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八雲紫に幻想入りさせられたのだが(完全リメイク版)  作者: 坂上儚月
第一章-とある男達の幻想入り-
2/2

襲いかかる人喰い妖怪

ブクマ&評価お願いしますm(*_ _)m

「痛て…」


俺は先程紫の野郎(少し前は敬語を使っていたが、スキマで上空に放り出された挙句に木をクッションにすると言う事があったので野郎呼びになった)のお陰で体も動かしにくい。


「てか何だこの森は…生き物らしい気配をあまり感じられない…」


未だ怪我のせいでフラフラしているが、早くこの森を抜けたかった。この森は人の気配所か動物の気配すらもあまり感じられない。


「痛て…やっぱり少し休んだ方が良いか…流石に木をクッションにしたとは言えあれだけの高さから落ちたんだしな…」


竜神はすぐ隣にあった気に凭れると、すぐに刀を抜ける場所に置いて座り込んだ。


「しかし…兄貴は何処に行ったんだ?一緒に放り出されたはずだから近くに居ると思ったんだが…」


そう、俺と兄貴は同時に空中に放り出されたはずなのだ。しかし、俺が落ちている間に何処かへと消えていたのだ。


「まあ兄貴の事だから死んじゃあいないだろうが…」


俺は一人で呟いていたが、何者かの気配を感じたので置いていた刀を何時でも抜けるように構えた。


「…誰か居るのか?」


俺は木にもたれかかったまま何者かの気配に向かって問いかけてみた。すると…


「あれ〜誰か居るのか〜?」


返事は帰ってきた…帰ってきたのだが…その声は紛れもなく少女の声だった。


「へ…?少女の声?」


流石にこんな暗い森の中に少女(声のトーンからそう判断した)が居るとは思わなかったので変な声が出てしまった。しかし、こんな暗い森の中に一人だけだとは流石に思えなかったので付近の気配を探ってみた。が、辺りには人らしい気配は他に無かった。


「あれ〜?声が聞こえたけど気の所為なのか〜?」


少女は恐らくこの暗さのせいで周りが良く見えていないのだろう。正直言うと竜神自身も少女の姿は全く見えていなかった。


「気の所為じゃないのだー」


俺が声を掛けてみると少女は気が付いたのかこちらにやってくる気配を感じた。少々不思議なのは"何故足音がしない"のかなのだが…いや、それ以前に何だかさっきよりも周りが暗くなっているような…?


「ねぇねぇ、貴方は…」


未だに姿の見えない少女は近くまで来ると今日何度目かの驚く事を言ってきた。


「食べてもいい人間?」


流石に固まる。今食べてもいいなんて言ってたか?いや、ちょっと待てよ…そう言えば紫は妖怪やらが居ると言っていたが…まさか…


「…まさかとは思うが…君妖怪なのか?」


恐る恐る聞いてみると少女は元気のいい声で…


「そうなのだ〜私は人喰い妖怪のルーミアなのだ〜」


やっぱり妖怪だった。しかも人喰い妖怪と来た。


(やばいな…こっちは怪我もしていて動く事すらままならない…と言っても戦うにしろ相手は妖怪…勝てるかすら全く分からない…)


少々慌てている頭を冷静にさせると考えがまとまった。


「…これって詰みじゃね?」


「詰みって何なのだ〜?」


「えーとだな、つまりはこれって死んだんじゃね?って事。」


「そーなのか〜」


「そうなのだ。」


そっからは少しだけの沈黙。そして…


「とりあえず食べるのだ〜」


「やっぱそうなるのねー!!」


俺は咄嗟的に横に転がると、先程まであった木に何かが当たるような大きな音がした。瞬間、その木が派手な音を立てて折れてしまった。と言ってもやっぱり周りが暗すぎて木が倒れた姿を見れていないが。


「おいおい…冗談…じゃないよなぁこりゃ…」


俺は刀を抜いて鞘を地面に突き立てて杖替わりにし、刃を逆にして構えた。流石に相手が妖怪だろうと斬るのには抵抗があったからだ。(そりゃそうだろう。妖怪でも女の子っぽいから怪我なんてさせたら行けないだろうというね。)


「さてさて…あんな木を折っちまう様な相手に何処まで持ち堪えれるか…いや、それ以前に生きて戻れるのか俺は?…そもそも戻れるのか俺は?」


少々勝てる気がしなかったが、むざむざと殺される訳にも行かなかった。だが、相手の姿が全く見えない事に違和感を感じた。


「食べるのだ〜!」


こちらが色々と考えてい間、少女は何故かこちらを攻撃しないで辺りの木々に攻撃をしている様だった。


(…もしかしてだが…相手にはこちらが見えていないのか?)


状況的な考察でそう考えたがほぼ間違いないと思う。現に少女はこちらでは無く別の方を攻撃しているからだ。


(となれば…勝てる見込みは多少なりとはあるって事か…)


俺はそう考えたが、当の本人が見えない程の暗闇となると勝てる見込みはあっても、その攻略法が見つからなければ意味が無い。


(チッ…どっちに転んでも無事には済まないか…いや、もう既にこんなにズタボロになってるんだから次は死か…)


俺は刀を構えたままどうやって勝つか考えていると、気付けば先程まで暴れていた妖怪が居なくなっていた。


(ん!?何処に行った!?)


俺は慌てて周りを見てみたが、暗さのせいで全く見えなかった。


(くそ…闇雲に声を出したら殺られるし…と言ってもこのままじゃジリ貧だ…さて、どうするか…)


俺はとりあえず辺りの気配を探りながらも打開策を考えた。しかし…


「お兄〜さん見〜つけた!」


「何!?しまっ…!」


俺は咄嗟に横に転がったが、相手の攻撃の方が早かったのか左腕に鋭い痛みが走った。


「ぐあ!?」


あまりの痛みに受け身が取れなくなりそうになったが、何とか体勢を立て直して受け身をとった。


「くそ…相手は妖怪…幾ら気配を探しても完全に消せれるんだったら意味が無い…!」


俺は自分の未熟さを後悔した。そして未だに痛みを感じる腕を見れないでいた。


(…こりゃ完全に腕を持って行かれたな…)


そう、俺の左腕は先程の攻撃で根元から完全に引きちぎられていたのだ。


(こうなりゃ…もうやけくそだ!)


俺は近くから聞こえてくる嫌な咀嚼音を横耳に全力で走った。恐らく先程の妖怪が俺の腕を喰らっているんだろう。俺は全身がズタボロだろうが足を止めずに走った。そうすれば何とかなるだろうと思ったのだ。実際の所はこんな危険な場所で何も目的もなく走るのは自殺行為に等しかっただろう。だが、既に思考は纏まっていなかったのだ。


(ぐっ…流石に失血し過ぎたか…だが、こんな意味のわからねぇ場所で死ぬ訳にゃ行かねぇんだ!)


そして俺は走った。既に意識も途切れそうなやばい状態だったが死ぬよりは断然マシだと思っているのだろう。お陰で足を止めずにずっと走る事が出来た。すると、走り続けていると不意に森の中に明かりを見つけた。俺はそれに向かって走るとそこには一軒の家が建っていた。


「こんな…場所に…家?」


流石に無茶をし過ぎたのか、俺の意識は既に限界へと近付いていた。


(このまま野垂れ死ぬよりはマシか…)


俺は既に正常な考えが出来ていなかったのだろう。そこら辺からの記憶はかなり曖昧だった。しかし最後に覚えているのは、扉から数体の人形と一緒に金髪の少女が出てきたと言う事だけだった…



_____________________________________________



(俺は…どうなったんだ?もしかして…死んじまったのか?)


俺は暗い場所に一人で突っ立っていた。勿論周りに何があるのかはさっぱり分からない。


(あー…クソッタレめ…何で訳わかんねぇ所で死ななきゃなんねぇんだよ…)


俺はそんな事を考えていると…考える?


(ちょっと待てよ?そう言えば何で死んだって思えてるんだ?そもそも死んだら何も考えられなくなるんじゃ…)


俺がそんな事を思っていると突然痛みと共に意識が戻ってきた。


「ぐっ…!?イテテテテ!!」


俺は痛みの勢いで体を起こした。


「イテテ…ん?これは…誰かが治療してくれたのか?」


俺は体を見てみると、怪我をしている所に包帯が巻かれていた。そもそも俺はベッドの上で寝かされていた。


「…そう言えば此処は…」


俺は辺りを見回して見ると、何処かの家のようだった。そして独特なタンスや、大量の人形が飾ってあった。


「うーむ…どうも昨日の記憶が曖昧だ…昨日必死こいてあの妖怪から逃げてたって記憶はあるんだが…」


俺は頭を押さえて昨日の事を思い出そうとしたが、どうにも思い出せない。相当切羽詰まっていたんだろうと今なら冷静に考えられる。


「…とりあえず治療してくれた人にお礼を言わないとな。だがどこに居るんだろうか?」


キョロキョロと辺りを見ても人の姿が見当たらない。いや、そもそも気配が無い。


「…気配探ってもあんまり意味が無い気がするなぁ…」


流石にあの妖怪に襲われた時に痛感した。ここでは気配を探ろうが何だろうがあまり意味が無い事を。


「こりゃあれか…自分がもっと強くなれよー的な場所なのかよ…」


元より戦闘に関しては自信がある。自信はあるんだが…


「ここの妖怪って女の姿をしてるからなぁ…て言ってもあの暗闇で姿は見えなかったが…あ、そう言えばあの紫も妖怪だっけか…あいつは一発拳骨くれてやんねぇとなぁ…」


一人ベッドの上で独り言を呟いていると不意に扉が開く音が聞こえてきた。俺は咄嗟にベッドの横に立て掛けてあった自分の刀を掴んだ。


(…もしかしたら助けてくれた人かも知れないが…用心はしとかないとな…)


竜神は刀を直ぐに抜ける様に鍔に指をかけた。少しの間何かを置くようなガサゴソした音がなった後、物陰から金髪の少女が現れた。


「あら?もう動いても大丈夫なの?」


「え?あ、ああ。多少は痛むが…俺の傷を治療をしてくれたのは君かい?」


竜神は相手の喋り方にに敵対心が無いことを確認すると刀を隣に置いた。


「ええ。ちょっと出血とかが多くて大変だったけど。でも普通なら2、3日は起きれないはずの大怪我だったはずなのに一日で動ける様になるなんてね。…余程体が丈夫なのかしら?」


「まあ、多少は鍛えてるから。」


「正直多少程度じゃそんな生命力は無いと思うのだけど?」


と、少女は少し呆れた様な顔をしていた。


「でも、どうしたらそんなにボロボロになるの?それに…その…左腕…」


少女は俺の左腕の方を少し見て少々申し訳なさそうに聞いてきた。


「ん?あ、えーと…何処から説明したものか…」


俺はとりあえず此処に来たまでの経緯と、怪我をした理由等を簡単に説明した。すると、少女は紫の名前が出た途端にやっぱりか見たいな顔をしてため息を吐いた。


「はぁ…全く、やっぱり紫の仕業だったのね…今度霊夢に頼んでしっかりとお灸を据えてもらわないとね。」


「霊夢?誰だいそれは?」


「ああ、そう言えば此処の事も説明をしないと行けないわね。多分多少の事は紫から聞いていると思うからこっちも簡単に説明するわね。」


そう言うと少女は棚の中をゴソゴソと何かを探すと、恐らく幻想郷の地図であろう紙を持ってきた。


「じゃあ、とりあえず今の場所とその他の主要な場所だけ教えるわね。」


そう言うと少女は俺と同じ様に簡単に説明をしてくれた。驚いたのは人が住んでいる里が存在している事だ。先程の(先程と言っても一日寝込んでいた訳だが…)妖怪の様な奴らがウロウロしている様な場所だと思っていたのだが…案外人も居るようだった。


「…とりあえずこのぐらいかしら?一応説明した場所は幻想郷の主な場所の一部なの。だから行ってはいけない場所何かは結構あるわ。その一つに太陽の畑って言うのがあるのだけど…そこだけは絶対に行っちゃ行けないの。」


何故か少女は絶対と言う言葉を強調して話していた。


「うーん、何で絶対なんだ?そこにヤバい奴でも居るってのかい?」


「ヤバいってものじゃないわ。この幻想郷じゃ【最凶】なんて言われている妖怪なの。その妖怪の名前は「風見幽香」。能力を持ってなかったとしても普通の人間なら会った瞬間にこの世から消える事になるでしょうね。」


少女は窓際の椅子近付いて座ると、喋り疲れたのか軽くため息をついていた。


「ふぅ…久しぶりに結構喋ったわね。」


「久しぶりって…あまり喋らないタイプなのかい?」


「いえ、ただ単に喋る様な話が無いから他の人ともあまり喋らないだけよ。」


「うーん、だけどたまには他の人とも話さないと後からコミュニケーションが取れなくなってしまうよ?」


「こみゅに…何?」


少女はコミュニケーションが分からなかったのか頭をひねっていた。


「ええと…つまりは会話したくてもしにくくなってしまうって事。」


「ああ、そういう事ね。」


と、少女は納得したようだった。


「…そう言えば貴方の名前を聞いていなかったわね。」


「あ、そう言えば名乗っていませんでしたね。坂上竜神って言います。貴女は?」


「あら、そう言えば私も名乗ってなかったわね。私はアリス・マーガトロイド。七色の人形遣いって呼ばれているわ。よろしくね。後、敬語とかは使わなくても良いわよ。」


「ん、じゃあ普通に喋らせてもらおうか。」


二人は互いに名前を名乗ると、とりあえずどうするかの話をし始めた。


「とりあえず今の現状と自己紹介もしたし、後はこの後どうするかよね。一番手っ取り早いのは霊夢の所に連れて行くこと何だけど…」


「霊夢の所に?何故だ?」


「霊夢は面倒臭がりだけど紫以外に唯一幻想郷の外に返す事が出来るのよ。」


「ああ、成程な。だが…」


竜神はそこまで言うと不意に刀を持って外に行こうとした。


「ちょっ…!そんな体で何処に行くつもりなの!?」


「俺には兄貴が居るんだ。んで、紫に兄貴もこっちに連れてこられたんだ。まあ、途中ではぐれちまったんだがな。だから俺は帰る訳には行かない。兄貴を見つけるまではな。」


竜神は刀を杖替わりにして外に行こうとしたが何故か空中に浮かんでいる人形に扉を塞がれてしまった。


「これは…」


「その人形達は私が操っているの。流石にそんなボロボロの状態で外に出す訳には行かないわ。それに今夜は満月。色々な妖怪達が活発になってしまうの。幾ら貴方が頑丈でも一度に大量の妖怪に襲われたら直ぐにこの世から居なくなるわよ?」


確かにアリスが言ったように窓から見える森の中に何体もの気配を感じた。それも人間とはまた違う、殺意と狂気に満ちた気配だった。


「…この森ってこんなに妖怪が居たのか…」


「何時もは森の奥に居るんだけど、ルーミアが暴れてたお陰で貴方がいる事が他の妖怪達にバレたみたいね。」


「ルーミア?」


「貴方の左腕。」


「ああ…そういう事か。今度あったら次は容赦しないで倒す。」


俺はとりあえず扉から離れるとアリスにこの後どうしたらいいか尋ねてみた。


「そうね…ひとまず今日は私の家に泊まりなさい。そして明日になったら霊夢の所に行きましょう。もしかしたら貴方のお兄さんの行方も分かるかもしれないわ。」


アリスはそう言うと近くの本棚から一冊の本を取り出して読み始めた。


「…その本は?」


「これ?これは魔導書よ。ただ、私やパチュリーですら解読が難しいの。」


「パチュリー?」


「ここから少し行った先にある紅い屋敷に住んでいる魔法使いよ。」


「へぇ。ちょっと見させてくれないか?」


「別にいいけど、貴方じゃ読めないわよ?」


アリスは読んでいた魔導書を俺に渡してくれると机に置いてあったお茶を飲み始めた。


「ええと、なになに…「光と闇を併せしものには無の力が扱える」?こりゃどう言う意味だ?」


「だから言ったでしょう?貴方には読めな…え?」


アリスは途中で言葉を切ると、こちらを見てポカンとしていた。


「ん?どうしたんだ?」


アリスはそのまま暫く呆然としていたが、直ぐにハッとなって


「…って、何で貴方がその魔導書を読めるの!?」


と、俺に向かって大きな声を出てきた。


「うお!?」


オレが驚くとアリスはハッとなって慌てて落ち着いた。


「あ、ごめんなさい。私やパチュリーですらその一文だけで解読にとんでもない時間を費やしていたから…」


「あー、えっと、何かスマン。」


「いえ、別にいいのよ。貴方がそれを読めたって事はその後の続きも読めるんじゃないかしら?」


アリスにそう言われて本を再び見て見たら、確かにその後の続きも読めた。


「ん、確かに読めるな。ただよく意味は分からんが。」


「大丈夫よ。ある程度の事なら私が分かるから。」


「そうか。そんじゃ読んでみるか。」


そう言って書いてあった内容を読み上げた。アリスは所々聞いていて気になった単語や属性?みたいなのをメモしていた。一通り読み終えるとアリスはメモしていた物を別の本に書き記しながら整理していた。


「…それで、これってどういう意味何だ?」


読み上げたのは良いものの、俺はこの本の内容がさっぱり分からなかった。


「この本の内容は魔法の属性や、それを扱える者の特徴が記されていたわ。」


「魔法…そんなもんがあるのか。」


「勿論あるわよ。何なら私も魔法使いよ。」


「あれ?そうなのか?」


「あら、言ってなかったかしら?」


「言ってないな。」


俺がそう言うとアリスはおもむろに棚に置いてあった一つの人形を手に取った。


「ん?何をするつもりだ?」


「まあ見てなさい。」


そう言うとアリスが人形に向かって何かを操るような指の動かし方をすると、人形が空に浮いた。


「これは…」


「これが私の能力。魔法を操る程度の能力よ。私の場合は人形に繋げている魔法の糸で人形を操るのよ。さっき扉を塞いだのもこれよ。」


「成程…これが魔法なのか。」


「魔法と言っても私は魔力の糸。パチュリーは属性魔法。もう一人魔法使いが居るのだけど、そっちは火力重視の魔法よ。」


「魔法か…俺にも扱えるか?」


「うーん、それは分からないわね。元から魔法使いなのも居れば修行して魔法使いになったのも居るから…もしかしたら修行したら魔法使いになれるかもね。相当時間は掛かるけど。」


そう言ってアリスは浮かべていた人形を机の上に着地させると、再び棚に戻した。


「とりあえずこの話はまた今度話しましょう。もう夜も遅いから早く寝ましょう。」


アリスはそう言うと窓際の椅子へと座った。


「ん?アリスはベッドで寝ないのか?」


「怪我人が居るのに私がベッドで寝れると思う?」


アリスはそう言うと近くにあった毛布を引っ掴んでそのままさっさと寝てしまった。


「…うーむ、この怪我もさっさと治さないとか…」


俺はベッドに横になると、これからの事を考えた。


(とりあえず霊夢ってやつの所に行って帰れる手筈は整えておかないと…その後に兄貴を探す感じになるか…兄貴の事だから心配はしてないが…それでもこんな腕を喰いちぎる様な妖怪が居るからな…)


俺は寝っ転がったのは良いが、色々と考えが交差してしまい寝ようにも全く寝付けない。


(ああ…くそ!考えすぎて眠れなくなっちまう…仕方ねぇ。もう考えるのは止めだ。これからの事はこれから何とかしていくしかねぇんだからな…)


俺はそう吹っ切れるとアリスと同じようにさっさと眠りについた。


「…彼は寝たかしら?」


そう言って起きてきたのは先程寝たと思っていたアリスだった。竜神は完全に寝てしまっていたので起きてきた事に全く気付いてはいなかったが…


「それにしても彼…何であの本の文字が読めたのかしら…」


アリスは先程竜神が読み上げてくれた本を持ち上げると中身をペラペラとめくった。


「これは…龍族の文字…今は居なくなってしまったと言われるあの龍族の文字を読めるなんて…本当に彼は何者なの…?」


アリスは寝ている竜神の方を向いた。竜神は余程疲れきっていたのか完全に熟睡している様だった。


「…まあ良いわ。この事に関しては紫に聞いてみれば分かることでしょう。そうじゃなかったらこんな能力も無いただの一般人を幻想郷(ここ)に連れてくるはずが無いもの。単純に気分なだけかもしれないけど…」


アリスは暫く本を眺めていたがすぐに本を閉じて再び椅子へと戻って行った。


「とりあえず霊夢に会ってからじゃないとこれからの事なんて分からないわね…」


そう言ってアリスは完全に眠りについたのだった。そしてアリスはまだ知らない。まさかこの男が幻想郷を救う英雄となる事に…

宵闇の妖怪ルーミア


竜神を襲った妖怪。それ程戦闘能力は無いものの、ルーミアの暗闇に入り込んでしまえばもはや助かる可能性は低い。だが、本人も中に入ってきた人間の姿を見れないので運が良ければ助かる。今回はルーミアの長子が良かったのか、片腕を食われてしまった。


七色の人形遣いアリス・マーガトロイド


竜神を助けた魔法使い。人形を魔法の糸で操って戦う。しかし、本人は戦闘が苦手。龍族の文字を読めた竜神に多少なりの興味と謎を感じている。

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