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人を殺す道具

掲載日:2026/10/14

人は何故、人を殺すのか。


銃があり、刀があり、言葉があり。


人間って扱う道具のことを分かった気でいる。


よく知っているようで、知らない。


思考を言葉という具現化したもので再現する。


それは、多種多様な武器になる。


死ねと言う。


消えろと言う。


うざいと言う。


受け入れる器にも限界がある。


言霊は本当に移り、死んでしまう人もいる。


それは刃物になったり。


遅効性の毒になったり。


扱い方を間違えると、死に至らしめる。


弾丸で撃ち抜かれて、虚無になる人だっている。


枠で囲われた思考を放棄すれば楽になるかもしれない。


果たしてそれでいいのだろうか。


言葉は相手との意思疎通。


思考と感情が合わさり言葉になる。


それ故に、人を人たらしめる。


言葉は人を殺す道具だ。


私が殺したのは祖母だった。


咽頭癌だった。


合併症も起こしていた。


ベッドに横たわる危篤状態の祖母。


苦しそうだった。


私は紡いでいた。


婆ちゃん、婆ちゃん、今までありがとう。


祖母は口を噤んでいた。


病室に虚しく響いていた。


呼び掛けた。


最期だから。


家族みんなで泣きながら。


ありがとうと見送った。


目を瞑った祖母。


ゆっくりと微笑した。


すると、みるみるうちに。


祖母の顔面の血の気が引いた。


筋肉で引き上げられてた皮膚が弛んだ。


青白くなるのを目の当たりにした。


早すぎる死だった。


顔をじっと見た。


其処には言葉を使わない人が居た。


だけど、祖母がまだ何か喋るような気がしていた。


幻聴だろうか。


ありがとうねと言われた気がした。


その言葉が反芻し、心に響き渡っていた。


言葉は人を殺し、そして、生かす道具だ。

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