雫
読み終わった本を閉じた
感動で胸がはち切れそうな
切なさで全てが壊れてしまいそうな......
あらゆるものが終わってしまったような感情が
心のなかを支配する
崩壊する世界の中で躍動する戦士の姿が
幻の物語の中で踊る少女の姿が
脳裏に焼き付いて離れない
嗚呼、どうして。
それでも涙は、私の頬を濡らさない
沸き上がる鼓動はどうして涙腺を緩めない
何が心を堰止めるのか
泣くことすら許されない何かを
いつの間にか自らに課したのだろうか
そんなもの、引きちぎって捨ててしまいたい
純真に、無垢に、
そうはなれないと知っていても