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奇跡のカケラ  作者: 光璃
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12/16

No.11 オモイが通じた夜

 ライブが終わって、みんなで打ち上げに行った。優輝たちはみごと一位。

 でも、優輝は感じていた。自分の体に限界を…

 きっと、県大にはでられない…だから。一生懸命に考えたすえで優輝は決意した。

「みんな、ちょっと話があるんだ…」

 優輝のいつもと違う様子に、騒いでいた三人は口をふさいだ。

「私…きっと県大にはでられない」

 えっ、と驚きを隠せない様子だった。でも、優輝は言葉を続けようとした。

「だから、私の…」

「どういうことだよ?」

 悟がそれを打ち切った。たえきれないらしい。優輝は目線をそらして一時、黙り込んだ。

 悟には…いいたくないんだ。嫌われちゃいそうで。でも…私は、決めたから。仲間に隠し事はしないって…

「私、病気なんだ…」

 優輝が、うつむきながら勇気をだして…言った。みんなの表情がわからない。

 悟が、信じられないといった様子で訴える。

「そ、そんな…別に軽い病気なんだろ?そんな…」

「違うッ!そんなに軽い病気じゃない…私」

 涙が流れた。一番言うのがつらかった。

「もって、あと二ヵ月かもしれないの…」

 もう嘘をつくのは嫌だから…。

「その前に…最後にみんなでライブできて本当に、よかった。――――これが、悟と付き合えない理由。私なんかよりもっと…」

「―――どうして」

 瑞希が、優輝の言葉をさえぎった。

「どうして、言ってくれなかったの?」

 優輝は、とても小さな声で、ごめん、とうつむいていった。

「―――ずっと一人で、抱え込んでたの?!」

 え…。びっくりして瑞希をみると、泣いていた。瑞希は優輝を強く抱き締めて言った。

「優輝は、私を助けてくれたよね?私も、優輝を助けたいよ…私たち、仲間でしょう!?つらい事ならわけあっていこうよ、一緒にいようよ…」

 あの相馬が、泣きながら言う。

「ライブ、最後なんて言うなよ!優輝、お前なら絶対大丈夫だ。自信をもって…俺たちを信用しろ!」

 悟も、泣きながら、言った。

「俺は優輝が好きだ!優輝よりいい奴なんていないんだよ、それだけで嫌いになんかにもならない」

 瑞希が、体を離して言った。

「優輝は、悟のことが好きなんでしょう?」

 優輝は、止まらない涙をおさえながらコックリと頷いた。

「ならいいんだよ。そんなの、誰にだって、人と付き合う権利はあるんだよ」

 コクコクと頷いて、優輝は、悟を見つめて一生懸命に言った。

 ずっと、ためていた、我慢していた想い。今、きみに届け―――…

「私と…付き合って…くれますか?」

 悟は、涙をぬぐって優輝に抱きついた。

「そんなの、決まってるだろ!…俺のほうが、気付いてやれなくて、本当に…ごめんな」

 その夜は、芝生でずっと泣いた。でも、やっと四人のおもいが一つになれた、最高の夜だった。


     †


 それから、優輝は入院生活に入って、みんな毎日お見舞いにきてくれた。相馬と瑞希は、先にかえって、悟が面会時間ぎりぎりまで残る。

 それが毎日のパターンだった。

「悟、こっちきて」

 体をおこして、自分の横をポンとたたくと、悟がベッドに移動して座る。

 優輝は、自分の願望を悟に言った。

「手、つないでいい?」

 悟は、笑顔で、答えてくれた。

「おぅ」

 悟の右手に、両手をからませる。そして、悟に体をよて、頭を肩にのせた。

「俺、優輝といられるだけでいいから」

 悟がいきなり言った。それに優輝も答えた。

「私も、悟といられるだけで十分だよ」

 にっこりと笑う。そう想ってくれるだけで、こうできるだけで幸せだった。

「優輝」

 名前をよばれて、両手をからめたまま、悟のほうを向く。すると、左手を優輝の頬にあてて、優しく…

 …唇には、きみのあったかさだけだ残った。

「私、ファートキスなんだよ」

 微笑んで言う。なんだか照れちゃうな。

「偶然。俺も」

 コツ、とおでこをくっつける。

 なんでだろう。なんだか、少し…

「ど、どうしたんだ?」

 不安そうに悟が優輝の様子をうかがう。気付けば、涙が流れていた。

 優輝は、悟に抱きつきながらいった。

「幸せすぎて…恐いの」

 いつか、なくなってしまうかもって。

「…馬鹿、心配すんなって。きっと、大丈夫だ」

 きっと…。それは【奇跡】を信じる言葉。【奇跡】はなかなかおきないから、そう名付けられた。

 信じて待つしかない。この世は、漫画みたいにハッピーエンドとは限らない。悪は、正義に勝つこともある…そんな世界。

 それでも、優輝は信じていた。生きて…みんなと一緒にいたいから。

 でも、優輝は自分の体に、また、小さな変化を…覚えていた。

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