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第5話 天才と人災は紙一重……なのか?(Ⅲ)

 二人はDOOMに関する、あるネタ(編集長命令で、僕達にも口外禁止らしい)を追って常夜の国にいたそうだ。僕達よりも二週間ばかり前にこの惑星に来ていて、その時には既に明星の国はこの状況だったと聞いているそうだ。


「ボク達は自前のシャトルで夕闇の国へと降り立ったからね」


 シンさんはシャトルを所持している。てゆーか、自作した。有り得ない天才っぷりを発揮するのも大概にして欲しいものだ。

 他にも、さっきレイアさんが使ったアサルト・レールガンを開発したり、何だかんだ怪しげなモノを研究・開発している。

 二人はDOOMに関する、ある情報を集めていく内に、DOOMの所在を突き止めた。それは意外にも夕闇の国にあったらしく、なんとそこでDOOMと接触する事に成功したそうだ。その成功の裏では、シンさんの頭脳が大いにモノを言ったそうだ。


「ワタシの美貌も役に立ったわよ?」


 クリスさんが言うが、レイアさんに言わせれば


「確かにアンタの美貌は、アタシと一、二を争う二位だもんね」


 だそうだ。クリスさんが苦虫を噛み潰したような顔で睨み付けるが、レイアさんは意にも介さない。

 そして、接触後はDOOMの下で兵器や様々な技術の開発を行っていたそうだ。

 ……ん? 兵器?


「あの、シンさん? 兵器の開発って?」

「あぁ、それかい? この惑星の戦術レベルはボク達よりも遥かに劣っていたが、DOOMが持っている知識はボク達よりも遥かに上を行っていた。だけど、技術力が圧倒的に足りていなかったから、ボクの力が役に立つんじゃないかって思ってね」


 満面の笑みで話してるけど、それって、思いっきり敵に加担してるよね?


「敵を欺くにはまず味方から、って言葉があるだろう? その逆も然り。味方を欺くにはまず敵から、だよ」


 味方を欺いてどうするんだか。


「つまり、敵を欺くために、味方だと思わせといて、その味方、つまり、敵を欺いたのさ」


 ややこしい話だなぁ。頭が混乱してきたよ……


「欺いたって事は、DOOMの下で開発した兵器とやらは当然、欠陥品って事よね?」

「いや、ボクは完璧主義者だ。手を抜くなんて無粋な真似をする訳が無い。それはレイア、君も良く知ってる筈だろう?」


 シンさんは自信たっぷりにレイアさんの顔を指差しながら言う。そして分厚いメガネがキラリと光る。


「レイア……残念ながら、このドアホは相変わらずよ。ワタシもパートナー辞めたいもん」

「はぁ……やっぱりねぇ。聞いたアタシがバカだったわ」


 これは、かなり厳しい状況かも。

 当事者であるシンさんは、自身の知識や技術力を遺憾なく発揮出来た事に満足している。こんなに厄介な人だったのか……

 辟易している僕達に、救いの手を差し伸べてくれたのはミリューさんだった。


「皆さん、大丈夫ですよ! 希望の光は見えてきましたから」

「はぁ? どこにそんなモンが見えてんのよ?」


 すっかりやさぐれモードに突入しているレイアさんが悪態をつく。相手は王女様だってのにこの人は。


「シンさんの技術力や知識は必ず私達にとって大きな力となります。そして、クリスさんの行動力は、レイアさんと共に有る事で絶大な力を発揮するでしょう。私達にとっての希望の光でしかありません!」


 力説するミリューさんのそれは、超ポジティブ思考以外の何物でもない。

 超ポジティブ思考は、その殆どが絵空事でしかない。空虚なる空想だ。しかし、時に人はそれにすがる。ゆえに、人は脆弱で無力だ。でも、その超ポジティブ思考は間違いなく強い力、意志の表れである。その力や意志に人は惹かれるのかも知れない。

 それがきっとカリスマと呼ばれるモノなのだと、僕は思った。

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