夜の花
こんにちは
ミディア寝子です
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そろり……そろり……
足音がカサカサと鳴り響く一筋の道を、街の明かりもないまま私は歩んでいた。
そろり………そろり………
「あらあら?あらあらあら??」
可愛い声がどこからか聞こえてきた。
「こんな夜更けになんのご用かしら?」
声を出しているのは…小さな人魚のような、妖精のような、魔女のような、、なんとも奇妙なものだった。
人魚の見た目に、妖精のように透き通った体、魔女のようなステッキと帽子。
星のステッキを振り回しながら一人の妖精(仮)は話し続ける。
「この道を通ってきたってことは、どこか素敵な所へ行きたいのかしら?」
「そうだけれど…あなたが噂の”渡り人”?」
「そうよ、私は地域をつなぐ者。国をつなぐ者。世界をつなぐ者。貴方は何を望むの?」
そう、私が探していたのは知らない世界。
噂では、”渡り人”に願いを託すと願いが叶うらしい。
「私が望むのは綺麗なお花。私は誰も知らないお花を見てみたいの」
足音の響く一本道は次第に光りだす。
いつの間にか……まるで終わりがあったように、まるで始まりがあったように、魔法の絨毯みたいな大きさになっていた。
”渡り人”の振るステッキから光の粒が溢れ出てきた。
「いいわよ。これから行くところはあなただけの花畑。その光る道はあなただけの道。その絨毯はあなたしか乗りこなせない。スターライントファントム!」
途端に世界が動き始める。真っ暗だった世界は青白く光り始めた。
………ここは、どこ?………
ふと、下を見ると水面が揺れている。水面に向かっているのは……何!?
………止まって!………
願えば急停止する。
水面に映るのは………星に乗った私。
花びらが何枚も重なったようにレースが揺れるドレス。
大きなリボンによってハイウエストになっている。胸元の縁には花がぐるりと飾り付けられている。
髪はお花とともに結われていて……って、そこではない。
可愛い!というところではなく、星……?
どうやらこれは流れ星。
………ねぇ、どこに行こうとしていたの?もう一回目的地に…………
意思を感じると駆け出すようで…海の中にドボン…………ドボン?
………息がっ!………
と、不安になったのもつかの間。
息はできる。しかしそれよりも、目に入ってきたのは花びらの多い、真珠を身にまとったような花。
………まるで、私の………
ドレスみたいだ。
上を見ると満天の星空。
海に眠る花たちを眺めながら私はそのまま眠りについた。
「もう!起きなさい。遅刻するわよ!」
「はい?」
大変だ。遅刻してしまう!
なにか素敵な夢を見ていたようだが、よく思い出せない。
一秒すぎるごとに記憶が薄れていく。
………まあ、いっか………
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