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第1話 フードとサングラス(Ⅲ)

 まず、この惑星はわずか数年足らずで急激に発展したという事。変貌を遂げたと言っても過言ではないだろう。そして、その陰にはDOOMという人物の存在が関係しているようだ。さらにはそのDOOMが、この惑星を我が物にせんと画策している事。

 これはまだ憶測の域を脱し得ないけれど、ほぼほぼ間違いは無いらしい。

 DOOMはこの国の人達を……どうしたんだろう? 拉致? 洗脳? まさか……虐殺?

 理由はまだ分からないけれど、この国に人がいない事にDOOMが関係している事は間違いない。

 でも、人がいないのはこの国だけなのかも知れない。夕闇の国へ行けばあるいは……

 とにかく今はトラベラーズ・ゲートへ向かう事が全てに繋がりそうだ。

 そして、僕の右手の人差し指に嵌まったままのルードの指輪だ。

 パイは僕の事を指輪の適合者だと言った。確かに、僕はこの指輪に見覚えがある。でも、それがいつ頃の記憶だったかは定かではない。何度も思い出そうとしているのだけど、不思議と思い出せない。

 さっきから何度か外そうと試みてはいるのだが、やっぱり指輪は外せない。

 外れようとしない。

 単純に、指がむくんでいるだけ? んな訳ないか。

 ふと空を見上げ太陽を見る。本物の太陽ならば直視するのは危険だ。しかし、この太陽は文字通り真っ赤なニセモノ。

 疑似太陽……まさか、この疑似太陽を作り出したのはDOOM?

 ……って、それは無いか。

 DOOMがこの国にやって来たのが数年前だってミリューさんが言っていたし、レイアさんの話では疑似太陽を作るには、現在の技術力で数百年掛かるらしいし、何よりパイが生まれる前からあの太陽はあったと言う。つまり、あの疑似太陽を作ったのはDOOMでは無い、と言う事になるハズだ。

 現時点で考えられる事はこんな所だろうか。

 やっぱり、トラベラーズ・ゲートに行かなければ。うぅ……不安しか無いよ。

 不安になっていると、突然レイアさんの怒声が聞こえてきた。


「何ですってぇぇぇぇぇ!? クリスとシンがこっちに来てるぅぅぅぅぅ!?」


 クリスとシンって……まさかあの二人?


「ちょぉぉぉぉぉっとぉぉぉぉぉ! へぇぇぇぇぇんしゅぅぅぅぅぅちょぉぉぉぉぉ!!」


 レイアさんの怒鳴り声に、ミリューさんは耳を押さえて縮こまっているし、パイは目を回しているようだ。


『まぁまぁ~、レイアちゃ~ん、そんなに怒鳴らないで~。みんなびっくりしちゃってるよ~?』

「これが怒鳴らずに済む訳が無いでしょーがぁぁぁっ!」

『そ~んなに大声出さなくったって聞こえてるってば~』

「うぅぅぅるっさいっ!」


 この場合、どう贔屓目(ひいきめ)に見てもうるさいのはレイアさんだと思う。


「大体、話が違うじゃない! このネタはアタシ達に任せるって言ったのは編集長の方じゃないの!?」

『その件はもちろん、レイアちゃん達に任せるよ~? まあ~、とりあえず落ち着いて~、お父さんの話を聞きなさいって~』

「この方は、レイアさんのお父様なのですか?」


 ミリューさん、真に受けちゃった?


「んな訳無いでしょ。ただの上司よ」

「じょーしって何だ? ウマいのか?」

『ミリューちゃんにパイちゃんだったね? オジサンはそこにいる二人よりも、立場上は偉いんだよ~? それから、食べても美味しくは無いよ~』

「そんな事はど~でもいいから、あの二人の事を説明して頂戴」


 ここまで編集長と対等に渡り合えるのはレイアさん以外にはいないだろう。


『分かった、分かった~、分かったってば~。あ~、とりあえず今回の件なんだけどねぇ、実はキナ臭い事が山程あるんだよねぇ。調べていく内に、こりゃ~ど~もチームを二班用意した方が良いと思っちゃってねぇ。それで、レイアちゃんのチームとは別に、私がクリスちゃん達に頼んだって訳なんだよ~』

「じゃあ、何? アタシ達とは別のネタを追ってるって事?」

『まぁ、別かどうか、いや、今のところは別かな?』

「な~んか含みのある物言いね」


 編集長はいつも大体こんな感じだ。そのお陰で翻弄されるこっちの身にもなって貰いたい物だ。


『ま~とりあえず、彼等と合流する事もあるかもしれないから、その時は頑張ってね~』


 ブツン。

 通信は終わってしまった。


「ちょ、ちょっと! 編集長っ! 何よアレ!? 信じらんない、あの昼行灯! 言うだけ言って、一方的に通信切るなんて!」


 このやり取りは毎度の事で、僕はもう慣れっこだけど、ミリューさんとパイには少し刺激が強かったかも。


「なんかヘンなおっちゃんだったな」

「そうね」


 しかし、クリスさんとシンさんもこの惑星ロキな来ているなんて、まさに寝耳に水だ。しかも、僕達とは別件の取材とは。一体どんなネタを編集長は掴んでいるのだろうか。


「ったく、あのタヌキオヤジめ! 帰ったらどうなるか覚えてなさいっ! 行くわよっ!」


 怒り冷めやらぬレイアさん……うん、レイアさんの事だから本当にやるんだろうなぁ。編集長、どうなるんだろ?

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