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11話です。よろしくお願いします。
翌朝、ギルドの受付前にはユウセイら五人の姿があった。
「君がルーナちゃんかー!可愛いねぇ!」
「ユウロリコンだったんだ?」
ベラがいたずらっぽく笑って言う。
「いやロリコンじゃない!たまたまルーナちゃんがロリっ娘だっただけだ!」
「それを世間じゃロリコンて言うのさ、ユウセイ」
クライスも呆れたようにそう言う。
「あの、ロリってなんですか?」
小首を傾げてルーナが言う。
赤いチュニックに黒いズボンという出で立ちのルーナはたしかに可愛らしいが、ロリとはなんなのだろう?
「なあ俺も知りたい、ロリってなんなんだ?」
「それはねぇ」
「おおっとやめとけって!」
ベラがニヤニヤしながら耳打ちしようしてくるが、やや慌ててクライスが止める。
「とにかく俺らはルーナちゃんを歓迎するよ!よろしくね!」
「ありがとうございます!」
ルーナがペコリと頭を下げる。
昨日ルーナや父さんと別れたあと、俺はすぐにユウセイの部屋を訪ね、ルーナのことを相談した。
ユウセイはすぐにルーナのパーティー入りを認め、俺はルーナに、ユウセイはベラとクライスへと伝え、今朝に至る。
「さあ出発しようか!ミュヘイムへ!」
「はい!」
「おう!」
俺たちはミュヘイムへの道を進み始めた。
ミュヘイムは王都シングレアから西に300kmほど離れた場所に位置している。
王都シングレアが王国のほぼ中央に位置しているのに対し、ミュヘイムは西の端に近い。
馬車が進んでしばらくすると大理石の道から脇道が伸びていく。この道の先は俺たちの家だ。
「ルーナがバフォメットを一網打尽にしたのはこのあたりなんでしょ?」
ベラがルーナに身を寄せる。
「ええそうなんです。私もともと魔物が苦手で、無我夢中で戦ってたって感じでした」
「愛の為せる技ね」
「あ、愛なんて、そんな……!」
ルーナは顔を真っ赤にしている。
「あら?私は家族愛のつもりで行ったのだけれど?」
クスクスと笑うベラに、ルーナはさらに恥ずかしそうに身をよじった。
「その辺にしとけよ、ベラ」
「可愛い子をみるとついつい意地悪したくなっちゃうのよねぇ。ライスもわかるでしょ?」
「黙秘する」
クライスは重々しくそうつぶやくと、帽子を深く被った。
まだ日が高くなるまでしばらくあるが、それでもかなり眩しかった。
馬車の覆いの横から光が差し込んでくるからだ。
「フルスさんよ。進みはどうだ?」
ユウセイが前の覆いを少しめくり、御者へと声をかける。
フルスはギルド所属の御者で、ギルドの任務のための移動の際にこうして馬車を操縦してくれる。
「上々だ。この分なら明後日にはフルリオに着くだろう」
フルリオは王都から80kmほど西に進んだ位置にある港町だ。
南をフルリオ湾に面していて、近隣の水運の中心地である。
西のフレンツ川に大きな橋が掛かっていることも、この街の重要性を上げていた。
「そうだ、これからの狩りの計画について話さないとな」
クライスが思いついたように言う。
ちょうどいい。
とんでもなく暇だ。
「お願いします」
「そうだったねぇ。まあざっくり言うと、道中魔物狩りながら移動して、向こうついたらダンジョン潜るからそのつもりで!」
「魔物が出るんですか?」
「そらぁでるよ!街の回りは定期的に狩りまわるし、防衛線もあるからでないけど、遠く街をはなられうじゃうじゃいるよ」
馬車から時折でて戦うということか。
面倒だな。
「ダンジョンに潜るのですか?」
「ああ。ミュヘイムのダンジョンは二次職のフルパーティーで踏破できる。
そこを周回しつつ、ミュヘイムのギルドの要請を受ける予定なんだろう」
いつの間にか帽子を上げたクライスがそう答える。
フルパーティーとは二次職の四職が揃ったパーティーのことを指す。
三次職においても四職それぞれの派生を揃えているパーティーがフルパーティーだ。
「そういうこと!じゃああとは魔物が出たら交代で狩りすることにして、みんな休憩ね」
「じゃあ最初は私が担当するわ。一人じゃ手に余るようなら呼ぶから」
「ベラよろ!」
休憩か。俺はルーナと話すかな。
「ルーナ。ほんとに大丈夫なのか?冒険者になるって」
「うん。私は魔物と戦うより、イズルを失う方が怖い。それがはっきりわかったから」
「そうか」
遠くでベラがニヤニヤしながら見てくる。
お前は哨戒担当だろ!
「イズルは大丈夫なの?魔物は怖くない?」
「怖くないよ」
「どうして怖くないの?」
「どうしてか」
なぜだろう。
魔物と戦えば命を落とすこともある。
俺は一度仲間を失いかけ、一度死にかけた。
それでも恐怖を感じたことはない。
「俺は負けない。誰も死なせない。そう信じてるからかな?」
「そっか。イズルは強いね」
ルーナは俺より遥かに強いだろうが。全く。
「お!前方にゴブリンの群れだ!
ちょうどいいから新入り二人に戦ってもらう?お話中悪いけど」
たしかに戦い方を見てもらうのはためになりそうだ。
「イズルとルーナがどこまでやれるかは俺も見ておきたい」
クライスまだ起きてたのか。
「イズっちは俺が保証するしルーナちゃんは可愛いから大丈夫だって!」
ユウセイは相変わらず適当だ。
「ユウはこれだから。二人とも準備はいい?」
「はい!」
俺たちは馬車を降り、ゴブリンの群れと向かい合った。
ゴブリンは小型の人のような見た目であり、弱い魔物ではあるが民間人を襲う。
大きな群れになると冒険者ですら襲われることもある、恐ろしい魔物だ。
「手に終えなそうなら私が焼き払うから、無理せず退いてね!」
「わかりました!じゃあ私が前に出るね!」
「おう。そうだな」
クレリックは後衛の中の後衛であり、エンチャンターと組むなら必然的に補助に徹することになる。
ルーナが前衛を張るのは当然だった。
「ディバインプロテクション!」
俺のスキルでルーナは金色のオーラを纏う。
自然回復、攻撃力、耐性、防御力を引き上げるバフだ。
「マジックソード!サンダーエンチャント!」
ルーナは白銀の刃を作り上げ、そこに金色の光を纏わせた。
「セイントレイ!」
輝く光が敵ゴブリンを捉え、消失させる。
回りのゴブリンは俺を警戒し、一斉に突撃してくる。
「いまだ!ルーナ!」
「任せて!」
無警戒な方向からルーナが強襲し、一振り毎に二、三匹のゴブリンが巻き込まれて倒れていく。
さらに時折小さな稲妻が発生し、攻撃の当たっていないゴブリンも感電して麻痺している。
「セイントレイ!ラージヒール!」
「はああっ!」
ゴブリンの群れはまったく終わりが見えない。
かなりの数を倒してはいるが範囲攻撃がないため、ジリ貧だ。
範囲攻撃?
「ルーナ離れろ!ファイアボール!」
ルーナがバックステップで離れた瞬間に火球を叩き込むと、
麻痺で停滞し密集したゴブリンは焼け落ちた。
一網打尽だ。
「ほぉやるね!さっすがイズル」
「上位職のスキルにこだわらないとはやるもんだ」
「イズルは賢いしルーナちゃんは可愛いね!」
一人気持ち悪いことを言ってる奴もいるが、三人の評価も上々のようだ。
俺たちはその後、十回ほど敵を固めては火球で焼く作業を続け、ついにゴブリンの群れを殲滅した。
お読み頂きありがとうございました。
明日も投稿します。




