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第5話 天才と人災は紙一重……なのか?(Ⅳ)

 シンさんが作ったと言うゲート。これを使えば一気に常夜の国へ行けるハズだ。と、この場にいる誰もがそう思っていた。


 一人を除いては。


「ちょっと待ってよ、シン! それってどーゆー事よ!?」

「シン! 話が違うじゃないの!?」


 レイアさんとクリスさんが物凄い剣幕で詰め寄る。


「シンさん、本当にどうにもならないのでしょうか?」


 懇願するミリューさんをジェフがどうにかなだめている。パイはと言えば、ミリューさんの胸元に潜り込んでやれやれ一服、ときたもんだ。相変わらず羨ましい限りだ。そして、僕はと言うと……


「シンさぁ~ん! 何であのゲートがもう使えないんですかぁ~? 実際、シンさん達はあのゲートを使って来てくれたじゃないですか」


 暫くの間、言い淀んでいたシンさんだったが、ついに観念し、閉ざしていた口を開いた。


「う~ん……アレ、どうやら失敗作だったみたいでさ。十分な実験をする前に見切り発車で使用しちゃったからねぇ」

「見切り発車って? え? じゃ、ワタシ達がゲート開いて来れたのって?」

「うん、偶然と言う名の奇跡だね」


 何だろうか、この言い知れない不安感は。嫌な予感しかしない。


「つまり、ゲートは不完全な状態だったって事ですよね?」

「うん、そうだね」


 何でそう言う事を、しれっと言っちゃうんだろうか、この人は。


「つまり、次にアタシ達が使ったらどうなるか分からないって事かしら?」

「う~ん、まぁ、どうなるかは大体の予想はつく。上手くいくか、時空の狭間に閉じ込められるか、どっちかだね」


 だから、恐ろしい事をサラッと言わないで。


「それじゃ、そのゲートは使えないわね。絶対に」

「もぅ! シンのバカ! 危うく死にかけたんじゃないのっ!」

「それは君が急かしたせいだろう? ボクの責任じゃない」

「責任逃れする気?」

「責任逃れとは失敬な! むしろ君がボクに責任転嫁しているんじゃないか!」


 まあまあと、宥めてから、横道に逸れまくっている話題を軌道修正するべく、気になった事を言ってみる。


「あの、ゲートで気になったんですけど、ミリューさんのお店の裏にあるゲートは大丈夫なんですよね?」


 そう――ゲートはシンさんの作った物だけじゃない。恐らくはDOOMが作ったと思われる、元祖のゲートがある。

 運行管理をしていたミリューさんによると、定期的にメンテナンスを行っていたので大丈夫との事だった。

 ゲートの存在を二人に伝えると、よし、直ぐに行こう! となり、早速ゲートへと向かう事になった。

 ほぼ全壊してしまったホテルとジェフさんのレストランは、とても営業出来る状態ではないので、彼も僕達と行動を共にする事になった。




 再びゲートの前に立つ。改めて見ても絢爛豪華な装飾だ。ここまで来たならば、もう覚悟を決めるしかない。レイアさんはともかく、全員同じ気持ちだろう。


「皆さん、準備は宜しいでしょうか?」


 一斉に頷く。


「では」


 思わずゴクリと喉が鳴る。

 ミリューさんのか細い手がゲートに触れる。その瞬間ゲートから眩い光が溢れ出し、僕達に向かって注がれる。


『ゲートが作動しました。係員にお知らせ下さい』


 か、係員? いや、係員ここにいますけどっ!? てゆーか、それどころじゃないし!


「うわあっ!」

「何よ、これ!?」


 初体験の僕とレイアさんは思わず叫ぶ。光を浴びた僕達は、空間と一体化したかのような、何とも形容し難い異様な感じだった。素粒子レベルまで分解され、再び元に戻る。まぁ、そんな感覚は体験した事が無いけど、例えるならそんな感覚だろうか? しかし、他の皆は経験済みなせいか、さして驚いた感じも無く、至って平然としている。

 それにしたって、シンさんとクリスさんは僕達と同じリアクションを取ってもいいと思うんだけどなぁ。


「みなさん、出口が見えてきました。さあ、参りましょう、夕闇の国へ」


 このゲートの先、夕闇の国では何が待っているのだろうか?

 今までも色々あったから、まぁ、今まで以上の事が起こるんだろうと覚悟をしておけば、何があっても驚く事は無いだろう。




 ……果たして本当にそうだろうか?




 DOOMとの再戦とかあったら嫌だなぁ。

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