↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

地震の音楽

作者: 尚文産商堂
掲載日:2011/05/31

テルミンという電子楽器を知っているだろうか。

箱から上と横に伸びた2本の金属棒があり、そこからの電磁波によって、音程と音の大小を決めるという電子オルガンだ。

そのテルミンを使って、地震を音としてあらわすということを考え出した。


テルミンは、連続的に音が流れ続けるため、手の動きに合わせて、音階をアナログ的に変えることが可能となる。

そのことを利用して、地震による変位の上下方向の値と水平方向の合成値のそれぞれを、音程と音の大小として使うということだ。


演奏曲として選んだのは、平成7年 (1995年)兵庫県南部地震、平成23年 (2011年)東北地方太平洋沖地震、1933年昭和三陸地震、平成16年 (2004年)新潟県中越地震以上が日本国内であり、さらに国外からアメリカにて1994年発生のノースリッジ地震、1960年発生のチリ地震、そして最後にインドネシアにて2004年発生したスマトラ島沖地震だ。

演奏者はその地震波を正確に示すために、ロボットで行われることになった。

ただ、制御をするために、近くにコンピューターを用意し、その監視役が2人ほどいた。


まず、演奏する前に、監視役のうちの1人がマイクを取り、今回の演奏会の趣旨を説明する。

「皆さま、お集まりいただき、誠にありがとうございます。今回の演奏会の趣旨は、それぞれの地震による地球の鼓動を、わずかにでも感じていただくようにと、思い、企画させていただきました。まず、今回演奏するそれぞれの地震、それに伴い発生した津波の犠牲者の方々に対し、哀悼の意を表し、黙とうをささげたいと思います。皆さま、どうか、ご起立ください」

誰もが、音をたてないように静かに立ち上がり、さっきの人の合図で、1分間の黙とうをささげた。


「黙とうをやめてください。では、お座りください」

全員が座ったのを確認してから、再び続ける。

「さて、改めまして、今回の演奏曲の曲目ですが、阪神淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震をはじめとして、国内および国外から数々の地震を選びました。なお、選考基準は特にございません。では、前置きはこれほどにしまして、演奏したいと思います」

監視役が座ると、ロボットが動き始めた。

それは、静かな、沈痛な調べだった。

それでいて、激しく、怒っている曲でもあった。


最後の一音が、会場の壁に吸い込まれつつ消えると、誰からともなく拍手が起こった。

「ありがとうございます。さて、いかがだったでしょうか。地震というのは、かくも恐ろしく、津波とともに、いとも簡単に人の命を奪っていきます。しかし、それは地球が生きているという証拠でもあり、このように、地球の鼓動を直に聞くことにより、明日へと続いて行く一助になればと、考えております。本日は足をお運びになられて、誠にありがとうございました。どうぞ、お気をつけてお帰りください」

そして、演奏会は、静かに幕を閉じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。