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R.P.G~Ragnarok.Proxy.Genesis~  作者: 銀狐@にゃ〜さん
第1章3節 冒険者ギルド
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冒険者登録?

遅くなりましたm(_ _)m



(さてと…まずは冒険者登録しないとね…受付は何処だろう?)


 冒険者ギルドに入ったボクは登録するための受付を探していた。


 外から見ていて分かってはいたけど、建物自体も大きかったが、中も色々な部署があったらしくかなり広くなっていた。

 ギルドの中は現実世界での区役所のような造りになっているようで、様々な役割を担っている部署毎に分かれていた。

 所狭しと依頼書が張られている巨大なコルクボードの前には、何人もの冒険者達が内容を見たりしていて非常に賑やかだった。

 そんなコルクボードの脇に、現在地とギルド内の見取り図が表示された案内板があった。

 中の様子が分からないボクは、目的の部署を探すため、案内板の前に立つ。

 ボクの目当てはもちろん登録受付だ。

 親切なことに、大まかにではあるが、案内板にはそれぞれの部署の役割が書いてあった。


 主に冒険者の新規登録や情報更新等を行う登録課(レジストリ)


 クエストの受注受付や依頼申込等を行う申請課(リクエスト)


 クエストをクリア、または解決した際の報酬を支払ったり、冒険者達が持ち込んだ素材の買い取り等を行う精算課(アドジャスト)


 それぞれの部署を紐解けば、更に細かく分類されているみたいだったが、大きくまとめてこの3つに大別されているらしい。


(ここだな…それにしても、こうして見ると本当に役場みたいな感じだなぁ。行ったことないんだけど…)


 そんなことを考えていたのだが、先程から周囲からの視線が鬱陶しい…

 すぐ隣にあるコルクボード前にいる冒険者達や、遠目ではあるが明らかにこちらを観察するかのような視線。

 他にも、珍しいものを見るような視線や、寒気を覚えるようないやらしい視線も感じたが、ボクの性別や年齢から判断して、やはり珍しいのだろう。

 ボクがギルドに入ってきた時に見た周囲の冒険者達の中に、ボクと同じような年頃の冒険者は見当たらなかったし。


(こういうのも慣れないとなぁ…)


 こうしていても仕方ないと思ったボクは、気を取り直して目的である登録課の場所を確認し、早速向かうことにした。


 冒険者ギルド登録課。

 受付時間も終わりに近いためか、3つある受付の内、2つはすでに閉じられていた。

 必然、残りの1つに向かうしかないボクはそこへ向かい声を掛ける。


「ご、ごめんください…」


「……どういった要件でしょうか?」


「あ、はい。冒険者登録をしたいんですけど…こんな時間に申し訳ありません…」


 なんだろう…

 目の前の受付嬢の人は、妙に機嫌が悪そうで、やたらと威圧的な感じで応対してくる。


「はぁ…登録ねぇ…今回担当するレイア・ララネルよ。じゃあ、この用紙に必要事項を記入して頂戴」


「あ、分かりました…」


 この受付嬢さんはレイア・ララネルというらしい。

 見たところ、年齢は20歳前後といったところで、ヘンリーと同じ年頃の女性だ。

 背中ほどまでの髪の長さで、明るい赤毛の毛先だけが外跳ねしている髪型だ。

 今も機嫌を悪そうにしているが、平素の時も気の強そうな印象を受ける。

 他の女性職員同様、スーツのような制服に身を包んでいる。

 う~ん…なんでこんなに睨まれているんだろう…

 ボク何かしたかなぁ?

 登録用紙に記入しているだけなんだけど、レイアさんの視線が先程からチクチク痛い…

 というか、レイアさんってどこかで聞いたことのある名前な気がするんだけど、妙に睨まれているため、気にはなるけど早く済ませた方がいいと思い頭の片隅に思考を追いやる。


「で、出来ました…」


 気まずい雰囲気の中、何とか記入を終えたボクはおずおず用紙を提出する。


「ふぅん…ミネルバ・リッジコーストさんねぇ…歳は…は?15歳?何?アンタふざけてんの?」


「え?で、でも登録するのに年齢制限なんてありませんよね!?」


「そりゃ無いけど、アンタみたいな女の子が冒険者なんてまともに務まるわけないじゃない」


 レイアさんに用紙を渡すと、これまで我慢していたのかどうかは分からないが露骨に態度を一変させてきた。

 ボク自身は全くふざけているつもりもなかったので、レイアさんが指摘してきた内容に食い下がるも、今度はボクの見た目で判断する言動で切って捨てる。

 ボクとレイアさんのやり取りを遠巻きに見ていた冒険者達が興味深そうに眺めている。


 ぐぬぬ…どうやって乗り切るか…


 そこでボクはあることを思い出した。


「あ!そうだコレ!!」


 ポーチの中から取り出したのは、グラン達から持たされた2通の手紙。


 つまり紹介状と推薦状だ。

 これを見せればレイアさんもきっと納得してくれるはず!

 そう思ってボクは2通をカウンターの上に置く。


「ん?何コレ?」


「紹介状と推薦状です!!」


 ふぅん…と言って2通を見るレイアさん。

 2通を手に取り、裏表とサッと見る。

 やがて見終わったレイアさんが冷めた眼でボクを見つめ


「偽物ね」


 たった一言だけ告げて近くにあったゴミ箱に投げ入れた…


「なっ…えぇぇぇぇ!?」


 レイアさんのあまりの暴挙に思わず叫ぶボク。


「そんな…どうして!?」


「あ~もう…うるさいわね!!どこでこんなの掴まされたのか知らないけど、今この本部を含め、他の支部でもこの手の詐欺が横行してんのよ」


「いや、でもコレは―――」


「特に、こういった有名処のクラン『自由意志(フリーダムウィル)』の名を語った物が多いわねぇ…」


 こちらの説明などまるで聞く気は無いといった様子で話を切るレイアさん。

 開いた口が塞がらなくなってしまったボクはその場に立ち尽くす。

 すると、レイアさんが吐き捨てるように告げる。


「ま、私が担当してよかったわね?このまま手続きしてたら、アンタ、牢屋行きだったわよ?」


「…………」


「分かったらサッサと帰りなさい。世間知らずのお・嬢・さ・ん」


 レイアが言い終わると少しの沈黙の後、堰を切ったかのように周囲の冒険者達が大笑いしだした。


『ぎゃははは!!レイア嬢も新人の割に言うじゃねぇか!』


『はは!!よく見りゃまだ子供(ガキ)じゃねぇか!?ホラホラ、子供は帰ってママの手伝いでもしてな!!』


 事の成り行きを一部始終見ていた冒険者達からボクに対して野次が飛んでくる。

 やがて受付終了の時間になり、目の前の受付にも【本日の受付は終了しました】と書かれた札が立てられ、ボクは冒険者ギルドからの退去を余儀なくされてしまう。


 後ろ指を指されながらギルドから出たボクの足取りは非常に重苦しいものになり、すれ違う人々に何度もぶつかりそうになってしまった。


「ヤバイ…詰んだ…どうしよう……」


 打つ手の無くなったボクは、途方に暮れながら、来た道を戻ることしか出来なかった…

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