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第4話 豹変する二律背反(Ⅲ)

 煌々と灯るランプの灯りを受け、姿を現したゲート。そして現れる姿の主は……


「アンタら、とうとうこんな所まで来ちまったか」

「フェイッ!?」


 ある意味、DOOMよりも厄介で空気読め無い奴だわ。

 ……ま、少しは可能性として予想してたけど。


「悪いが、アンタらをここから先に行かせる訳にはいかねンでな」


 その口調に若干の違和感を覚える。


「何かさ……アンタ……キャラ変わってんじゃない?」

「そんな事に何の意味がある?」


 フェイの目に生気が無い事は見てとれた。

 何かが違う。

 コイツは……


「貴様っ! 動けば撃つぞっ!」


 ルミが威嚇する。が、それは奴にとっては何の意味も成さない。


「撃ちたくば撃て。俺はここにいるぞ?」


 一歩、また一歩と歩み寄るフェイ。


「止まれっ!」


 ポールが超振動剣(ハイパー・ヴァイブロブレード)の柄を握り直す。


「斬れるモノなら斬ってみろよ~! ホ~ラ、ホ~ラ、ホ~ラ!」


 最大限に舌を伸ばし、こちらを挑発してくる。

 コイツは本当にあのフェイなの……?


「おねーさん……嫌な臭いがする……」


 眉間に深い(しわ)を作り、フェイを睨むパイちゃんの言葉で、嫌な予感が確信に変わる。


「それってつまり、魔族の臭いって事?」

「多分……」


 魔族に堕ちたか、フェイ。だったら!


「ポールさん、ルミさん! コイツはもう人間じゃないわ! 思いっきりやっちゃって!」

「クリス様、お嬢様を宜しくお願いします」


 そう言って、ジェフは両手のアタッチメントを外す。


「おおっ! これは……」


 何故か驚きの声を上げるジェフ。


「シン様……感謝致します」


 ジェフの右腕は、ビームガンの銃口が覗いている。が、左腕には……


「ちょ、ジェフ! その左腕って、もしかして、シンの奴が?」

「えぇ、超振動剣(ハイパー・ヴァイブロブレード)ですね。素晴らしい」


 な、何つけとんじゃあぁぁぁぁぁ~っ!


「アイツ、やりたい放題ね」

「ジェフ、大丈夫なのですか?」

「カッコいい~♪」


 ま、まぁ、ジェフ本人が満足してるならいいか。それに、戦力アップには違いない。

 今回ばかりは、我がロイス・ジャーナルが誇るマッド・サイエンティストに感謝しておこう。


「ママゴトはもう終わったかい?」


 律儀に待っててくれたんだ……


「さ~てとぉ。君達にはここでリタイアして貰おうかな。色々と僕達の秘密を知ってしまったみたいだし、ねぇ?」


 口調とは裏腹に、その眼光は鋭利な刃物の如き鋭さだ。


「やっぱりここがJ・D・Uの……」


 ルミが言った瞬間、彼女の頬を風の刃が切り裂き、鮮血を散らす。


「そっかぁ、そこまで知ってるんだぁ~。じゃあ、尚更ここで終わってくれなきゃねっ!」


 無数の風の刃が迫り来る。

 精霊使いチームが居ない今、これはヤバ過ぎじゃないのさっ!


「むんっ!」


 万事休すと思われたが、ジェフがアタシ達の前に立ち、壁となる。


「私の身体には、こんな物は効きませんよ?」


 浅黒い肌に白く輝く歯、そして何故か似合う金髪オールバックが今はとてつもなく頼もしい。


「ほぅ……ニオブ合金かな? 確かに俺の力じゃ分が悪いね」

「いえ、ニオブとモリブデンの化合合金です。アンドロイドの身体には丁度良いもので。では、こちらからも行かせて頂きます!」


 ビームガンを乱射しながら突撃するジェフ。

 いっけいけ~っ♪


「レイア様、ルミ様、願わくば援護射撃をお願い致します!」

「任せてっ!」

「ラジャー!」

「ポール様、私と共に突撃願います!」

「言われずともっ!」


 連係プレーに戸惑うフェイ。


「くぅぅっ!」

「そこですっ!」



 ジェフのビームガンとアタシ達のソード・ガンの連続射撃!


「ぬううっ!」


 フェイも風の力を使ってバリアの様な物を繰り出して防ぐ。


「どうやら、多勢に無勢って感じかな? ここは一旦退こう。だが、次は私達が君達に滅びを与える」


 お決まりの捨て台詞を残し、フェイはゲートへと消えていった。


「何とか撃退、って感じかしらね」


 クリスが汗を拭う中、アタシは消えていくゲートを睨み、ある違和感を拭えずに立ち尽くす。


「何なの、アイツ?」

「レイアさん、あの方は本当にあのフェイだったのでしょうか?」


 どうやらミリューも違和感を覚えていたようだ。

 明らかにおかしな部分はあった。ヤツが話す度に一人称が異なっていた事をアタシは聞き逃さなかった。




 ……何かヤヴァイ薬でもやってんのかしら?




 邪魔者は消えた事だし、一切の希望を捨てて階段を上がりましょうか。


「課長様達を待っていなくても大丈夫なのでしょうか?」


 ミリューの一言で躊躇(ちゅうちょ)し、階段を踏み外す。危うくコケるところだったわ……


「あ~、それもそうね。じゃ、待ちますか」


 モノの数分もすると、リック達が戻ってきた。

 見慣れた顔を引き連れて……

 いや、最後に姿を現した人物だけは、見覚えが無かった。

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