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第5話 天才と人災は紙一重……なのか?(Ⅱ)

 僕の上司は敬愛すべき女性だ。

 だけど……時々暴走する。今回はその『時々』のケースに当てはまるだろう。


「レイアさん。これはちょっと、やり過ぎたんじゃないですかね?」


 辺りを見渡すと、ホテルの壁は、と言うかホテル自体が完全に破壊され、僕が言った『ちょっと』は限り無く、幾重にもオブラートに包んだ言い方だったのだけど。

 まぁ、レールガンの超電磁波でDOOMの思念体を消し飛ばす事が出来たのは良かったけれど、一緒に建物まで消し飛ばす事になるとは。


「ああ、店が……」

「あ、あはは~。これは、さすがにやり過ぎちゃった、かな?」


 項垂(うなだ)れるジェフさんと頭をポリポリ掻きながら冷や汗を垂らすレイアさん。これは反省文や始末書で済む問題じゃないかも。

 罰金、減給、もしくは最悪……クビの可能性だって十分に有り得る。


「ミリューさん……これはさすがに王女様と言えども、どうにもならないですよねぇ?」


 恐る恐る聞いてみる。

 本来なら部下のミスを上司がカバーするのだろうけど、部下が上司のミスをカバーする事になろうとは。


「そう、ですね……でも、あのDOOMから逃れるにはこうするしか無かったのかも知れませんし」

「お嬢様の仰っしゃる通り、私のビームガンやパイの火炎だけでは助からなかったかも知れません。確かに私の店やホテルはほぼ壊滅状態ですが、これはレイア様のせいでは無いでしょう」


 半ば無理やり取り繕った笑顔のミリューさんとジェフさんがフォローの言葉を口にする度に、レイアさんはどんどん肩をすぼめて小さくなっていく。やっぱり、やり過ぎたと思ってるんだ。


「レイアさぁ、少しは後先考えなさいよね。いきなりワタシから銃を奪ってぶっ放すなんて有り得ないわよぉ?」

「はぃ……すいまちぇん……」


 うわ~、こんなにヘコんでるレイアさんを見るのは久しぶりかも。


「ミリューさん、ジェフさん、ホントにごめんなさい……」

「いえ、レイアさんのせいではありませんよ。悪いのはDOOMですから」

「そ、そうです。それにレイア様は奴を退けたのですから! これくらいの被害で済んだのはまだマシです! 我々だけでしたらもっと甚大な被害が出ていたハズですから!」

「おねーさんは良くやったと思うよ」


 うわ、パイにまで言われてるし。


「ボクが作ったアサルト・レールガンなら、あれくらいの効果が出て当たり前だ。しかし、まだまだ改良の余地はありそうだな」

「シンさん! 今それを言っちゃダメですって!」


 傷口に塩を塗るかの様な発言を止めようとしたのだが、しかし。


「え? どうしてだい? ボクの作った兵器で奴を追い払えたじゃないか!」


 この人の考えにはやっぱりついていけない。天才と呼ばれる人って皆こうなのかなぁ?


「あの、レイアさん。あんまり気にしない方がいいですよ? それに、あの場はレイアさんの行動が正しかったと思いますし、多分、僕も同じ事をしたと思いますし」

「ボクはしなかったとおも……んが」

「アンタは黙ってなさいって!」


 クリスさんがシンさんの口を封じてくれた。ナイスアシストですっ!


「アストっちの言う通りよ、レイア。アンタがいなかったら今頃ワタシ達全員、死んでたかも知れないんだから」


 何だかんだでこの二人は仲が良いんだよな。


「ありがと、クリス……それに皆も、ありがと。こんな事でいちいちヘコんでるのもアタシらしくないもんね!」


 良かった、どうやら元の元気なレイアさんに戻ったみたいだ。

 さて、これからどうしたものかな? あ、重要な事をスルーしてしまうトコだった。


「シンさん! どうやってトラベラーズ・ゲートを通って来られたんですか?」

「あぁ、あれはDOOMが使ってた技術をそっくりそのまま丸パクりして作ったんだよ」


 事も無げにサラリと言うが、それって物凄い事なんじゃなかろうか?


「さっきも言ったけど、次元科学なら以前に学んだ事があるからね。それを応用すれば誰にだって作れるよ」


 いやいや、無理だから!


「ふ~ん。おにーさん、スゲーんだな」


 パイは感心した様に言うけど、例に漏れず分かっちゃいないんだろうな。


「いや~ん♪ なにこのカワユイの~? フェレット~? 」


 そう言えば、クリスさんも可愛いもの好きだったっけ。


「オイラ、ふぇれっとなんてモノじゃないぞ。オイラはホワイト・ドラゴンのパイってんだ」


 そう言って、お得意の胸張りポーズを取る。


「ホワイト・ドラゴン!? これは凄い! まさか実物を見る事ができりなんて! ちょっと研究させて貰ってもいいかな?」


 シンさんが異常な程の食い付きを見せるが、ロイス・ジャーナルが誇る女性ツートップがシンさんの前に立ちはだかる。


「ダメよ! この子はアンタの研究材料になんかさせないからねっ!」

「パイちゃんはアタシのモンなんだからっ!」


 いやいや、レイアさんのモノじゃないから。


「むぅ、仕方無いか。まぁ、この惑星にはまだまだ研究材料がありそうだし、それを探す事を楽しみにしておこう」





 あれ? この人達は取材に来てるんじゃないのだろうか……?

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