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神は死んだ  作者: セティール
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神の消失

 今、神界は大変なことになっていた。絶望の神であるテドールの封印が解け、神界は絶望に包み込まれ、ついには私とテドールのみの世界になっていた。


テドール「やはり最後に残るのはお前だったか。最強の神、セティール」


セティール「舐めるなよ。貴様の絶望程度で私を殺せると思っているのかしら?また、前回と同じように封印してやるわ」


テドール「あの頃は俺も若かった。まだ、力を扱いきれていなかった。だが今は違う。貴様を殺すこともできるんだよ!」


そういった瞬間、テドールの周りの空気が紫色に染まり、私に襲いかかってくる。


セティール『なるほどね。空気に絶望を乗せて、攻撃。天使やそこら辺の神じゃ勝てないわけね。』


神は*実界*の生物と比べればかなり上位の存在となる。だが、そんな神でも難しいことだって多い。その一つが物質に己の存在を影響させることだ。


*実界とは、豚、牛、魚、人間などの生物が暮らしている世界の総称。神々な創り出した世界のことである。


セティール「存在付与もできるようになったのね」


テドール「軽口を叩いている暇はあんのか?避けるので精一杯か?」


セティール「舐めた口を聞くな。ふぅ」


私がそうやって絶望が付与された空気に息を送り込むと、その空気は消え去った。


テドール「物質への影響変化をそのレベル使えるとはな」


神々は物質に存在付与はできずとも、物質の影響変化はできる者が多い。その技術を極限まで磨けば、相手の存在付与を消し去ることもできる。だがそれは存在付与以上に難しくできる者は私しかいない。


テドール「じゃあ、ここからはこれでいかせてもらう…《神鎌:希望なき世界》」


セティール「ふむ、ここで神器を出すか」


神器とは、己の存在を形としたものを指す。神器にはその者の存在全てが乗っている。そのため先ほどの存在付与や影響変化とは別次元の火力を出すことが可能である。そして神器はどんな神でも出すことができるという点から神の切り札とも言える。だが、神器にはそれ相応のリスクも存在する。それは神器の破損は己に返ってくるというところだ。神器の一部が無くなれば、その者の存在も一部なくなる。神器が壊れれば、その者は存在ごと消え去ってしまう。神は通常の死を迎えることはない。だが、存在が消えれば、神とて死んでしまう。


セティール「それでは、私も神器を出すとしよう…《神刀:全なる存在》」


テドール「そう来なくてはな!ここでお前を殺して、俺が頂点に立ってやる!」


セティール「やれるものならやってみろ!」


……


その戦いは長時間続いた。テドールの希望なき世界は、当たった者から希望を奪い取り、絶望を増大されるという能力を持っている。他の神々はこれにより存在を維持できなくなり死んだ。私とて、これを何度も食らえば存在維持をできるか怪しい。最新の警戒を払いながら攻めていく。そして私の全なる存在はありとあらゆる存在へ干渉するというものだ。故にこれが当たった瞬間、テドール本体だろうと神器だろうと関係なく、存在を消し去ることができる。そして、テドールはこのことを知っている。そのためテドールは私の攻撃の全てを躱していた。だが、それも限界がくるのは明らかだった。先に限界が来たのはテドールだった。


テドール「はぁ…はぁ…クッソが……はぁ…」


セティール「よくやった方です。まさかあなたがこれほどの力を蓄えているとは思いもしなかった…ですが、私には届かなかったと言うだけです。」


テドール「もう何もできん…殺したければ、殺せ」


セティール「もちろんです。」


そう言って私がトドメを刺そうとした瞬間、違和感を感じた。先程まで落ちていた希望なき世界が消えていたのだ。だが、気づくのが一瞬遅かった。私は近づきすぎていた。テドールは存在付与を使ってあたり一帯を絶望で包み込んだ。


セティール「クッ……」


テドール「ははは…最後に…油断したな…はぁ…はぁ…ふぅ…」


セティール「この程度で…!」


私は影響変化を使ってその空間の絶望を消し去る。


テドール「クッ…さすがだな。神器を出した状態で影響変化を扱える奴なんてお前ぐらいだ。」


セティール「これで全てですか…なら今度こそ、死になさい!」


そして私は全なる存在でテドールを貫いた。


テドール「クソ…が…」


そう言ってテドールは消え去った。


セティール「はぁ…はぁ…やっと終わった…」


終わった。だが、神界の修復にはかなりの時間がかかるだろう。神は私以外全滅、天使も誰1人としていない。私も存在をかなり削られた。存在は時間をかければ治っていく。だが、今の私の存在では、神として維持し続けるのはかなりキツイ。


セティール「あまり選びたくはなかったが…実界に行くしかないか…」


存在回復自体は神界にいる必要はない。実界でも問題なく存在回復はできる。では何故行きたくないのか。実界に降りた神は例外なく通常の生物と同様に心臓が与えられ生物としての死ができるようになってしまうからだ。力も十全に扱うことはできない。出せて神界にいる時の6割程度だ。それでも実界の生物の中では上位に位置することだろう。だができることなら行きたくはないと言うのが感想だ。何よりも神界から誰1人としていなくなることは避けたい。しかし今は迷っている暇はない。神界に神としていたい気持ちはある。だが神としているためにはある程度の存在を消費する必要がある。通常ならそんなの気にならない程度にしか消費しないが、今ではその消費すら痛い。実界に行けば、一時的に神ではなくなるため消費を防ぐことができる。


セティール「はぁ…行くか」


私はため息混じりにそうこぼし、空間を切り裂き神界と実界を繋げる。本来ならもっと安全に開くのだが、今はそれに使う存在すら惜しい。そして私は最低限の存在で身を包み、その亀裂に飛び込んだ。

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