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私とビール

「あ~もう!蚊に刺された!」

そう言って目が覚めた夏の暑い夜。

私は1度目が覚めてしまうと中々寝付けないタイプで

目は瞑るもののやっぱり眠れない。


「うぅ…最悪…まぁ明日は休みだし喉乾いたしビールでも呑むかー!」


駆け足で冷蔵庫に向かいビールの缶を開ける。


「ぷはぁー!いいねぇ!今日はもうオールかな!」


太ってしまうと分かっていてもビールのお供におつまみが欲しくなった私は

徐に大好きなサラミの袋を開け食べる。

ビールのお蔭でサラミを食べることをやめられない…とまらない……


「あ~もう無くなっちった。さすがに太るから食べるのやめよーっと」


と言いながら2つ目のビール缶を開ける。

私は勢いよく飲み干した。


「ふぅ…」


溜め息をつく私。

私はいつもお酒を呑んで酔うと昔の恋とかいろいろ思い出して

いつもネガティブシンキングになる。


「あー、高2の時から1年付き合ったカズ君は良かったな~

結構優しかったし面白かったし惜しいことしたなー!!」


こう見えて私、一応乙女…なんだからね…!!


カズ君とは新見 和也といって高2の夏休みの終わりに私が告白して付き合った人だ。

元々、高2の始め私には告白されて正直好きではなかったけど

悪い人ではないから何となく付き合ってた彼がいた。

だけど何と浮気されて…まぁ全然私も気持ちなかったから別れられて彼とは終わった。

人を好きになるって感情が良く分からないまま終わった。


そして月日は流れて7月。

クラスで席替えがあり私は教室の後ろの席、カズ君が私の斜め前の席になった。

そのときはただのクラスメイトとしか思ってはいなくて特に彼を気にしていはなかった。

けれどある日…学校帰りの電車の中でお年寄りに席を譲った彼を見た。


(へぇ…優しいんだな~)


そう思っていたら降りる駅に着いた。彼も同じ駅に降りる。


(あれ新見くんってここで降りるっけ?もう少し先だったような…)


考えていると先ほど彼が席を譲ったお年寄りが降りてくる。


(しかも荷物持ってあげてるし!優しすぎ!)


お年寄りの目的地まで荷物を運んであげるようだ。

その時の彼は天使の様な笑顔だった。


(ほ、惚れた…!かっこいい!!)


私はバカだ。単純だ。

そして私は彼に片想いをするのだ。


しかし学校は無情にもそろそろ夏休み。

何とか彼の連絡先を手に入れるために直接アタック!!は出来ず

結局、共通の友達に聞いて手に入れた。

これで夏休みも彼に会えるかも!と気持ち良く夏休みを迎えた。


そんな夏休みのある日、彼を駅の近くのショッピングモールデートに誘うことに成功。

張り切った私は待ち合わせの1時間前に着いてしまった。


(まだかなーまだかなー…ってさすがに早すぎか笑っ)


何度でも言おう、私はバカだ。

とドキドキしながら彼を待つこと30分…


「あれ!30分前に着いたから早すぎるかなーって思ったけど果夏ちゃん、もう来てたんだね!ごめんね待たせて!」と彼の声


あ、忘れてた…私、私の名前言い忘れてた…名前言うタイミング逃してた…

沖田 果夏です、はい。

と気を取り直して


「大丈夫だよー、私が早く来すぎただけ!行こっか!」


人生初めてのデートだ。

何をすれば良いのか分からなかったし緊張したけれど

彼といる時…彼といる場所…

それは普段と変わらない物の筈なのに何故か幸せだった。

この時、分かった。これが恋。


その日は洋服を見たりファミレスでご飯を食べるだけで終わった。

夏休みの間は何回か同じようにデートに誘うことに成功。

カラオケも行ったし海にも行ったかな?


(そろそろかな…上手くいく…かな…)


何度かデートに誘うことに成功したことが背中を押して

ついに私は彼に告白することにした。

次のデートで。


そして告白決行当日。

いつものようにデートをして帰り際に…


「新見くん。帰る前に話があるんだけど、ちょっとだけだから!いい?」

と私。


「え、あ、うん…いいよー!」

と彼。


「じゃあ近くの公園行こっか!」


と私の家の近くの公園へ。

少し暗くなったきていて周りには誰もいない。

最初は他愛もない会話を交わす。


すると彼は


「ってか、あれ?何か話あるんじゃなかったっけ?」


と言われ私は頷いて下を向く。


(やばい!直接言うなんて無理!直接なんて…間接!)

と私は携帯を取り出す。

そしてメールで告白をしよう…とした…けど…

告白を暗号化したのだ。難しいものではない。

言葉を数字にしたのだ。

あなたが好きです、と。


そしてそのメールを送って私は


「メールみて!それが今日言いたかったの!それだけ!ばいばい!!!」


答えを出される前に私は走って帰る。家に着く。寝る。

怖かったのだ。彼が答えを導き出すのが。

そして約2時間後…携帯の着信がなる。


(あ…新見くんからだ…)


恐る恐るメールを見る…とそこには


「おーい!沖田!何暗号メールしてきてんだよ!俺、馬鹿だからめっちゃ時間かかったわ!w まったく笑っ





で、本題なんだけど…すごく嬉しかった。

だって俺も沖田が好きだったから。

良かったら俺と付き合ってください。」


と…

私は失敗すると思っていたものだから暫く口が半開きのまま動けなかった。

少し経ち冷静さを取り戻すとニヤニヤが止まらなくなる。

枕を彼に見立てて抱き締めてベットの上をゴロゴロ…キスもした…

直接、口で言えなかった「好き」を枕に向かって言った。

やだ、私かわいくない?

それはさておき彼と付き合うことに。


そして付き合ってから何度もデートをした。

中々、彼は手を繋いでくれないものだから

私は彼の右手に何度も私の左手をぶつけてアピールをした。

彼は気づかない…私の気持ちを…!


(もう…馬鹿!)


でも、そんな日々がそれだけの日々が

私の全てで私の幸せだった。

それがずっと続くものだとも思っていた。


けれど付き合って約1年…

彼と私は三年生の夏。

もうそれぞれ将来のことを考えなければいけない時期。

お互いピリピリして喧嘩もすることだってあった。


そんな時間が続きついにそのときは来た

彼からメールがきた。予想外…ではなかった。予感していた。別れを。

案の定メールを開くとそこには


「ごめん、別れよう。お互い将来のために別れた方が良いと思った。気持ちは変わらない」


私はメールを返さなかった。返せなかった。

画面が見えないから。文字が打てないから。

分かっていたけれど心が受け入れてはくれなかった。

今まで一緒に見ていた景色が…あのときの二人が

今私が見ている景色の中で過ぎ去っていく。遠い。


私は1年だろうか…いや、もっと長く立ち直れなかった。

そして高校を卒業して現在働いている職場へと就職した。


仕事を始めると仕事意外はあまり考える余裕がなくなり

いつしか恋の痛みも忘れていった。

そして20歳になりお酒を呑めるようになった私は

仕事の鬱憤を晴らすように呑んだ、酔った。

そのときからきっと酔うと昔の恋を思い出すのが癖になったのは…


と今に至る…


(しかしめっちゃ鮮明に思い出してツラたん…ってか眠っ)


バサッ!


私は眠った。


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