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奇跡のカケラ  作者: 光璃
15/16

No.14 最後のライブ

 ―――そして、その日がやってきた。前日は、遠足にいくときのように眠れなかった。

 一日目は家で過ごした。家族ダンランで、家でバーベキューをした。

 二日目は、いつもの四人で遊び回った。夕方からは、悟の家にとまって、二人でいろいろと話した。

「優輝、ちょっと後ろむいてよ」

 悟のいうままに後ろをむくと、頭になにかをのせられた。

「10秒間、乗せられたらとっていいよ♪」

 1、2、3…とカウントダウンが始まった。

 10秒数えおわって、頭の上のモノをとると、それは―――指輪だった。

「まだ、正式なやつじゃないけど…形だけでも、な」

 そう言う悟の手にもいつのまにか同じ指輪が。悟は箱にはいっている指輪をそっと取って、優輝の指にはめた。

「いつか結婚しような」

 感動のあまり、何もいえなかった。優輝は涙をただながすだけだった。


     †


 そして、最終日。コンサートの日にもかかわらず、今だに場所は教えてもらえなかった。

「―――ここって…」

 瑞希に目隠しをされて、ついた場所は…学校だった。四人が出会った場所。優輝にとって特別な、大切な場所のひとつだった。

「みんな待ってるよ!急いで!」

 ひっぱられて体育館にいく。裏からはいって、マイクを手渡された。

 ステージをみる。そこには―――うまるほどの人がたくさんいた。同じクラスの人、先輩、後輩、知らない生徒、先生までいる。他の学校からもきていた。

 瑞希がふりむいてささやいた。

「これが私たちからのプレゼント。いこう!」

 そして、ステージにでた。照りつけるライト、無数の人たち…あのときとかわらない、あの感覚。

 優輝は目を閉じて、深呼吸をした。そして、目をあけて前を見た。

 今まで感じたことない、強い気持ち――――歌いたい。今、私の歌をみんなに届かせたい…

『こんにちは!クローバーです☆久々のステージに、少し緊張してます♪』

 瑞希がマイクで声を張り上げる。すると、目で何かいえ、と合図を送ってきた。優輝はマイクをもちなおしていった。

『…みなさん、久しぶりです!』

 そこで、相馬がギターをならした。コレは、二番目にできたオリジナルの…

『きいてください、第一曲目は――…』

 優輝は歌った。すべての気持ちを歌にのせて…

 これが、精一杯の気持ちだから――――…

 何曲歌っただろう。でも、こんなにすがすがしい気持ちは初めてだった。

 でも、優輝は、別のことも考えていた。


 ―――それは、優輝が病棟を散歩しているトキだった。

 診察室に、母の姿があった。いつもよりくる時間がはやい。

「嘘…ですよね?」

 母の絶望した声がきこえた。よく見ると前には小口先生が。いやな予感がするけど…聞かずにはいられなかった。

「いえ、本当です。優輝さんの命は―――…あと、もって一ヵ月しか残っておりません」

 すべてがとまったように感じた。私の、体のなかのなにかがはじけてしまったようだった。

 優輝はその場を離れた。頭のなかを小口先生の言葉が繰り返される。

 ―――私の命は、あと、もって一ヵ月なんだ…


 なんとなく感じていた、自分の命の少なさ。三日間の外出許可がでた本当の理由は…たぶん、これだとおもう。

 歌いながら、自然と涙が流れる。ステージで歌えるのも、きっとコレが最後。歌に乗せて、気持ちを伝えることなんて、もうできなくなる。

 そう思うと、つらくて、かなしくて、切なくて、はかなくて。涙を流さずにはいられなかった。

『聞いてください、私のお気に入りの曲…“翼をください”』

 美咲ちゃん、聴いてくれてる?届かせたい、私の気持ち。美咲ちゃんは、私に、大切なことを教えてくれた。

 私も、もうすぐ空のむこうにいくからね――…

『みなさん、こんなにお集まり頂き、ありがとうございます。この曲が、最後となります』

 えー!とみんなが声を合わせて言う。

 みんな、ほんとにありがとう…大好きだよ…

『最後は、一番最初にできたオリジナル。“ずっと…”です!』

 優輝の歌声が、体育館に響いた。観客の大多数が泣いている。それだけでなく、瑞希も、悟も、相馬までもが泣いている。

 きっと、三人も、みんなも感じ取ってるんだ。四人一緒のライブは、これで最後なんだって…

 精一杯出し切った。すべてのおもいをこの歌にのせた。もう…なにも望まない。これで、十分。

『今まで、聴いてくれて…ありがとうございました。みんながいたから、私は…私たちはここにいれるんだと思います』

 頭を深々とさげる。

『本当に、ありがとうございました…ッ』

 そして、優輝の…クローバーの、最後のライブが終わった。

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