16
明くる朝、俺達は再び鬼宿寺の中にいた。
「イズル!たのむ!」
「任せろ!エリアオブヒール!」
クライスを中止とした範囲に緑の光が輝き、全員の体力を回復させる。
大量の鬼を前にはしているが、体勢は立て直せた。
「ちょっとまずいか?」
「大丈夫!メテオストリーム!」
無数の隕石がオニ達へとぶつかり、消し飛ばす。
しかしその後ろから次々とオニが押し寄せてくる。
「シールドバッシュ!スイッチ!」
「はいっ!サンダーエンチャント!」
ルーナの剣から奔る稲妻がオニ達を感電させ、動きを鈍らせる。
これならいける!
「バックアタック!」
「ラージヒール!」
ユウセイの攻撃でクロオニが倒れる。
前に出てきているのはアカオニとアオオニだけだ。
「ベラも足止めよろしく!」
「任せて!アイシクルブリザード!」
青い冷気がオニ達を撫でると、次々と凍りつき、氷像となっていく。
オニ達からは白い煙がでている。
こっちまで寒くなってくるな。
「よし!撤退!」
「はいっ!」
俺達は鬼宿寺を脱出した。
「いやぁ今回は危なかったね!みんなよく頑張ってくれた!」
宿につくと、ユウセイが手を叩きながらそういった。
たしかにルーナも俺も、やれることはやれたはずだ。
「鬼宿寺ってのは、あんな群れが湧くのか?」
10や20じゃない。
100を超えるオニ達が一斉に向かってきた。
あれを二次職で相手にするのは不可能だろう。
「あんなのは俺達も初めてだよ!」
「全くだ。俺達だから良かったが、普通なら全滅だろう」
そうだよな。
俺達ですら逃げるのがやっとだった。
首都のダンジョンでも、同じような目にあったってのに。
「今日はもうおしまいにしようか!十分戦えたし、なにより疲れた」
「私も魔法力の回復に時間がかかるわ。かなり込めたから」
「魔法力を込める?」
多く込めるなんてことができるのか?
「私のバフスキル。自分だけなんだけど、魔法力を通常より多く消費して早く打ったり、強く打ったりできるの。エルプティオマギカって言ってるやつね」
そうだったのか。
とんでもないスキルだな。
「なんにせよ明日までは休むしかないだろう。魔力の鑑定を受けたら今日は終わりだな」
「そうだね!」
「ああそうだ。その前に昨日イズルと話したことなんだが」
「ああ、あの件ね」
「俺はいいと思うよ!モンクでもビショップでも好きなジョブを選べばいい。ただね」
ユウセイ珍しく真剣な様子だ。
「ただ?」
「ビショップは数が少ない。君ならビショップの上位職、カーディナルすらも狙えるんだ。本当にいいの?」
「俺もモンクよりはビショップの方がおすすめだぞイズル」
「俺は、ビショップではやりたいことができないなら、モンクでいい。モンクになりたいんだ!」
「そっか。ならいいと思う!応援するよ」
「ありがとうユウセイ!」
よかった。認めてもらえた!
これで俺はモンクを目指せる!
もうルーナに、壁をやらせなくて済むんだ!
「じゃあ2日分の魔力鑑定お願いします!」
「かしこまりました。そちらにお並び下さい」
俺達はギルドの受付についた。
一人ずつ魔力の鑑定をしてくれるらしい。
「ベラさんは242です。おお!上がっていますね!」
「久しぶりに上がったわ!やっぱ危ないときほどあがるのよね!」
テンション高いな。
200も越えてくると、なかなか上がらないのだろう。
「クライスさんは265です。変わらずですね」
「そうか。残念だ」
「ユウセイさんは367です。こちらも変わらずです」
「だろうね」
「ルーナさんは224です!42も伸びていますよ!」
「そんなに!?」
ルーナそんなに高くなっているのか!?
「オニだけでなくバフォメット討伐も含めています。とはいっても、すごい上昇量ですね!」
「ありがとうございますっ!」
ルーナはぴょんぴょんと飛び跳ねている。
よほど嬉しいんだろう。
「さてイズルさんは……173です!もう三次職になれますね!117も上昇しています!」
173!?
3倍近いじゃないか!?
「お二人は格上の魔物と戦っていますから!
前例のない上昇量ではありますが」
「おいおいこりゃあ」
「あっという間に抜かされちゃいそうだね」
「そうねぇ」
三人達も苦笑いだ。
自分でも驚きだ。
「イズル様は転職できますが、もうされますか?」
「はい!モンクになりたいです!」
「一度転職されますと戻ることはできませんが、構いませんか?」
「構いません!」
「では支部長を呼んで参ります」
「ここの支部長を務めている、ミヅキです。モンクに転職でよかったですね?」
しばらく待つと、銀色の髪の女性が現れた。
支部長か。若いな。
「お願いします!」
「では」
ミヅキの手のひらから金色の光が現れ、俺の体を包む。
次の瞬間、体が一気に軽くなった!
「体がすごく軽い!」
「パッシブスキルのグンダリの効果だね」
「そうだな。随分と軽くなるなるらしい。
熟練のモンクは空中でも自由に動けるらしいぞ」
「そうなのか!」
これからが楽しみだ。
ふとルーナを見ると、小さくありがとうと唇を動かしていた。




