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第1話 ヘタレの決意表明(Ⅲ)

 ミスターからもたらされたと言う情報を簡潔にまとめてめる。

 キーワードは二つ。




 『オールトの雲』と『聖地アアル』だ。




 全く、すべからく、なかんずく、あにはからんや、理解不可能だ。まず、僕自身が何を口走っているのか理解不可能だ。


「オールトの雲……一般的には太陽系を取り巻く天体群の事だが、ミスターは組織の名称だと言っていたそうだ。そして、聖地アアル。フレイア様も言っていたDOOMの居城だけど、確か、ガイアの超古代の神話か何かだったと思うがミスターはそれ以上は言って無かったらしい。クリスが詳しかったんだけどね」


 シンさんの知識には脱帽モノだが、それ以上に驚いたのはクリスさんが神話に詳しいと言う情報だった。

 カイルさん達にミスターの事を聞かれたが、正直な話、僕達も詳細を知らないのだから答えようが無かった。


「ジャーナリストなら、それくらい調べられるんじゃないの?」


 エルマさんの言葉は、ペンの芯くらいの大きさではあるが、サクッと胸に刺さった。ミスターについては本当に何も解っていない。素性はおろか、性別さえも。


「謎の人物って事? 本当に信用出来るの?」

「怪しい~」


 ハルさんとリサさんに改めて言われるとその通りなのだが、これまでミスターから得た情報は恐ろしいまでに正確なのだから信用せざるを得ない。


「そうなんだ。一応、信用は出来る人物なのね?」


 ハルさんの言葉に僕は申し訳程度に頷く。




 当てもなく、てくてくと放浪者気分を満喫している中、カイルさんは記憶を辿っていたらしく、思い出した事を告げてくる。


「確か、巨大な教会があった筈だ! もしかしたら、そこがDOOMの居城かも知れない!」


 教会! 規模にもよるが巨大と言うならば、レイアさん達が砦みたいなモノと例えても不自然では無いだろうか? その旨を伝えると全員が納得してくれた。


「目的地は決まった! 後は見つけるだけだ!」

「どうやって?」


 カイルさんの言葉尻を捉えるかのように言葉を被せるハルさん。ナイスなコンビプレーだ。


「確かに、このまま闇雲に歩き続けても無駄っぽいよねん」


 こんな状況でもリサさんの口調は軽い。

 ……強いなぁ。僕なんて半ば途方に暮れているというのに。


「アスト君とシンさんはどうなの?」


 さっきの決意は静寂の闇夜に掻き消えたのか、僕には何も思い付かない。


「そんなに巨大な建造物なら、この暗闇でも近付けば分かるはずだ。偶然の確率は決して高くは無いが、何もしないよりはマシだろう。奇跡、と言う言葉は、ボクは好きじゃないが、僅かでも可能性が有るなら、賭けてみるのも一手かも知れないね」


 やはりそれしか無いのか。状況はかなり絶望的だ。

 しかし。




 絶望の中にこそ希望はある。




 今はそれに賭けるしか無い。

 僕達は闇に向かい歩を進めた。

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