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第5話 ETERNAL RETURN(Ⅰ)

 アストを失い、戦力的なダウン……は、それ程無いが、さすがに精神的なダメージは計り知れない物があり、アタシ達は窮地に陥っていた。

 アタシを含め、五体満足な者など何処にもいない。傍若無人に暴れ回っていたドラスティック・ガールでさえも、今やボロ雑巾状態。


「エネルギー切れですぅ……ふにゅう~……」


 アンタのエネルギー源が何なのか知らないから補給が出来ないのが残念ね。


「せんぱ~い……んめぇ棒の塩辛味くださ~い……」


 お菓子かよっ!


「エミリー……この一件が片付いたら買ってあげるわよ」


 ……リック課長が、ね。多分。


「オイラも……エネルギー……切れ……」


 舌を出したまま大の字で突っ伏すパイちゃんには女子会の時にクリスが用意していたビーフジャーキーでもあげよう。

 ……もちろん、無事に帰れたら、の話だけど。

 今の状況では動こうにも動けないし、右腕も関節が壊れたのか、使い物にならない。相も変わらずDOOMとの睨み合いは絶賛継続中だし、動くどころか瞬き一つ満足に出来やしない。

 DOOMとの睨めっこも、いい加減飽きてきたわね……

 とは言えど、こちらはmagicを構え、奴はトーラスなんたらを構えたまま一歩も動けずにいるこの状況……何とかして打開策を練らなきゃならないんだけど……




 どーしたもんかなぁ……




 DOOMに睨みをきかせつつ、magicを持つ手でポリポリと頭を掻くが、そうそう都合よく打開案が浮かぶ訳もない。

 あれやこれやと思案していると、足元辺りから声が聞こえてくる。


「レ、レイア……」


 ずりずりと芋虫さながらに這い寄ってくるシン。ちょびキモいんですけど?


「な、何よ……シン?」

「今……キモいとか……思ったろ? し、仕方無い、だろ……両手に加え、両足の自由も奪われたんだからな……」


 む、バレた!? つーか、大体何で両足を縛られてんのよ? と、一瞬の隙を見逃す相手ではなく、トリガーに掛けられたDOOMの指が動く。

 しくじった! 恨むわよっ、シン!

 しかし、トーラスなんたらからは乾いた音だけが空気を裂き、弾丸が発射される事は無かった。


「な! 弾切れだとっ!?」

「た、助かった……?」


 忌々しい物を見るようにトーラスなんたらを睨み付けるDOOMを尻目にシンが話し掛けてくる。


「やはりそうか……あのトーラス・レイジングブルは……リボルヴァーの……弾丸装填数が5発のタイプ……モデル500だったか」


 意味が分からないので聞き流そう。


「先程発射された……弾丸を拾って調べたから……わかったのだが……口径が……500S&Wマグナム弾……これはレイジングブル……の中でも、モデル500しか……有り得ない……からね」


 体のあちこちが痛むであろうに、何をそんな下らない事をベラベラと喋るのだ、この男は?

 やはりコイツは戦場のド真ん中に放り込んでも生きて帰るタイプだ。

 だが、確かにDOOMは5発の弾丸を撃っていた。それを記憶していたシンの頭脳は賞賛に値するのかも知れない。無駄にIQが高い訳では無い事が証明された瞬間だった、てか。


「んで、アンタはそれを伝えるためだけに芋虫さながらに這い寄ってきたワケ?」

「いや、それもあるが……言い忘れた事が……あって……ね。『magic』の弾丸装填数は……1発だけだ……」

「あ、そうなんだ」




 ……………………………………




 ちょっと待てぇぇぇぇぇいっっっ!


「バカなのか、お前はっ!? え? 何? ここに来て言う事、ソレ? 弾丸1発って……外したらおしまいじゃん、それ!? せめて2、3発は欲しいわよっ!」


 アタシの射撃の腕前、舐めんなよ! それに加えてアタシの利き腕は使い物にならないってのに……




 そんなんでアストの仇が討てると思ってんの?




「フェイの奴めぇぇ……どこまでもこの俺をコケにするかぁぁ!」


 DOOMはトーラス以下略を投げ棄て、両の掌からエネルギー弾を撒き散らせながら間合いを取るために後方へと飛び退いていく。


「風の盾っ!」


 咄嗟にカイルが防御壁(ぼうぎょへき)を張ってくれたお陰で何とか防げたが、当の本人は精神力を完全に使い果たしたのか、その場に崩れ落ちていく。


「カイルッ!」


 そしてお決まりのパターンの如く、ハル、リサ、エルマの3人が足を引き摺りながらもカイルの介抱をするべく、我先にと争っていた……




 取り敢えず、一難は去ったか……?

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