女神の戯れ 貞操の危機
むにゅ…
「ん…んぅ…?」
さわさわ…なでなで…
「ふぁ…んん~…?」
ぺろっ
「ひぅっ!?な、何!?」
意識が飛んでいたらしいボクの全身に、生まれてこの方感じたことのない衝撃が駆け巡り思わず飛び起きる。
まず視界に飛び込んできたのは黄金で作られた見事な調度品が並べられている棚だった。
芸術的な物の価値が分からないボクでも、それらはとんでもない値段が付くであろうと予想出来る物ばかりであった。
次に気になったのは、今ボクが横たわっていた場所。
間違いなくベッドの上というのは分かったのだが、これがただのベッドではなかった。
王室などで使われていそうなほどの大きさの天蓋付きの巨大なベッドだったのだ。
「ここ……ドコ……?」
「んふっ…やっと起きた…」
「っ!?」
放心状態だったボクだったが、ふいに隣から声を掛けられ驚く。
声のした方に顔を向けると、そこにはボクが気絶する前に見た美女、もとい女神であるフレイヤさんが上目遣いでボクを見つめながら横たわっていた。
全裸で
「のわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
生まれてから14年しか経っていない、そして思春期真っ只中の男子にとって、刺激的過ぎる映像が視界に入ってしまい叫びながらも必死で顔を背ける。
「な、何してんですかぁ!?」
反射的に出たボクの言葉に、フレイヤさんはこう答える。
「ん~…裸のお付き合い?」
「は、裸?…ま、まさかっ!?」
フレイヤさんの答えに、数日前、こちらの世界に来た時の出来事がフラッシュバックし自分の胸元に手を当てる。
ボクも全裸でした
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
恥ずかしさのあまり、掛けられていたやたらと肌触りの良い上質な毛布の中に身を隠す。
すると、隠れたボクを追って毛布の中をもぞもぞと動いてフレイヤさんがボクを抱き締めてきた。
「ひぃっ!!」
ボクの背中にとてつもなく柔らかな感触と甘い香りが襲ってくる。
「そんなに騒ぐことないじゃないの~。同じ女同士なんだからさ~」
そんなことを言いながら、フレイヤさんは身を固くしているボクの身体を艶めかしい手付きで弄ってくる。
いや、ボクはこれでも中身は男なんだけど!?
そんなことを言っても、きっとこの女神様は信じてくれないだろうけど、それでもこの状態はよろしくない!!
ボクがフレイヤさんの手管を耐えているとその手付きがさらにエスカレートしてくる。
「んぁっ!!っ!?」
自分から無意識に出た声に驚きとっさに口を手で覆う。
なんていう声を出してんだボクは!?
ていうか今の感覚は…
「フ、フレイヤさん!さっき寝てたボクに何かしましたか!?」
ボクの問い掛けに蹂躙する手を止めて、フレイヤさんは少し考える素振りを見せ、ニヤリと口角を吊り上げこう言った。
「ん~?ふふっ…ごちそう様でした?」
「どういうことなのぉぉぉぉぉぉ!?」
この人の、いや、この女神様の言ってる意味が分からない!!
ボクはいったい何をされたんだ!?
何をされたのか分からない恐怖と、フレイヤさんが触ってくるたびに襲ってくる全身を駆け巡る衝撃の恐怖。
二重に襲ってくる恐怖に耐え切れなくなってきていたボクはすでに涙目になっていた。
「じゃあ改めて…いっただきまぁす!!」
「や、やだ…やだぁぁぁぁぁぁ!!」
呼吸が荒くなり、さらには獲物を前にした時の猛獣のような目付きになるフレイヤさん。
せめてもの抵抗で叫ぶボク。
もうダメだとボクが諦めかけたその時…
部屋のドアを開けて入ってくる、ボクにとっては救世主のような人物が現れた。
「お戯れもそこまでですよフレイヤ様…お召し物をお持ちしました」
「あら…ご苦労様ヒルデ」
現れたのは、おそらくこの館(?)でメイドを務めているヒルデさんと呼ばれた女性だった。
呼ばれたフレイヤさんはというと、ヒルデさんを見ると急に素に戻り労いの言葉を掛けるのみ。
ボクの脳内アラームが徐々に警戒レベルを下げていく。
「た…助かった…」
フレイヤさんからの拘束を解かれたボクは、そのまま力無くベッドに顔から突っ込む。
「う…うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
恐怖から解放された安堵と身の危険が去ったことも相まって、しばらくの間、ボクは久々に、本気でマジ泣きしてしまった。
文字通り、シーツを涙で濡らすボク。
その様子を見ていたフレイヤさんは「やりすぎたかしら?」と反省した様子も無く述べ、ヒルデさんは瞳を閉じて、ただひたすらに無言を貫くのだった。
ボーナストラックです
ラッキースケベ?
いえいえ…この作品の主人公は不遇されていますので襲われるのがデフォです