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異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜  作者: mitsuzo
【第二章 ハズレモノ旺盛編】

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037「学園長モーリス・ガーフィールド」



——エルクレーン王国総合学園/学園長室


 コンコン。


「どうぞ」

「失礼します」

「エイジ・クサカベ君だね?」

「はい」


 今日から俺はこの学園に通うことになったので、その挨拶を兼ねて学園長室へとやってきた。


「シャルロット女王様から話は聞いております。私はこの『エルクレーン王国総合学園』にて学園長を務めている『モーリス・ガーフィールド』というものです。どうぞ、よろしくお願いします」


 ん? あれ?


「あ、あの、失礼ですが、その⋯⋯」

「ん? ああ、なるほど⋯⋯。はい、私は⋯⋯⋯⋯女性(・・)です」


 そう⋯⋯そうなのだ。学園長とは一週間前に一度会ったのだが、その時、俺は『男性』だと思っていたのだが、しかし、こうやってじっくりと目の前で話をして『女性』だと気づいた。


 モーリス・ガーフィールド⋯⋯深い紫色の綺麗なロングヘアー。しかし、パッと見は女性というより、男性寄りの美女だ。『ハンサム美女』とでも言おうか。しかも身長も俺より少し低いくらいなので170前後はあるため、余計に男性っぽく見える。⋯⋯正直、話す機会がなかったら、ずっと『男性』と勘違いしていたかもしれない。


 男性の『凛々しさ』と、女性の『美麗さ』が同居する⋯⋯⋯⋯そんなモーリス学園長は、


「つ、つかぬことをお聞きしますが、学園長ってもしかして『エルフ』⋯⋯ですか?」

「はい、エルフですよ。今年で328歳になります」

「さ、328ぃぃ〜〜っ!? こんなキレイで若々しい人がっ!? や、やっぱ、エルフって見た目だけでは何歳かわからないですね!」

「フフ⋯⋯ありがとう。そこまで面と向かって『キレイ』だの『若々しい』だの言われると⋯⋯⋯⋯こそばゆいな」

「あっ?!⋯⋯⋯⋯す、すみません」


 やっべ! つい、心の声が⋯⋯っ!!


 それにしても、頬を染めたその顔もまた一段とキレイだな、おい(惚れてまうやろー!)。


「⋯⋯コホン。ま、まあ、平均寿命が80歳前後の人間種からしたらビックリするのも無理ないだろうね。ちなみに、エルフ同士であれば見た目だけでも相手の年齢はわかるもんなんだよ?」

「へーそうなんすね⋯⋯」


 いやー、エルフかー⋯⋯これぞ、まさに『ファンタジー』って感じだよなー。このとんがった『エルフ耳』とかいいよねー。


「⋯⋯コホン、コホン。そ、そろそろいいかな、エイジ君?」

「あ! す、すみません!?」


 どうやら学園長の顔をマジマジと見過ぎてしまっていたようで、学園長の顔がさらに赤く朱に染まっていまった。いけない、いけない。


「さて⋯⋯⋯⋯今日から君は『救世主』という立場ではない。身分は『平民』という扱いになるのだが、これは知っているね?」

「はい」

「よろしい。ちなみにこの学園⋯⋯エルクレーン王国総合学園に通う生徒はほとんどが『貴族』となる。『平民』の生徒はそのうちの一割ほどだが、これも理解しているかい?」

「はい、理解しています」

「うむ。一応、この学園に通っている間は『身分・種族差別禁止』というのがある。⋯⋯形式的(・・・)にはね」

「形式的⋯⋯ですか」

「そうだ」


 なるほど。⋯⋯ま、よくある『異世界学園ものパターン』てやつですな。つまり、学園内ではちゃんと『貴族と平民との間には身分差がある』ということを言っているのだろう。⋯⋯まー予想どおりだな。


「あの学園長⋯⋯⋯⋯一つお聞きしたいのですが」

「ん? なんだ?」


 その上で、俺は一つ学園長に確認(・・)をする。


「学園内で揉め事が起こった場合、ちゃんとした『証拠(・・)』があれば『貴族』だとしても罰せられるんですよね?」

「!⋯⋯⋯⋯ああ、そうだな。ちゃんと証拠があれば(・・・・・・・・・・)、いくら貴族であっても処罰を受けることになるよ(ニチャァ)」


 よし! それなら大丈夫(・・・)そうだな。⋯⋯にしても、今の学園長の顔⋯⋯⋯⋯だいぶいい顔(ニチャァ顔)してたな〜。


 この人、食えねーわ(・・・・・)


「わかりました、ありがとうございます!」

「いやなに。もし、また何か困ったことがあったら相談にきなさい。では⋯⋯⋯⋯おい、シーナ」

「はい、学園長」


 すると、『シーナ』という女性教師であろう人が学園長室に入ってきた。どうやら、ドアの外で待機していたようだ。


「エイジ君を教室へ案内してくれ、では、エイジ君⋯⋯⋯⋯学園生活を|大いに楽しんでくれたまえ《・・・・・・・・・・・・》!」

「はい⋯⋯⋯⋯|めいっぱい楽しみたいと思います《・・・・・・・・・・・・・・・》!」


 こうして、俺はシーナ先生に連れられて園長室を後にした。



********************



 シュタ!


「⋯⋯(あるじ)様」

今は(・・)⋯⋯⋯⋯学園長だ」

「失礼しました、学園長」

「なんだい?」


 エイジが学園長室から退出したタイミングで、今まで誰もいなかった場所に突然(・・)人が現れ、モーリスに声をかける。


「えらくご機嫌ですね」

「わかるかいっ!⋯⋯エイジ君()、最高だよ!」

「しかし、彼は『ハズレモノ』というその称号どおり『ハズレステータス』ですよ?『救世主』としてはまったく使い物にならない⋯⋯その理由で学園(ここ)にやってきた生徒ですよ? 正直、あれほどの弱者⋯⋯力のない者に対して、学園長がそこまで期待している(・・・・・・・・・・)のがまったく理解できません」

「おや? 嫉妬かい?」

「⋯⋯た、ただの、事実ですっ!?」

「フフ⋯⋯そうかい? であれば、君が(・・)エイジ君を試してみてはどうだい?」

「⋯⋯いいのですか?」

「もちろん」

「その場合、彼を壊してしまう(ダメにしてしまう)かもしれませんよ?」

「構わないさ。もし、それで壊れてしまうのならそれまでの存在だった(・・・・・・・・・・)ってことだ」

「わかりました。では、私の手でエイジ・クサカベを試させていただきます」

「ハッハッハ、やる気満々じゃないか! あれ? もしかして、君もエイジ君に|何か期待しているのかな《・・・・・・・・・・・》?」

「そんなことはありません。彼にはちゃんと身の程(・・・)を知ってもらい、ここで『平民』として身の丈のあった生活をしてくれれば十分です。今後、実力もないのにしゃしゃり出てこられるのは不愉快なので、ちゃんとわからせたい(・・・・・・)と思います」

「なるほど。フフ⋯⋯いいじゃないか、やってみなさい」

「御意!」


 フッ!


 そう言うと、その場から姿を消した。


「フフ⋯⋯転校早々、楽しませてくれそうだね、エイジ君は」


 そう言うと、モーリスが窓辺に立ち空を見上げる。


「さて、まずはお手並み拝見(・・・・・・)といったところかな。うちの子(・・・・)は、まあ高い壁(・・・)だが、ちゃんと乗り越えてくれるよね、エイジ君?」


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