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奇跡のカケラ  作者: 光璃
14/16

No.13 真っ白な鳥

 美咲が、最近病室にこなくなった。

「最後の手術するんだって。これでよくなるかな」

 笑顔でそう言ったきり。もしかして、もう退院しちゃったとか。それとも――――…

 優輝は気になり、原田さんに聞いてみた。

「あの、美咲ちゃん…手術どうだったんですか?」

 すると、原田さんは顔をこわばらせて、優輝のコップをおとしてしまった。

 原田さんはそれを拾うと、引きつった顔で、目線をそらして言った。

「――美咲ちゃんは…」

 次の言葉を聞いて、優輝は――――すべての物が、とまったように見えた。

「…そうなんですか」

 いきなり、“死んだ”と言われても現実感がなく、すぐそこに美咲がほほ笑みかけそうだった。

「これ…美咲ちゃんの机のうえにあったんだけど、わたせなくて」

 原田さんが持っていたのは手紙だった。それを渡すと優輝の病室から静かにでていった。

 手紙をゆっくりと開く。中にはクレヨンで色とりどりに優輝へのメッセージが描かれていた。

『ゆきお姉ちゃんへ

いつもあそんでくれてありがとう。わたしね、一回だけ外に出たことがあるの。それでね、コンサートをみたんだ。そこで、クローバーっていう人たちが歌ってるのみたんだ』

 二枚目を開く。

『お姉ちゃん、そのときすごくきれいだった。だから、また歌ってほしいんだ。わたしね、たぶん死んじゃうんだ。でね、鳥さんになってとんでゆくの。おねえちゃん、わたしのために、一度でいいから歌ってね 美咲より』

 三枚目には、太陽に向かって飛ぶ美咲と、マイクをもって歌う優輝の姿が描かれていた。

 優輝の目から、涙が流れた。美咲は感じていたんだ。自分が死んでしまうことを…

 優輝は、長い間泣いていた。涙をふいて窓の外を見上げた。

 ―――泣かないで…

 そう言っているように思えたから。私が泣いたって、美咲ちゃんは喜ばない…そう思って。

 夕日が沈んでいく。その夕日を、涙を堪えながらじっとみつめた。

 ――――そこから、小さな…でもとても綺麗で、真っ白な鳥が―――飛び去ったようにみえた。


     †


 秋になって、優輝に、三泊の外出許可がでた。この頃、順調に回復していたから。だから外出許可がでたんだと、優輝はみんなに言った。

 すると、瑞希達は、飛んで喜んでくれた。

「やったじゃん!」

「まぁ、私の生命力の強さってやつ?」

 ノリで言う。その言葉にみんなで笑った。

「はやく退院しなよッ!…待ってるからね」

 優輝がいないため、バンドは中断していた。

「…うん。えっと、それでね、みんなにお願いがあるんだけど…」

 優輝は、一人のトキに考えていたことをみんなに話した。

「―――やっぱり、無理…かな?」

 すると、まずは瑞希が口を開いた。

「さすが優輝。土壇場で、大変なこといってくれるよね」

 相馬はパソコンを開いて言った。

「探してみる」

 優輝の顔がパッと明るくなる。じゃあ…!

「お嬢様の久しぶりのワガママ、叶えてやるしかないっしょ!」

 わッ、と盛り上がる。

 優輝の考えていたこと―――それは、バンドがしたい、と言うことだった。すると、相馬が言った。

「だめだ、この時期、近くでコンテストなどは見わたらない」

 悟が考え込む。

「…となると、どうする?」

 すると、悟が何かひらめいたのか、瑞希と相馬にコソコソと話をしだした。

「いーじゃん、それ!」

「おまえにしては、なかなかの考えだな」

「だしょ?おれってやっぱり天才?」

 悟はひとりでもりあがっている。

 何?いったい何なの?

「優輝には、当日までの秘密ってことで!」

「まーな。許可もいるし、どうかわんないし」

「確立は高いと思う」

 何回聞いても答えてくれない。

 優輝は、期待と不安が入り交じった気持ちで、三泊の外出を待っていた。

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