少年①
お待たせしました;
今回は残酷な描写がほとんどです。
苦手な方はスルーで><
某日某所
現実世界でこの日、一人の身元不明の少年が警察の手により逮捕されるということが起きた。
現場は俗にいう所のスラム街のような区域となっており、アンダーグラウンドな取引等の横行する無法地帯であり、警察であっても容易く踏み入ることの出来ないような場所であった。
この日、そのスラム街から近くにある保健所に異臭がするとの通報があり、場所が場所なだけに、その保健所の職員は警察を引き連れてその場に向かうことになった。
そして問題のとあるアパートの一室。
そのアパートの管理人と共に玄関前に到着した保健所の職員と警察官は、異臭というよりも酷い腐敗臭に吐き気を催すも、意を決してその玄関を開ける。
保健所の職員と管理人に玄関で待つように指示を出すと口に手を当て室内に入っていく警察官。
臭いの元を辿っていくに連れ、腐敗臭がよりきつくなっていくと同時に、おかしな音が聞こえてきた。
グチュッ…グチュッ…グチャッ…
警察官が目にしたのは一人の少年。
しかし、その少年の瞳は暗く虚ろな様子であり、彼の右手には逆手に持たれた刃物が握られており、一心不乱に力無く何かを突き刺し続けている。
明らかに不審なその様子に警察官がそちらに目を向ける。
「ひ、ひぃっ!?」
いったいどれだけ突き刺し続ければそのような状態にまでなるのか?
警察官が目にしたのは、文字通り血の海となった床と横たわる2体の遺体。
しかしその遺体はもはや原形を留めておらず、かろうじて残っていた頭部を見ることで、それが元は人間であったということだけが分かる、本当に見るも無残なモノと化していたのだ。
床一面を埋め尽くす大量の血液と、刺され続けた結果、切り刻まれた内臓と砕けた骨。
刺された際の苦痛により見開かれた2体の眼球は飛び出しており、現場を一言で表すのであれば、まさに地獄絵図というにふさわしい、そんな惨状であった。
警察官の悲鳴が聞こえたのか、刃物を振り下ろし続けていた少年の手が止まる。
少年は声のした方、つまり、警察官の方へとゆっくり顔を向ける。
「君…お、落ち着きなさい…ゆっくり手に持っているものを床に置くんだ。い、いいね?」
警察官は動揺を抑えながらも、少年に刺激を与えないようゆっくりと諭すように言い聞かせる。
警察官の言葉に少年は頭に「?」を浮かべたような表情を浮かべると自分の右手と自分の下敷きになっている遺体、部屋の状態を一つずつ確かめるように見渡す。
直後、少年は力尽きたようにその場に崩れ落ちるのだった…