042「取り巻き4(フォロワーズ・フォー)」
——次の日
「では、ワシはまた図書館に潜入するゥゥリィィィィっ!!」
と、ハクロがなぜかジョ◯ョ風な掛け声ともに颯爽と部屋を出ていった。⋯⋯こいつ自由だな、いろいろと。
そんな自由なハクロを尻目に、俺が寮を出て学園へ向かおうとしたとき、
「よっ! 新入り!」
「あ! 昨日はどうも。えーと⋯⋯」
「フェリオ・リーチだ」
「はい! リーチさん!」
「フェリオでいい。俺もお前と同じ平民だからな⋯⋯敬語は不要だ!」
「わかりま⋯⋯わかったよ! フェリオ、おはよう!」
「おう!」
声を掛けてきたのは、昨日子分になったジョルジオ・マッケラン伯爵の取り巻き⋯⋯『取り巻き4』のリーダー、フェリオ・リーチ。
身分は『平民』とのことだが、見た感じだいぶスマートな立ち居振る舞いなので少々驚いた。正直、かなり品がある。この世界の『平民』はこれが『標準』なのだろうか。
それにしても、この『取り巻き4』のリーダー⋯⋯なかなかのイケメンである。⋯⋯ていうか、それを言ったら他の三人も顔立ちがだいぶ整っているし、主人であるジョルジオ・マッケランもまた、同様にかなりのイケメンだ。
ちなみに、昨日学園の生徒たちも一通り見たが、ほとんどが『イケメン・美少女』だった。
何、この異世界のイケメン・美少女率?⋯⋯⋯⋯いいぞ、もっとやれ!
そんなことを考えていると、
「「「おーい!」」」
「お、きたな!」
「おっはー、エイジー!」
「おはようございます、エイジ君」
「⋯⋯おはよう」
声を掛けてきたのは、もちろん『取り巻き4』の奴らだ。
「おはようございます、エイジ・クサカベです⋯⋯」
「平民の俺たちといる時は⋯⋯」
「敬語禁止!」
「⋯⋯禁止」
「あ、うん⋯⋯ありがとう!」
と、フェリオと同じように三人からも注意されてしまった。
「俺はヴァン・ライデン!」
「僕はシルビア・エステファン」
「⋯⋯ウィル。ウィル・ウィリアム」
「よ、よろしくお願いします⋯⋯」
何だろう⋯⋯一人一人がすごい個性的というか、だいぶ『クセ強め』だ。
でも、四人ともすごく優しいというか⋯⋯しっかりしているというか⋯⋯頼りになる感じだ。主人であるジョルジオ・マッケランと比べると、この四人はすごく頼もしい感じだ。
昨日、話をした時はただの『取り巻き』、しかもちょっと『アホっぽい感じ』だったのに⋯⋯⋯⋯あの第一印象は俺の勘違いなのだろうか?
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寮で『取り巻き4』と合流した後、俺たちは校門へと向かった。
「いいか、エイジ。朝はまず今日みたいに寮の入口に集合した後、校門へ行き、そこでジョルジオ様のお出迎えで俺たちの一日がスタートする」
「は、はい」
『取り巻き4』改め⋯⋯『取り巻き5』のリーダー、フェリオ・リーチから朝イチの最初の仕事であるジョルジオ・マッケランの出迎えの説明を受ける。
「ジョルジオ様をお出迎えした後は⋯⋯⋯⋯まあ、ジョルジオ様の身の回りの世話をするくらいかな」
「そうそう。ま、要するに、パシリだなっ!」
「な、なるほど⋯⋯」
フェリオと話をしている横から、赤髪が目立つ『チャラ男』風のヴァン・ライデンが入ってきた。
「ヴァン、君のその言い方は語弊がある。ジョルジオ様はそんな人ではない、訂正しろっ!」
すると、さらにその横からサラサラのキレイな青髪ショートヘアーを軽く振り乱しながら、少し強めの口調でヴァンの発言を注意するのはシルビア・エステファン。⋯⋯見た目も名前も『女性』のような雰囲気を纏っているので同性なのにドキッとさせられる。
⋯⋯大丈夫。俺にそんな『癖』は断じてない。え?⋯⋯⋯⋯ないよね?
「ふぁぁ⋯⋯⋯⋯眠っ」
そして、『自由人』のウィル・ウィリアム。シルビアとはちょっと違うが、こいつもちょっと『中性的』な顔立ちをしている。髪色が『シルバー』と、ヴァンやシルビアもそうだが『これぞ異世界』という感じの髪色だ。あと、昨日もそうだが目の下に『クマ』があるので眠たそうな顔をしている。⋯⋯「たぶん、いつもこんな感じなんだろうな〜」という俺の予想は間違ってないだろう。
そうして、四人でジョルジオの到着を待ちながらわちゃわちゃしていると、
「おはよう、諸君! 出迎えご苦労っ!!」
馬車から降りるや否や、キラリ!⋯⋯と眩しいくらいの笑顔を見せ、颯爽と登場したのは我らが主人⋯⋯⋯⋯ジョルジオ・マッケラン、その人である。




