No.3 四つ葉のクローバー
屋上で、みんなで集まったときだった。相変わらず悟は眠そうに、相馬はパソコンをいじっていた。
この二人、瑞希さえも、病気のことは言ってなかった。心配をかけたくないからだった。それに、かわいそうと言う目で見られそうで恐かった。
「私、一生懸命バンド名考えたんだけど思いつかなくて…」
瑞希がため息をつく。悟が眠そうに言った。
「石井サン、そんなこと考えてたの?別にいんじゃない。吉崎サンは?」
優輝はボーっと屋上から下を見下ろしていた。そこで見つけたのが…
「クローバー…」
思わず口にしてしまった。それを瑞希達は聞き逃さなかった?
「クローバーか。四人だし、いいかもね。四つ葉のクローバーに、ちなんで」
「いーじゃん。やるね中村サン」
一瞬、なんの話をしているか優輝にはわからなかった。ただ反応したのは…
「ねーサン付けやめてよ。呼び捨てでいいって」
「まーま〜。相馬はもちろんいいよな?」
「もちろん」
にやり、と笑ってうなずく。どうやら気に入ったようだ。
「じゃ、バンド名もきまったし、バンド、クローバー結成だな!」
ノリノリで、はしゃぎだす。どうやら悟もやりたかったらしい。
なんだか騒がしいけど、こんなのも悪くないな、と優輝はおもった。
†
帰り。瑞希は彼氏とデートらしいので先に帰っていった。優輝は瑞希の彼氏にはあったことがない。今度あいたいなぁ。
「あ、門倉くんだ」
門倉とは相馬の名字。門倉くーん、と手をふって叫んだ。するとこっちによってきた。
「帰り?」
「あぁ。担任の手伝い」
ということで一緒に帰ることになった。
「門倉くんはえらいよねぇ。私なら絶対そんなことしないよ」
笑いながら言う。相馬も意地悪そうにほほ笑みながらゆっくり歩く。
「自分はサン付けがいやって言ったのに自分はくんを付けるんだ?悟は悟って読んでるくせに」
意地悪さが増す。優輝は返答に困った。
「ん〜っと、それはですねェ…」
言葉を探す。
「相馬でいい」
相馬が表情をかえずに言い放つ。そしてまた意地悪そうに笑っていった。
「今度門倉っつったらでこピンな」
「それは勘弁!」
そして二人で笑った。道が別れた。優輝は右、相馬は左。別れを告げようとしたら、いきなり質問してきた。
「お前、四つ葉のクローバーの意味しってるか?」
考えてこたえる。
「ん〜、知らないよ。なぁに?」
真顔で相馬がいった。
「四枚の葉は、それぞれが意味をもつんだ。“faith”“hope”“love”“luck”」
相馬は茜色の空を見上げながら続ける。
「【誠実】、【希望】、【愛】、【幸運】。この四つは一つでもかけると意味ないんだ。でもめったに四つそろう事はない。そろうと“Genuine”…つまり【真実・本物】と言う意味になるんだ。そろうのは、【奇跡】と呼べるだろう」
優輝はそれを聞いて、気付かれないように顔を曇らせた。
「【奇跡】…悲しい言葉だね。じゃあね、相馬」
相馬に軽く手をふって背中をむけた。
相馬は優輝の背中をみながら、つぶやいた。
「優輝…お前はその背中に何を背負ってるんだ?」




