021「レベリングでGO!」
「とりあえず、今やるべきことは、地上に上がって情報収集ってところか?」
俺はハクロにこれからの話を切り出した。
「ああ、そうじゃな。今の世界がどうなっているのか、まずはそれを知る必要がある」
ハクロも同じ考えのようだ。
「それならちょうどいい。王都には学園がある。そこに行けばいろんな歴史の資料もあると思うぞ」
「なるほど。では、まずは王都の学園に行くかのぉ」
そう言って、俺たちは地上へ戻るということで早速、行動を開始しようとした。
「ちなみに、どうやって地上まで上がるんだ?」
「となりの部屋に1階層まで転移できる転移陣がある。それを使う」
「なるほど⋯⋯」
ん? ちょっと待て?
「お、おい、ハクロ。ちなみにここって⋯⋯⋯⋯ダンジョンの最下層100階層だよな?」
「そうじゃが?」
「思ったんだけど、俺って『ハズレモノ』の力を解放してもらったけど、それってスキルが解放されただけで、レベル的な強さは『20』のままじゃない?」
「うむ」
「それって、このダンジョンだと何階層くらいの魔物の強さになるの?」
「このダンジョンはおおよそ『階層数とレベルは比例する』から、レベル20であれば『20階層の魔物と同レベルの強さ』ということじゃ」
なるほど。
「ちょっとさ、地上に上がる前にダンジョンでレベリングしておきたいんだけど?」
「ああ、そうじゃな。その方がいいじゃろう。レベリングを兼ねて、力の使い方を知るのは大事じゃからな」
「じゃあ、どこか途中の⋯⋯例えば20階層に転移するとかはできるのか?」
「できるぞ。ただ、ワシはレベル100じゃから⋯⋯」
「⋯⋯レ、レベル100っ?! ハクロってそんな強いのか!」
「当たり前じゃろ? 最下層100階層の主⋯⋯『ダンジョン主』じゃからな」
ハクロが「エッヘン!」と反り返り、無い胸を張ってドヤ顔を披露。そんなハクロの話を聞いた俺は『ある事』に気づく。
「ん? もしかして、ハクロとパーティー登録とかって⋯⋯⋯⋯できちゃったりする?」
「できるぞ。むしろ、それをワシは提案しようとしたんじゃ。わざわざ20階層で一人で魔物狩りするより、ワシとパーティー登録して80階層あたりで魔物狩りしたほうがレベリングは早いからな」
デスヨネー。
「ありがとう、ハクロ! じゃあ、早速頼むわ!」
「うむ。とりあえず、お前が成長するまでワシ一人でサクサク魔物を倒せるのはだいたい⋯⋯80階層くらいじゃからそこに転移するぞ」
俺はハクロとパーティー登録した後、『常世の聖域』から出て『転移陣』のある部屋へ行き、そこで『80階層』へと転移した。
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——80階層/ハクロ・瑛二
転移した『80階層』で俺はレベリングと力の使い方の確認を兼ねて魔物狩りを行った。
とはいっても、当たり前の話だが『レベル20』程度の俺が、こんな80階層の魔物を相手にするのは不可能だ。ということで、魔物へのアタックは『九割:ハクロ、一割:俺』という配分で魔物狩りを行った。
ちなみに、俺が『一割での戦闘参加』をする理由は『一割以上の戦闘参加』が無いと、パーティ登録下での『レベル配分の資格』がもらえないからである。
「それにしても⋯⋯」
俺は目の前の光景を見て、ただ唖然としていた。
「グルゥゥアアアァァァーーーーーーーっっ!!!!!!!!!」
ハクロが80階層の魔物相手に無双⋯⋯いや蹂躙をしていたからだ。
しかも、元の白龍の姿に戻るのかと思いきや『金髪ロリ美少女』のままで、「グルゥアアアアァァァ⋯⋯!」などと美少女らしからぬ咆哮を上げながら魔物をバッタバッタと蹂躙している。
「グルゥゥアアアアアアア! ワシを誰じゃと思っとるぅぅ〜〜!! ハクロ様じゃぞ、雑魚どもぉぉぉ〜〜〜! ワハハハハハハーーーっ!!!!」
「金髪ロリ美少女がこんな獰猛だったとは⋯⋯」
ハクロは俺の存在を忘れているかのように、実に楽しそうに魔物を蹂躙していた。この世界の『龍』って、こんなおっかないものなんだな。
味方で本当によかった。
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——一週間後
俺たちは、80階層のダンジョンに三日ほど滞在し、レベリングを続けていた。ハクロの懸命な頑張りにより、俺のレベルもかなり上がった。
ちなみに、高レベルの相手とのパーティー登録による『レベリングスピード』が、どれだけえげつないものかということがよーくわかった。
レベルがそれなりに上がった俺は、その後、ハクロと息の合ったコンビネーションができるくらいには強くなったので、その後、80階層から進んで『99階層』まで攻略を進める。
それから、さらに四日後——俺たちはとうとう99階層の魔物もサクサク倒せるようになったので、そこでレベリング活動は終了した。
え? どれだけ強くなったのかって?
それは⋯⋯な・い・し・ょ。




