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第4話 豹変する二律背反(Ⅰ)

 階段を上り、二階へとやって来た。

 DOOMの姿は……無い。その代わりに、と言っては何だが、階下へと下りる階段がある。上へと続く階段は……あら?


「ねぇ、レイア。どうやって上に行くの、これ?」


 クリスの言う通り、上層へと向かう階段が見当たらない。


「何よコレ? ここで打ち止め?」

「外観を見た限りでは、十数階は有りそうな感じだったが、しかし、これは一体どういう事だ?」

「課長、あそこに扉があります!」


 ブライアンが指差す先には、いかにもな扉があった。

「どうする? 行く?」


 あからさまに怪しい。怪しさ大爆発だ。クリスの提案に伸るか反るか? ま、選択肢は他に無いんだけどね。下へ向かう階段には意味が無いだろう。ならば、答えは一つ。


「行くしか無いでしょ」


 と言った矢先だった。


「せ~んぱ~いっ! 開っきましたよ~!」


 ドラスティック・ガールここにありっ!


「ちょっと、エミリー! 勝手な行動を取らないで頂戴!」


 上司であるルミが苦言を呈すも、彼女の耳に届く筈が無い事は、アタシ達はイヤと言う程分かっている。

 彼女との付き合いはアタシ達の方が長い。(エミリー)の突飛な行動は今に始まった事じゃない。


「あえ? また扉がある~?」


 両手の人差し指をこめかみに当てる、お決まりのポーズを取るエミリーの元へと駆け寄り、その扉の前で固まる。

 扉にはこんなメッセージが書かれていた。




 『汝、一切の希望を捨てよ』




 陳腐な脅し文句だ事。時代錯誤も甚だしいわね。


「課長さん、これ、どう思う?」

「下らないな。先へ進もう」


 決まりね。さてさて、んじゃ、行きましょかね。

改めましての第一歩、っと♪




 どごーーーーーーんっ!




 踏み出した瞬間だった。階下から、けたたましい爆発音が轟く。


「ななな、何よ、今の?」


 有り得ない爆音が聞こえたのは、どうやら気のせいでも空耳でも幻聴でも無いようだ。


「どうしましょう、課長? 様子を見に行きましょうか?」

「STはいつでもオートドライブで呼べます!」


 ポールとルミ、STのバックアップ担当の二人が上司へと進言する。なんて職務に忠実なのだろうか。


「確かにあの爆発音は異常だな。確認する必要があるかも知れん。ポール、ルミ、君達はSTのスタンバイを頼む。ブライアン、エミリー、行くぞっ!」


 二人を伴って階下へと降りて行く銀河民生活安全課課長サマの背中は頼もしい限りだ。


「君達はそのまま先へ進んでくれ。我々も直ぐに後を追う!」


 それだけに、思わぬ所で戦力ダウンだわ。このまま奴等に出くわそうモンならひとたまりも無いだろう。

 それでも行くしか無い。アタシの好奇心は、こんな状況でも一向に収まる気配は無い。我ながら困ったもんだわ。


「おねーさん……よくこんな状況で笑っていられるね?」


 ……笑ってる?




 そう……アタシ、笑ってるんだ……


「それは多分、小首を傾げるパイちゃんが可愛いからよん♪」




 もちろん嘘だ。




 ミリューやジェフが心配する中、クリスが投げ掛けてくる視線は、アタシの事を100パーセント信頼してくれてるような、優しい物だった。

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