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奇跡のカケラ  作者: 光璃
6/16

No.5 絆

 あれから何日かたって、瑞希が学校にこなくなった。本人は風邪と言うが、もう一週間も休んでいる。

「どうしたのかな」

 相馬に言ってみた。相馬はうなずいて真面目に答えてくれた。

「なにかあった確立のほうが高いと思う。親友なんだろう?家にいってやればいいじゃないか」

 でも、瑞希はこないで、と言っていた。優輝は考えたが、答えが見つからなかった。

 相馬がため息をつきながら言った。

「それを決めるのは、お前だ。なにも言わない」

 その後、相馬と別れて、一度教室に帰ったときだった。

「優輝…っ」

 呼ばれて振り向くと、そこには同じクラスの莉奈と咲弥がいた。

「どしたの?」

 なんだか不安そうな顔をしていた。

「あのね、瑞希のことなんだけど…」

 え、と聞き返す。二人は顔をあわせてうなずいて言った。

「前、喫茶店のところで瑞希をみたの。年上の男の人とあってたみたいで…」

「瑞希の顔を見ると傷跡がたくさんあったんだ。だから…」

 聞いていて血の気が引いていくのがわかった。そんな…まさか!

「―――教えてくれて、ありがとう」

 そう言い、バッグをもって教室からかけだした。走りながら瑞希の携帯に電話をかける。

プルルル、プルルルル…カチャッ

「瑞希!?」

『優輝?どうしたの?』

 息をきらしながら言葉を続ける。

「今から瑞希の家にいく。いいでしょ?」 最初は瑞希も拒んでいたが、優輝の真面目な態度にきづいて言った。

『…わかった。待ってる。でも…』

 それ以上はなにも言わなかった。優輝は電話をきって、走る速度をあげた。ただ、瑞希のことを考えて走った。


     †


「ハァッ…ハァッ…」

 息を切らしながら、ドアのベルを鳴らした。

 鼓動がとてもはやく波打っている。でも、中から出てきた瑞希をみて、心臓がとまるかと思った。「みず…き」

「何?走ってきたの?まったくお疲れさまだねェ」

 顔は殴られた跡があり、右目には眼帯。

 瑞希は無理して笑っている感じだった。でも体が小刻みに震えている。優輝は言葉を失った。

「…入って?」

 瑞希の部屋についていく。その背中はとても小さく見えた。

 沈黙が続く。優輝は考えていた。どこにこんなにひどいことをする人がいるの?顔をこんなに…

 ―――顔?…まさか!

「瑞希、腕みせて」 瑞希は一瞬ためらったが、素直に腕をだした。長袖をめくると、いたるところにアザがあった。そして…左手首にはリストカットの跡があった。

 親友の荒れ果てた姿を見て、優輝は思わず涙がとまらなかった。

「私のために…泣いてくれるの?」

 瑞希は、震える小さな声で言った。優輝は泣きながら口をひらいた

「あたりまえじゃないっ!…なんで?!なんで言ってくれなかったの?!そんなに私は頼りない?親友でしょ?!なのにっ…こんなのってないよ!」

 自分の、あまりの無力さに腹がたつ。親友が、瑞希がこんな目にあっているのに、まったく気付いてあげられなかった。

 瑞希も涙を流しながら謝った。

「ごめん…心配かけたくなかったの」

 瑞希の気持ちはよくわかる。でも、あまりにひどすぎる。

「誰が…こんなことやったのよ?」

 二人で散々泣いたあと、優輝がまだ涙を流しながら質問した。

「…彼氏がやったの」

 耳を疑った。

「彼氏って…年上の?」

 瑞希はゆっくりうなずいて話をし始めた。

 瑞希の彼氏、安田達也は大学生で、付き合った最初はとても優しかった。でも最近、大学でいやなことがあったらしく瑞希にあたるようになり、暴力は日に日に増していった。

「なんでそんな奴と付き合ってんの?!」

 優輝はもう泣いていなかった。でも、瑞希は涙を流しながら言った。

「…好きなの、本当に…大好きなの」 優輝に【好き】の意味はわからない。だから何も言えないかもしれない。でも、一つだけわかる。

 優輝は瑞希を抱き締めながら言った。

「瑞希、あのね、…その人は好きになっちゃいけないんだ。いくら好きでも、自分を傷つける人となんか、一緒にいちゃ、きっといけないんだよ」

 瑞希は、優輝に顔を埋めて泣いた。優輝にも、一筋の涙が頬を伝わった。

「気付いてあげられなくてごめんね…」 

     †

  

 あれから、瑞希は達也と別れ、傷が大分治ってから学校にきた。

「優輝、ありがとね」

 瑞希と優輝の絆は前より深くなっていた。

 そして優輝は、今度はちゃんと、親友の苦しみに気付いてあげられたらいいな、と夜空の星をみながら思っていた。

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