第5話 太陽は今日も輝く(Ⅰ)
パイちゃんと、もうちょび見つめ合っていたかったなぁ。間近で見ると、怖い顔してても可愛いんだもん。
アストもこれくらい可愛いければねぇ……ま、無理な話か。つか、ミリューさんも可愛いとこあるじゃない? やっぱ可愛いって正義だわ。っと、いけない。お仕事しなきゃね。
「ところでミリューさん、さっき言ってた永久心臓はアタシ達の想像した物じゃないって、どういう事?」
とりあえず気になった事を聞いて軽く探りを入れてみる。
「それをお話する前に、お二人はこの惑星に来てから、何かお気付きになられた事はありませんか?」
突然の言葉に暫し考え込む。横では同じようにアストもいっちょ前に腕を組んで考え込む。
この惑星に来て? このバカがホテルの予約をミスった。うん、これはカンケー無いか。アタシ的には大問題だけど。
気付いた事、つまり『気になっていた事』と置き換えるならそれは。
「もしかして三連太陽系?」
「サンレンタイヨウケイ?」
ミリューは目をパチクリさせてキョトンとしている。あ、違ったか。じゃ、何だっての!?
「てゆーか、アタシ達、まだこの惑星に来てそんなに時間が経ってないのよね。あ、でもアンタ言ってたわよね? 人がいないって」
と、口にした瞬間、ハタと気付いてしまった。
アタシ達、この子にしか出会っていない。
「人がいない、なんてレベルじゃないわ。アタシ達、この惑星に来てアナタ以外の人間を見ていないわ」
この惑星に限らず、大抵の惑星では空港や一部の宿泊施設等はオートメーション化されている。国営機関が運営、維持する施設を人ではなくコンピューターが管理する方がラク、だからだとアタシは思う。
本当のトコはどうだか知らないけど。って、ジャーナリストが知らないってのは問題発言なのだろうけど、アタシはそんなの知ったこっちゃない! だって、全く、全然、すべからく、あにはからんや、興味が無い! あにはからんやは違うか。あ、すべからくもだ。と、セルフボケ&ツッコミはさておいて。
まぁ、銀河役所の方々が色々と管理はしてんだろうけどね。
「人間がアナタ一人しかいない、なんて事は有り得ないわよね?」
ちょび不安ではあったが、一応聞いてみた。
「二年前までは、この国もこんなに機械的ではなく、ごく平凡で平和な田舎でした。あの男が来るまでは」
「あの男?」
ミリューさんの顔はすっかりと影を落としてしまっている。
「DOOM……あの男はそう名乗っていました。あの男は、私達が知らない技術で、あっという間にこの国、いえ、この惑星を今のような姿に変えてしまいました」
国どころか惑星レベルでの変革とは恐れ入るわね。
「フォリナー、と言うよりはストレンジャーといった感じかしら?」
「アイツはそんなモンじゃないっ! アイツは、アグレッサーだ!」
パイちゃんの顔は怒りに満ちている。おーおー、眉間にシワなんか寄せちゃって。けっこー攻撃的なんだね。でも、カワイイ♪ てか、アグレッサーて。
「侵略者って事?」
「それもあるけど、アイツはこの惑星を支配するために攻めて来たんだ」
攻撃者って事か。侵略者であり、攻撃者であり、つまり加害者。
「レイアさん、つまりそのDOOMって奴は……」
「そうね。極めて正しい意味でアグレッサーね」
「DOOMはこの惑星を支配してどうするつもりなんでしょうかねぇ?」
「そんなのアタシに聞かれたって分かんないわよ! ただ……そのDOOMと、この国の人達がいない事と、どう関係するのかは気になるポイントね」
気になるポイントと言えば、やっぱりどーしても解明しておきたい事がある。先延ばしにしてた例のアレ。
「DOOMが何をやらかしたか、は、とりあえず一旦横に置いといて、ねぇ、ミリューさん。何よりさっきから気になってる事があるんだけど」
横に置いとくなって? いいのよ。直ぐにまた定位置に戻ってくるんだから。