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「イズル、俺も少し話したい。いいよね?」

ルーナ達を見送った直後。

ユウセイはいつになく真剣な様子でそう言った。


「もちろんだ」


ミュヘイムの中央街の店に入るとユウセイが二人分の注文を済ます。

行きつけなのかな?


クライスはついてこなかった。

ユウセイはどうやら俺と二人で話したいらしい。


料理を平らげるとユウセイはやっと本題に入った。

「イズル、次に王都に着いたときに俺達のパーティーさ解散する」


「なんだって!?」


なんでそんなことになるんだ!?

俺達はうまくやってきただろう!?


「驚くのは無理もない。でもこれが俺達にとって一番なんだ。

やっぱり二人は成長速度が違う。王都につく頃には俺達の倍以上の魔力になってるだろうし」


「でもそれは魔力が高くなると上がりにくくなるからじゃ……」

「違うよ。現にもう君達は俺達と遜色ない魔力を持っている。

成長速度の違いは、要は成長限界の違いなんだ」


「成長限界?」

初めて聞く単語だ。

最初の魔力だけじゃなくて、最終的な魔力も人によって決まってるっていうのか?


「そのままの意味だよ。俺達はもうほとんど魔力の上昇は望めない。たまに1増えることはあるけどね」


ユウセイは哀しげにそう言った。

それなら彼らはいつまで経っても同じ魔力のままだっていうのか?


「そんなものがあるのか」

「冒険者稼業は残酷なんだよ。なににつけても個人の才能が、血筋が決めてしまう。

そもそもなれるかってだけで才能で決まるしね」


たしかにそうだ。

あのとき俺が魔力鑑定で魔力がないも言われてしまえば、冒険者になることも、強くなろうとすることすらできなかった。


残酷極まりない世界だ。


「前に聞いたとは思うけど、あまり魔力の差があるパーティーを組むのは良くないんだ」


「でも倍程度なら!俺が最初にユウセイ達のパーティーに入ったときだってもっと離れてたじゃないか!」


たしかあの時俺はまだ56くらいだ。

ユウセイは367だったってことは、6倍以上の魔力があったということだ。


「状況が違う。俺達はもう伸びていく側じゃないんだ。魔力の差は開く一方。なら早めに解散した方がお互いのためだ」


「そんな……!いままで散々助けてもらって、教えてもらって。

強くなったらはいさようならなんて、できるわけがない!」


パーティーを組む前も組んだ後も。

冒険者として必要な知識を全部教えてもらった。

経験だって、半分以上はユウセイ達に積ませてもらったようなものだ。


それを少し強くなったらさよならなんてできるものか……!


「お互いのためだ。イズル」


視界が滲む。

鼻の方に水が流れてつんとする。

思わず啜り上げて、その音が思ったより響いてしまった。

ユウセイはそんな俺の様子に少したじろいだが、やがて俺の肩を叩いた。


「王都に行くまで順調でもあと二週間はかかるんだ。それまでよろしく!」


ユウセイは一転して明るい笑みを浮かべている。

不思議とこっちも明るい気持ちになってくるようだ。


そうだな。俺にできる恩返しは、残りの二週間を必死に戦うことだ。


「わかったよ。よろしく」

全力で報いよう。




三日が過ぎ、俺達はミュヘイムを後にした。

最後の方はクロオニを中心に狩ったおかげで随分と魔力が伸びた。

俺は424、ルーナは458だ。


ルーナとの差がだいぶ縮まると同時に、三人との魔力差は開いていた。

ベラが一つ上がっただけだからな。


「ほんとはもう少しいるはずだったんだけどね」

「二人ともとんでもない成長速度だったからな」

「ねぇ。ユウセイまで抜かれちゃうなんて」


魔力こそ抜いたものの、知識や経験はまだまだだ。

とはいえ、抜かされた三人の心境は複雑だろう。

それでも褒めてくれるのは人徳だ。


「ほんとに世話になったよ」

「私も、いっぱい助けてもらいました!ありがとうございます!」


俺とルーナは心からの感謝を送る。

三人はいやいやと謙遜しつつも、嬉しそうだ。



次に向かうのは港町フルリオ。

行きからの二週間で随分と力を増した太陽が、俺達の馬車を照らしていた。


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