022「ただのざまぁには興味ありません〜第一章ハズレモノ胎動編 完〜」
「⋯⋯強いな、俺」
俺はレベリングが終わった自分のステータスを眺めながら⋯⋯ふと呟く。
もちろん最強ということではないだろうが、少なくとも『現時点の柊木たち』よりは強いと思う。⋯⋯⋯⋯いや、圧倒してるだろう。俺は柊木たちを圧倒する力が欲しかったので、それはまさに願いどおりとも言える。
なんせ、これから例の『アレ』をするには『柊木たちを圧倒する力』は必要だからな。
ニチャァ⋯⋯。
「ほう? エイジ⋯⋯その気持ち悪い笑みはなんだ? 気持ち悪いぞ?」
「なるほど。そんなに『気持ち悪い』を二回アピールするほど俺の笑顔が気持ち悪かったと」
まあ、それはしょうがない。認めよう。
「ああ、すまん。だが『ニチャァ』は『ざまぁの礼儀』みたいなものだからな」
「うむ。言葉の意味はよくわからんが、とにかくすごい気持ち悪いな」
むむっ!?
『キン○マンの与○さん』みたいなセリフを返してくるとは⋯⋯やるな『のじゃロリハクロ』。
「とりあえず、これから俺は『ざまぁ』するぜ!⋯⋯みたいなのの宣言をしただけだ」
「その『ざまぁ』というのは何じゃ?」
俺はハクロに『ざまぁ』を懇切丁寧に説明する。
「なるほど。つまり、エイジを殺そうとした奴らとか、エイジをバカにしてた奴らに仕返しをすると⋯⋯そういうことだな?」
「まあ、ざっくり言えばそうだが、俺がやろうとしているのはもう少し高度だ」
「高度?」
「通常の『ざまぁ』という概念でいえば、ハクロのその認識で正しい。ただ、それだと『城に戻って俺を殺そうとした奴らを告発する話』になってくる」
「違うのか?」
「ああ、違う。俺がやろうとしているのは『みんなの元に戻った上で、告発も何もせず、俺を殺そうとした奴らのすぐ側で、|これまで通りに生活する《・・・・・・・・・・・》』というものだからな」
「んん〜? よ、よくわからん。それではお前の言う『ざまぁ』にはならないのではないか?」
「いや、なる。よく考えろよ、ハクロ? お前『一度殺したはずの相手』が生きていて、尚且つ、そのことについて、一切誰にも暴露せず、まるで何もなかったかのように生活するんだぞ? どう思うよ?」
「怖っ!」
「だろ? そういうことだ」
「でも、それだけでお前は満足なのか? 正直、普通なら相手にちょっとは自分がされた痛みとか悔しさを味わわせたいと思うはずだが⋯⋯」
「思うよ? ていうか、そのつもりだぞ? まあ、多少は物理での仕返しもあるかもだが、それはメインではない」
「何?」
「俺のざまぁのメインは『精神的屈辱を味わわせる』ことにある」
「精神的屈辱? どうやって?」
「えー⋯⋯まず、ステータス偽装をして奴らの前に姿を現します。次に、生還した俺に三人が激しく動揺します。さらに『雑魚ステータス』の俺が奴らの前で無双して⋯⋯」
と、俺は一連の『俺流ざまぁシナリオ』をハクロに伝えた。
「お、お前⋯⋯⋯⋯えげつないな」
「高度だろ?」
「それを高度というお前に、恐怖と戦慄を覚えるよ。ただまあ、そういうの⋯⋯⋯⋯嫌いではないぞ?(ニチャァ)」
お? ハクロも大概だったか。⋯⋯こいつは話が早い。
「ただのざまぁには興味ありません!」
「その決め台詞はよくわからんが、お前がまともじゃないことだけは理解した」
「褒め言葉ですね、ありがとうございます」
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「ところで、ハクロのレベルってどのくらいなんだ?」
「⋯⋯戦い終わった今、それを聞くとか、まさに今さらじゃな」
「いや、そういえばステータス見てなかったなーって⋯⋯」
「まあ別によいぞ⋯⋯⋯⋯ステータス」
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【ステータス】
名前:ハクロ(龍族)
年齢:1200歳
称号:白龍
レベル:118
HP:36121
MP:37042
身体能力:4032
身体硬度:4185
魔法:火炎放射/豪炎大火身体強化/上級治癒/上級異常治癒/隠蔽
固有魔法:『龍の咆哮』『龍の炎』
固有スキル:『龍神の加護』
体術:ハクロ式体術(免許皆伝)
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「すごいな、魔法とかスキルとか⋯⋯。あれ? 俺とレベルが⋯⋯あまり変わらない?」
「そりゃ、そうじゃ。なんせ、お前の『理外の加護』が『Lv2』になったからな」
「え? どゆこと?」
「『固有スキル:理外の加護』を確認してみろ」
「お、おう⋯⋯」
というわけで、早速、ハズレモノの固有スキルの一つ『理外の加護』を確認してみた。
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【固有スキル:理外の加護】
・『理から外れた者』が受けられる加護。レベルが1〜10まで存在
【Lv1/恩恵と解放条件】
恩恵:『レベリング成長10倍』『魔法・固有魔法・固有スキル・体術の創造』
条件:『ハクロからきっかけを与えてもらうこと』
【Lv1/解放】
『レベリング成長10倍』
・経験値獲得量、ステータス成長率といった成長に関するものすべてに10倍の補正
『魔法、固有魔法、固有スキル、体術の創造』
・『魔法、固有魔法、固有スキル、体術の創造ができるようになった
・レベルが上がっても、魔法、固有魔法、固有スキル、体術を獲得できない
・人に教えられても、魔法、固有魔法、固有スキル、体術を獲得できない
・魔法、固有魔法、固有スキル、体術の獲得は、自作することで獲得できる
【Lv2/恩恵と解放条件】
恩恵:『レベル100の限界突破(上限レベル300)』
条件:『レベル100に達すること』
【Lv2/解放】
『レベル100の限界突破(上限レベル300)』
・レベル100に達したためレベルアップの限界突破。上限300まで解放された
【Lv3/恩恵と解放条件】
恩恵:『全魔力消費10%軽減』
条件:『魔法の創造(1個)』『固有魔法の創造(1個)』『固有スキルの創造(1個)』
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「『レベル100の限界突破』⋯⋯これか」
「そうじゃ。これまでワシの元々のレベルは『100』で、それ以上はレベルアップできない状態⋯⋯『上限レベル』じゃった。しかし、お前の『理外の加護』がレベルアップしたおかげで、ワシもお前の『レベル100の限界突破』が適用され、レベル上限100を超えたというわけじゃ」
「なるほど。そういえば『パーティー登録』していると『パーティーリーダーの固有スキルの効果がパーティーメンバーにも適用される』って魔法先生が言ってたな⋯⋯あれか!」
「そうじゃ。最初はワシがパーティーリーダーじゃったが、後半は瑛二がリーダーになったじゃろ? そのタイミングでお前の『理外の加護』がレベルアップになり、ワシにもその『恩恵』が反映されたのじゃ」
「なるほど。『パーティーリーダーの固有スキルの効果がパーティーメンバーにも適用される』ってやばいな。俺の『レベリング成長10倍』の固有スキルがメンバーにも適用されるって、俺とパーティー組む奴なんてあっという間にレベル上げられるじゃねーか」
「そうじゃ。だから、千二百年前の『ハズレモノ』のパーティーメンバーに選ばれた奴は、周囲から羨ましがられたもんじゃ」
「へー」
「じゃから、瑛二⋯⋯パーティーを組むときは注意するんじゃぞ? ま、この時代は『ハズレモノ』の存在や能力は知られておらんようじゃから大丈夫だとは思うが⋯⋯」
「わかった。それにしても、次の『Lv3』の条件⋯⋯⋯⋯『魔法の創造(1個)』『固有魔法の創造(1個)』『固有スキルの創造(1個)』って、これはちょっと今すぐには無理そうだな」
「そうじゃな。ここからはちょっと難しいと思うぞ? 正直『魔法』『固有魔法』『固有スキル』を創造するなんぞ、一朝一夕にはいかないからな。まあ、そこは気長にやればよいじゃろ」
「そうだな。ちょっとすぐにはイメージ湧かないし⋯⋯」
一旦、保留ということで。
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「さて、これでとりあえずレベリングはいいかな⋯⋯」
「⋯⋯正直、やりすぎじゃと思うぞ?」
「そんなことはない。なんせ、これから『俺流ざまぁ』をするわけだからな」
「なるほど。では、この後はどうする?」
「⋯⋯ダンジョンの外へ出る」
「うむ。いいと思うぞ。では、一度100階層に戻って『転移陣』で1階層へ移動じゃな」
「ところで、ハクロはどうすんだ? ダンジョンに残るのか?」
「いや、お前についていくぞ。最初に伝えたじゃろ⋯⋯ワシは『きっかけ』を導く者。そして『ハズレモノ』と共に歩む者、だと。それにほれ、お前に『きっかけ』を与えるという使命を果たしたおかげで、次の使命が発動して、こんな姿になったんじゃからな?」
そう言って、ハクロがその場でクルッと可愛く一回転した。
ほう⋯⋯? 一つ目の『きっかけの使命』が完了し、次の『ハズレモノと共に歩む使命』が発動したから、見た目中学生という俺のロリ美少女で現出した⋯⋯と?
それはつまり、神様は俺の趣味嗜好を把握しているということなのだろうか? はたまた『ハズレモノ』とは歴代、|そういう趣味嗜好の紳士が担っているのだろうか?
まあいい、問題はない。⋯⋯むしろ優勝だ。
「神様ありがとう」と素直に感謝しようじゃないか。
「神様ありがとう」
「なんじゃろう? 神様への感謝の言葉のはずなのに、なぜかお前の業の深さを感じるな」
ハクロちゃん、察し良すぎな。
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——最下層100階層『常世の聖域』/ハクロ・瑛二
「では、地上へレッツゴー!」
「ハズレモノは、やっぱりこの時代も変わり者じゃったか⋯⋯」
そう言って、ため息を吐きながら歩き出すハクロ。そして、それについていく俺。そうして『常世の聖域』を出た俺たちは『転移陣』の場所までやってきた。
「では、行くぞ⋯⋯エイジ」
「ああ、よろしく頼む⋯⋯ハクロ」
こうして、瑛二とハクロの長い長い旅が始まった。
——第一章 ハズレモノ胎動編
完




