表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奇跡のカケラ  作者: 光璃
16/16

No.15 伝えたいコト

 広くて、蒼く深い空を、風のように、自由に飛ぶ鳥をみて、私はいつものように思っていた。

 ――――空が飛べたらいいのにな。

 別に、特に目的もあるわけじゃないけど、ただ…気持ち良さそうだから。

 でも、私はあんなきれーな羽持ってないし、だから空を飛べない。

 私には足があるけど、そう速く走れないし。でも、鳥も私たちをみて、羨ましいって思うのかな。

 それでもいいから、私は空が飛んでみたい。もし飛べるなら――――私はどこへ行くのだろう?

 前ならわからなかった、その答え。でも、今ならわかる。

 ――――もし、あなたが翼をもって、自由に飛べたなら、どこへいく?

 私は、迷わず答える――――私は、みんなのところへ飛んでいきます。そして、私は歌を歌うでしょう――――、と。


     †


 優輝がこの世から旅立った。優輝はきっと、雲の上で自由に風を切って飛んでいる。そして―――その歌声を今でも響かせている。そんな気がした。

 【奇跡】はおこらなかった。でも、優輝は予言されていた日数より二年も持ちこたえた。

 優輝が亡くなったのは、クリスマス当日の聖夜。微笑むように眠る、優輝をみて涙が止まらなかった。

 病室のベッドから、ノートが見つかった。その中には、日記ではなく、優輝の気持ち―――詩が書かれていた。

 中に四つの手紙のカタチをしたものが入っていた。それは、詩であったが、大切な人への優輝からのメッセージだと思う。


     *


《Dear☆家族へ》

 大事な家族。

 母さん、私を産んでくれてありがとう。いくら感謝してもしきれない。

 産むとき、苦しかったでしょう?一つの命がこの大地に誕生する痛み。痛くないわけがないもの。

 それでも、私を産んでくれた。私、産まれてこれてよかった。母さんが母親でよかったよ。

 父さん、家族を支えてくれてありがとう。必死に働く姿をみたことあります。あれが、私たちへの愛のあらわれなんだよね。

 生き抜くことは簡単じゃない。父さんも、過去にはつらいこともあったとおもう。少ししか生きてない私にはいえないけど、それでも乗り越えてきてくれた父さんにも感謝してる。

 母さん、父さん、本当にありがとう。優輝って名前、ありがとう。

 私はいなくなっても、空の上から星になって、優しく輝けるように、母さんと父さんを照らせるように、ずっと、努力して見守ってるからね――

 P.S今まで迷惑かけて、なのに生きられなくてごめんね


     *


 瑞希は、優輝のお墓の前にいた。相馬や悟、みんなバラバラの大学に行った。年に一回、優輝の命日ぐらいしか会っていない。

 今日は別に命日ってわけじゃないけど、―――大切な日だからここにきた。

 みんな、覚えてないんだろうな…

 優輝のお墓にむかって話し掛けてみる。

「優輝、そっちはどう?私は新しいクラスになって、新しい友達ができたよ。優輝ほどじゃないけど、優しいこ」

 その言葉に反応するかのように、ざわざわと、木々がゆれている。

「私、音楽のほうをしてるんだ。近いうち、バンドを結成しようと思うんだ。優輝の歌で―――」

 微笑む。優輝は、きいてくれてる…傍にいる。そんな感じがした。

「…優輝からの、手紙があったからだよ。優輝の願いは、私が叶えるから」


     *


《Dear☆みんなへ》

 最高の友達。

 大好きな、いつもそばにいてくれた心友。

 ありがとう、と何度いっても言い足りない。私に大切なものを、どんな宝石よりも――輝いているくれた。その価値は、人の命と同じように、暖かかった。

 いつも馬鹿なことを言って、笑った。一緒に泣いた。でも、私にもう、そんなことはできない。

 ごめんね。たくさん大切なものをくれたのに。なんて最悪なんだろう。でも、後悔はしたくないから。

 私はいつでも傍にいるから、もしいなくなっても、心のなかにはいるからね。泣くのを我慢しなくてもいい、私が受けとめてあげるから――――

P.S私の最後のワガママ。バンドは続けてほしいな。私も空で歌ってるから


     *


 悟は、野道を歩いて、ある場所に向かっていた。

 彼女は、優輝以来つくってない。告白はされたりしたけど、断った。

 優輝は、一生で一度の恋の相手だった。悟は、優輝を失った今、もう…なにも望むものはない。そう、思っていた。

 優輝がいなくなる前まで、全力で愛を注いだつもりだ。――でも、後悔はしていない…と言えば嘘になるかもしれない。

 でも、優輝は傍にいる。そう感じるんだ―――確かなものじゃない、けど、そんな感じかするんだ…


     *


《Dear☆悟へ》

 私を、好きになってくれて…いつも、傍にいて手を握ってくれてありがとう…とても暖かかった。

 悟に出会えて、本当に嬉しかった。

 愛する気持ちが大切って、改めて実感した。

 悟は太陽のように、あったかくて、大きくて。優しかった。でも、ごめんね…私は悟のもとに、いられないんだ。

 私はもう十分幸せだから…悟は幸せ?絶対、幸せになってね。約束だから。

 私はずっと傍にいて、見守っているから。わるいことしたら、許さないんだから。幸せに、なってくれなきゃ…


     *


 悟への手紙は、そこで終わっていた。

 手紙の所々に、涙が染みとなっていた。

 その手紙を握り締めて、悟がついたその場所は――――

「…瑞希?」

 最初に目に入ったのは、優輝の墓を見つめる瑞希だった。

 悟に気付いて、瑞希が振り向いた。

「――悟?どうし――」

 瑞希の声をかき消すように、キキッ!と車の音がした。その方向に、振りむく。そこには――

「相馬…!」

 花を片手にもった相馬がいた。

「なんだ、来てたのか」

 平然とこっちにむかってくる。また大人っぽくなっていた。

 瑞希は驚いて言った。

「二人とも、どうして―――」

「今日は、俺たち四人が出会った日だろ」

 平然と言った。相馬は悟の頭をたたいて言った。

「でも、去年はきてなかったのに…」

「いったさ。夜に」

 それなら相馬たちと会わないわけだ。夕方には瑞希は帰っていた。

「…じゃあなんで、今年はこの時間帯なの?」

 それには、相馬は悟と目をあわせていった。

「なんとなく、な?」

「別に、時間あわせてたわけじゃないんだけど…」

 瑞希はおもった。――――きっと、優輝がみんなをあわせてくれたんだ…

 そこで、悟が口をひらいた。

「まぁ、ちょうどいいじゃんか。近いうちに瑞希にも電話しようと思ってたんだろ」

 その言葉の意味がわからなかった。今まで、高校を卒業してから連絡なんてめったにとらなかった。

「―――瑞希、優輝からもらった《手紙》の内容、覚えてるか?」

 風が一段と強く吹いて、桜の花びらが、宙を美しく舞った。

 青く広い、空の向こうには、鳥が自由に飛んでいる。

「…俺たち、もう一度バンドをやらないか?」

 相馬が優輝の《願い》を口にした。瑞希は言葉がでなかった。

「俺も、今までずっと、ドラムをやってたんだ。いつかまた、みんなで出来るように――って」

 悟が微笑んで言った。

「――でもッ!」

 いつか《みんな》、もとの四人で出来るわけがない。肝心のボーカル、優輝がいないじゃない…

「優輝の手紙には、空で歌ってる…そう書いてあったよな?」

 瑞希の考えがわかったのか、相馬がいった。瑞希は黙ってうなずいた。

「じゃあ、優輝のためにも、あの曲をひいてやろうぜ」

「でも、優輝のかわりなんて…」

 ボーカルは、優輝以外にはしてほしくなかった。

「ボーカルなしでやればいい。それで半減するとしても―――」

 相馬と悟は、本気だった。きっと、瑞希がいやといっても二人だけでやるだろう。

 瑞希は、覚悟をきめて、―――言った。

「…わかった。ピアノなしでやっていけるとおもってんの?私も―――やる」

 瑞希は、また、あの時のようにやりたい…そう願っていたのかもしれない。

 優輝のためにも、やりたい。そう思っていた。

「―――じゃあ決まりだな!さっそく俺の家で練習しようぜ!」

「は!?今から!?」

「もち。当たり前」

 ―――前のような会話。瑞希は、優輝をみつめるように…空を見上げて優輝に話し掛けた。

 優輝、見ててよね。そして、私たちのために…空で歌っててね。その歌にあわせて、私たちは…みんなに幸せを届けるから…


     †


 【奇跡】―――それはきっと、待っていておこるものじゃない。

 自分で追い掛けて、一つ一つのカケラを組み合わせて出来るものなんだ。

 きみの心の中にもきっとあるよ。だから、さがしてごらん。

 【奇跡】を、信じるか信じないかは、あなたの自由だから――――



これで、この物語はおわりです。ここまで読んで下さって、ありがとうございました。これからも、よろしくお願いします。。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ