食を作って待ってくれていたようだ。
すごくおいしそうだ。
「ただいま!ルーナ!俺冒険者になったよ!見て!」
俺はそういってカードを見せる。
ややしなる硬いカードで、あまり見たことがない材質だった。
カードには俺の名前と、作成した冒険者ギルド・シングレア支部が書いてある。
「え!すごい!おめでとう!」
「ありがとう!俺、明日にでも冒険に出るよ!」
背中にはメイジスタッフがある。
これで俺も強くなれる!
「そうなんだ。うん、頑張ってね」
ルーナは少し寂しそうな顔をしてそう言った。
俺もルーナや父さんと会えなくなるのは寂しい。
でも強くなるためには、そんなことは言ってられない。
「ルーナ」
「とりあえずご飯にしましょ!お腹すいたでしょ?」
「うん!」
「それでイズルは、どんな冒険者になるの?」
「俺はアークメイジを目指すことにしたんだ!圧倒的な魔力でどんなモンスターも倒せる、そんな魔法使いになろうと思う!」
「そうなんだ。
うん、イズルならきっとなれるよ!」
「ありがとう!」
「父さんもそう思う。
まさかお前にこんなに才能があったとはな。
だが無理はするなよ」
「わかってるって!」
「いつでも帰ってきていいからな。
なんなら、明日からじゃなくてもっと先でも……」
「父さん、もう決めたんだ。
俺は一流の冒険者になる。
そのためにできるだけ早く強くなりたいんだ」
「ああ、そうだな」
父さんは珍しく酒まで飲みだした。
慣れてないからかすぐに真っ赤になると、フラフラと寝室に向かってしまった。
「父さん、珍しいな」
「マルスさんも寂しいんだと思うわ。私も」
「俺だって寂しいよ」
「そうよね。でも、必要なお別れなんだと思う」
前に進むためには誰かと離れることはある。
巣立ちの時なのだ。
「頭ではわかるの。
でも気持ちは整理できない。
だからマルスさんも、ついお酒なんて飲んでるのかもね?」
「そうだな」
思えばよく愛してもらった。
これから恩返しができるだろうか?
「なあルーナ。
もしよかったらルーナも一緒に冒険者になってくれないか?」
「私にはなれない。
イズル、私は冒険者にはなれないの」
それってもう魔力鑑定を受けたってことなのか?
ルーナが家に来たのは十才の頃だった。
それならもう魔力鑑定を受けていてもおかしくはない。
「そう、なんだ。
わかった。また近いうちに戻ってくるよ」
「ほんとに!?約束だからね!」
「ああ、絶対に戻ってくる!」
俺とルーナは指を切った。
ルーナは今日初めて心から笑ってくれたと思う。
最後までお読み頂きありがとうございました。
3話目も同じ時刻に投稿致します。よろしくお願いします。




