No.7 告白
夏、秋も終わり、クリスマス・イヴ。優輝と瑞希は相馬達のクリスマスプレゼントの相談をしていた。
「ん〜、相馬は時計…とか?」
「悟は、このブレスレットかな〜」
去年はバンドで忙しくて何もあげてない。しかも、二人とも男の子に、プレゼントをあげるのは初めてだった。
いろんなものを選んで迷って、結局、時計とブレスレットになった。
「明日が楽しみだね〜」
クリスマスは悟の家でパーティーをする。
今年ももう終わり。たった一つの心残りは、歌詞が完成できなかったこと。
「じゃー明日ね!」
「うん、Bey♪」
瑞希とわかれて家に向かう。優輝は、明日にそなえて早く寝た。
――――そしてクリスマス当日。
「メリークリスマス!」
みんなでそう言い、パン、とクラッカーがなる。
すると、悟がバックから酒をだした。
「やっぱもう高2だし?酒くらい飲まないとなっ」
ノリノリで言い、みんなに配って乾杯。
すると、瑞希が、立ち上がって言う。
「では、次は優輝と私からのプレゼントで〜す♪」
「はやっ!まぁいいや」
優輝が二人にプレゼントをわたす。相馬は微笑み、悟は目を輝かせてさっそく袋をあけていた。
「うわっ、マジありがとう!つけていい?」
「どぅぞ♪」
いそいそとブレスレットをつける姿は、なんだか可愛くみえた。
もう、すでに時計を付けている相馬が優輝と瑞希に袋を渡した。中身は可愛いストラップ。
「俺からのクリスマスプレゼント」
二人はすぐに携帯につけ、顔を見合わせてから微笑んだ。
「ありがとう!」
その後、バンドを何曲か合わせてみんなでツリーを見に行った。
「わっ綺麗!なんか毛糸の靴下のやつ買って、願い事書いてつるしていいんだって」
みんなはさっそく300円で小さな毛糸の靴下をかって、紙にそれぞれ願い事を書いた。
「優輝は、なんて書いたのォ?」
「ひ、秘密!瑞希こそなんて書いたの?」
フフフ、と笑って瑞希が答える。
「もちろん、“新しい彼氏をください!”だよ♪」
瑞希はやっぱり、支えてくれる人が必要なんだ。
「そっか。相馬は?」
にやりと笑って一言。
「秘密」
すると、悟が口をはさんできた。
「何?俺には聞いてくれないわけ?」
「じゃあ、悟はなんて書いたの?」
すると、待っていましたかのように答えた。
「秘密!」
「ずっる〜い!」
優輝が、頬をわざと膨らませていると、悟がつぶやくようにいった。
「後にわかるよ」
そのときは、意味はわからなかった。でも、後から知ることになる――…
「吉崎は?なんて書いたん?」
優輝は、優輝の願い事は…“みんなが幸せになれますように”だった。
自分に、終わりが近づいている。なんとなくだが感じていた。
自分の幸せは願わない。せめてみんなを幸せにしてほしい。小さな文字でそう書いた。
「…叶うといいな」
優輝がつぶやいた。みんなが頷く。
すると、いきなり悟が優輝の手をつかんで走りだした。
「悟!?」
「悪い、少しだけ吉崎かしてもらうわ!」
訳がわからなかった。でも一つだけわかること。悟の様子が今までと違い、緊張していることだった。
†
「悟!」
もう一度、叫んで悟はとまった。
「いったい、どうしたの?早くみんなのところに戻ろうよ」
すると、悟が真顔で言った。
「話があるんだ」
その話を、聞いてはいけない気がした。でも、走りだしたものは簡単にはとまらない――――…
「俺、吉崎が好きだ」
時間がとまったかと思った。
「ずっと前から、見てたんだ…」
悟の想いには、薄々気付いていたかもしれない。普通の優輝なら喜んでOKしただろう。
優輝も、悟が好きだったから。
でも、優輝はもうすぐいなくなってしまう。だから、返事は一つしか選べなかった。悟のためにも…
「だめだよ…」
苦しかった。胸が痛かった。好きな人を傷つけなきゃいけない…
「私といたら、幸せになれない」
うつむいて言う。でも悟はあきらめなかった。
「なんで?俺なら、優輝を幸せにできる。相馬よりも――」
「違う、違うのっ!私じゃなくて――悟が幸せになれない」
涙が流れる。なんでこんなことを好きな人に言わなきゃいけないの?
「悟のことは大好き。他の人よりも、特別な存在…でも、私は悟と付き合うことはできない」
自分が何を言っているかわからなかった。
「…なんで?」
私は、もうすぐ消えてしまうから、とは言えなかった。体がアツイ。鼓動が早く波打ってきた。これは―――発作の前兆。
「それは―――」
我慢できなくて、言おうとしたその時。激しい目眩に襲われ―――優輝は、自分にもう、時間がないことを悟った。
最後に微笑んでいう。
「私、悟のこと、大好きだよ」
そこで…記憶が途切れた。遠くから、優輝を呼ぶ声がする。ごめんね…




