039「違う意味で注目されました」
「どうして、先生は⋯⋯⋯⋯そんなに綺麗で美しい人なのに、わざわざキツイ言い方をするのですか?」
「なっ?! な、なななななななっ⋯⋯?!」
「「「「「っ!!!!!!!!!!」」」」」
俺の言葉に教室の空気が一瞬で凍りついた。⋯⋯あと、ケイティ先生が顔を真っ赤にして『な』を連呼している。そんな『な』を連呼するドギマギケイティ先生に、さらなる燃料投下を行ってみた。
「せっかくの美人が台無しです、ケイティ先生! まあ、確かにそんなケイティ先生も魅力的であることは間違いないのですが! でも、ケイティ先生は『優しい笑顔』のほうがずっと素敵だと思いますっ!!」
「ええっ!? あ⋯⋯いや⋯⋯その⋯⋯え? え?!」
「ケイティ先生! どうか自分の『本当の美しさ』から目を背けないでっ! あなたはもっと『乙女のような美しさ』を磨くべきだっ!」
「お、乙女⋯⋯ですかっ!? こ、この私が⋯⋯乙女⋯⋯ですかっ!?」
「あなた以外に誰がいるんですかっ! 私は、そんなケイティ先生に⋯⋯⋯⋯一目惚れしましたっ!!!!」
「なっ?! ひ、一目⋯⋯惚れっ!?」
「「「「「えええええええええええ〜〜〜〜〜っ!!!!!!」」」」」
教室が一気に騒然となる。さっきまでの『凍てつく大地』が一変した。
まあ、一生徒が先生に「一目惚れしました」などと言ったところでまともに取り合ってくれないことはわかっている。⋯⋯ただ、それでも好意を向けられた相手のことを悪く思うことはないはずだ。
これで、少しはケイティ先生の『心象』が上がるだろう⋯⋯そういう作戦だった。ところが、あれほど殺気を放っていたケイティ先生の様子が⋯⋯、
「ひ、ひひひ、一目⋯⋯惚れっ! この私に対して⋯⋯っ?!」
あれ? だ、大丈夫だよね?
いやいやいや、ケイティ先生は大人なんだから。⋯⋯たかが一生徒の告白をそんなまともに受けるわけ⋯⋯、
「わ、私が⋯⋯乙女っ!? しかも、私に一目惚れにゃどとっ!? んふー! んふー! こ、こりは、ど、どどど、どういう⋯⋯状況っ?!」
こ、これは⋯⋯⋯⋯やらかしたのでは?
そんなケイティ先生の様子を見て、俺が軽く『やっちまった感』を抱いていると、
「な、何、この人っ!! 何で転校初日に先生に告ってんのっ?!」
「キャー! キャー! キャー! 転入生君、だいたーんっ!!!!」
「い、いやいやいやいや⋯⋯っ!!!! 生徒や先生からも恐れられている⋯⋯あの『暴君女帝ケイティ・バクスター』先生が、まるで⋯⋯乙女のような恥じらいをっ!!!!」
「逆にすごいわ、こいつ!! エイジ・クサカベ⋯⋯マジ何者だよっ!!!!」
どうやら、みんな俺の名前を覚えてくれたようだ。よかった、よかった⋯⋯⋯⋯いや、そうじゃない!
ケイティ先生の様子を見る限り、俺の一目惚れ宣言は結構クリティカルだったってのか?!
こ、これは、収拾つかないようなことをしてしまった感がハンパないのだが⋯⋯。
キーン、コーン、カーン、コーン⋯⋯。
すると、ちょうど授業の終わりを告げるベルが鳴った。次はお昼休みなのだが、皆、教室から出ていかず、いまだ放心状態・興奮状態でザワついたままだった。
「と、とりあえず、先生の心象は最初よりは良くなったということで、結果オーライ⋯⋯⋯⋯ということにしておこう」
俺は目の前の現実から逃げるように一人そそくさと教室を後にした。
********************
——『学食』
お昼休み——学食へとやってきた。
俺は今日から学園へ通うこととなったが、その際、城から『学食パスポート』なるものをもらっていた。これは文字通り『学食で食事をもらえるパスポート』だ。
さて、俺は今後の住まいは城から学園寮へと移る。放課後にその寮へと移動する予定だ。
ちなみに学園寮を利用しているのはほとんどが平民となる。理由はお金が無いから。貴族のご子息様はみんな家から馬車で通っているので、学園寮は貴族がいないぶん平民からすれば気持ち的にラクそうだ。
まあ、それよりも俺は今後いろいろ動きたいので、城から学園寮へと移ることになったのはちょうどよかった。
そんなことを考えながら、俺は『学食パスポート』を利用して豪華なやつを頼んだ。この『学食パスポート』での食事は何を食べてもいいらしいので俺は遠慮なく頼んだ。ちなみに、頼んだのは『何の肉かわからないが肉汁たっぷりのステーキ』と『やわらかそうなパン』だ。
注文したランチを手に取り、空いているテーブルを探していると、やたら生徒から視線を向けられた。やはり『元・救世主の平民』『異世界人』ということでの注目だろう。
こんなに人に見られながら食事をするのはさすがにちょっと辟易するので、俺は誰も使っていない屋外のテーブルへ行ってそこで一人昼食を食べた。
「うまっ!? 何の肉かわからないけど結構うまいな! 異世界の食べ物ってあまり美味しくないイメージだったけど⋯⋯これは嬉しい誤算だ!!」
俺は肉汁滴るステーキを一心不乱に食らいつく。パンも日本で食べていたパンと同じくらいにはやわらかく美味しかった。
そんな、豪華な昼食を一人で満喫していると、
「おい! そこの⋯⋯⋯⋯『落ちぶれ救世主』!!」
「ん?」




