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第3話 女子会とは酔っ払い養成所である(Ⅱ)

 自慢じゃないけど、アタシの悪い予感は結構な確率で当たる。ホントに自慢じゃない。むしろ、こんな特殊能力は要らない。そして、今も悪い予感しかしない。


「死んだ、って何で?」

「DOOMのやり方に納得しなかったワシらは、徹底抗戦の構えを見せた。ぢゃが、ワシらが甘かった。数百人いた男達は皆、やられてしもうた。たった一人にな」


 DOOMの恐ろしさはアタシ達もイヤと言う程味わった。あの時、二人が来てくれなかったらおそらく今頃は……


「血気盛んな若い男衆が全滅し、ワシらもこれまでかと腹を括ったが、あのお方が来てくれたお陰で何とか助かったのじゃ」

「あのお方?」

「アイル様の事ね?」


 呼んでもいないのに、クリスが目を輝かせながら会話に飛び込んで来る。


「ね、ね、ね、アイル様はどんなお顔でしたの? イケメン? ね、イケメ……ぐふぉあ!!」

「あ、ごっめ~ん!」


 あんまり小うるさいから腹パン入れちゃった、テヘッ♪

 そして、事も無げにジェフは話を続ける。自分でやっといて何だけどクリスが不憫だわ。


「フレイア様……そのお方はもしや?」

「私の兄さ……」


 ミリューの言葉を遮り村長が言う。


「ワシは嬢ちゃんの兄の顔なぞ知らぬが、間違いなく王族の者では無かったのぅ。王族の証であるレダの紋章が無かったからの」


 レダの紋章? なんじゃそりゃ?


「あ、それならこれです」


 ミリューが左腕の袖を捲り上げ、二の腕辺りにある模様を見せてくれた。

 それは、十字架を模しており、タトゥー等では無く、むしろアザに近い。おそらく生まれついての物だろう。それがアイルには無かったのか。

 あれ? この形って確か……


「アスト、これってルードの指輪の紋章と同じじゃない?」

「へ? あ、そう言えばそうですね!」


 ルードの指輪に刻まれた紋章とミリューの腕にあるレダの紋章は、微妙に異なる部分もあるが、ほぼ同じ十字架の形を模していた。


「それって、皆同じ場所に出来る物なの?」

「いえ、お父様は右肩に有りましたし、兄様は……」


 途端に言い淀むミリュー。何だ?


「どうしたの、ミリュー? お兄さんの紋章はドコにあるの?」


 何故か言いづらそうに赤面し、モジモジしだしたミリューを見かねた様にパイちゃんが代わりに答える。


「アインの紋章はお尻にあるんだよ」

「お尻! ワオ~♪ 見てみたいわぁ~」


 あ、クリスの奴め、復活しやがった。って、え? 村長、アイルのお尻見たのか!?


「着替えを偶然見てのぅ。ふぇっふぇっふぇ」


 わ、若い……

 しかし、そうなるとアイルは一体何者なのだろうか。シン達の話ではアイルは王族御用達、つまり、王家の者だけに許された特殊なソード・ライフルを所持していた。やはり、アイルはアインなのか?

 名前も似てるからねぇ。何らかの理由で偽名を使っていると考えた方が辻褄が合うだろう。やっぱり本人に会うのが一番手っ取り早いわね。

 それはそうと、アタシ達の会話に参加しながらも、先程から元気の無い子供達を見て何やら相談しているミリューとジェフ。

 ……何か面倒臭そうな事を画策してなきゃいいんだけど。

 顔を見合わせた二人は、同時に頷くとアタシ達の方へ向き直り宣言する。


「皆さん、先程ジェフと相談したのですが、ここはひとつ私達で屋台をやりませんか?」


 まぁ、大体の予想はついたけども……ホントにやるの?

 料理関係はジェフに丸投げするとして、アタシ達は何をすればいいの? テキ屋の経験なんて無いわよ?


「ねぇアスト、どーすんの?」

「僕に言われても……あ、シンさんはどうするんですか?」

「ん? いや、どうって言われてもねぇ……あ、そうだ、アスト君! ゲッタンガーZの上映会なんてどうだい?」

「うわぁっ! イイですねぇ、それ!」


 ……良くねぇよ。

 つーか、ここに来てとうとう人死にが出たってのに……いや、コイツらも皆を元気づけようとしているだけなのだ。そう思おう。そう思えば、子供達を元気づけるにはアニメは有りかも知れないわ。




 僅かながら、ゲッタンガーZが気になって来たわね。

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