019「ハズレモノというチート」
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【固有スキル:ステータス偽装】
・自身のステータスのうち、『レベル』『HP・MP』『身体能力・身体硬度』『魔法』『固有魔法』『固有スキル』『体術』を偽装できるスキル。『名前・年齢・称号』は偽装不可
・『/』の左側が『偽装した内容』で、右側が『本来の内容』
・偽装部分のステータスの数値は好きなように変えられる。デフォルトは『本来の10%の数値』で表示
・ステータス偽装は『常時発動』が基本。魔力消費は微量(1時間につき、MP1消費)
・スキル発動は『常時ON・OFF』でOFFにすることもできる。デフォルトは『常時OFF』
・デフォルトの『常時OFF』だと『/』の両方の数値、つまり『偽装した数値/本来の数値』が表示され、且つ相手にも見える状態となる
・『常時ON』にすると、相手には『/』の左側の『偽装した数値』だけが表示。本人には『/』左右どちらの数値も表示される
・『偽装内容』と『常時発動ON・OFF』は、いつでも任意で変更可能
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「おお〜、出てきた、出てきた。なるほど、デフォルトではステータス偽装は『常時OFF』なのか。だから、城でみんなに見せた時は『/』左右どちらのステータスも表示されていたってわけね」
「ほう? 一度他の者に見られたのじゃな? ということは、『/』の右側はすべて『??』状態じゃったじゃろ? それはお前が『ハズレモノのきっかけを与えられる前』だったからじゃ」
「なるほど」
「じゃから、今、『常時OFF』にしたままだと、『/』の右側に本来のステータス内容である『レベル20』のステータスや魔法、固有スキルも見られる状態となるから『常時ON』に切り替えとけ。ちなみに魔力は『1時間:MP1消費』じゃから、常時発動しても1日で最大MPは『24』しか消費せんから安心しろ」
「わかった」
なるほど、これは色々と便利なスキルかもしれない。
とりあえず、俺は『常時ON』に切り替えておいた。これで、相手には『/』の左側の『偽装ステータス』だけが見えている状態だろう。
「それにしても、自主訓練しかしていないのに、なんでレベルが『20』も上がってんの?」
「それは、固有スキル『理外の加護(LV1)』の効果じゃな」
「理外の加護?」
「それも『知識』としてあるから確認してみるがよい」
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【固有スキル:理外の加護】
・『理から外れた者』が受けられる加護。レベルが1〜10まで存在
【Lv1/恩恵と解放条件】
恩恵:『レベリング成長10倍』『魔法・固有魔法・固有スキル・体術の創造』
条件:『ハクロからきっかけを与えてもらうこと』
【Lv1/解放】
『レベリング成長10倍』
・経験値獲得量、ステータス成長率といった成長に関するものすべてに10倍の補正
『魔法、固有魔法、固有スキル、体術の創造』
・『魔法、固有魔法、固有スキル、体術の創造ができるようになった
・レベルが上がっても、魔法、固有魔法、固有スキル、体術を獲得できない
・人に教えられても、魔法、固有魔法、固有スキル、体術を獲得できない
・魔法、固有魔法、固有スキル、体術の獲得は、創造することで獲得できる
【Lv2/恩恵と解放条件】
恩恵:『レベル100の限界突破(上限レベル300)』
条件:『レベル100に達すること』
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「レベリング成長10倍っ!? なんだ、このわかりやすいチートスキルはっ!!」
こりゃ、またとんでもないスキルだな、おい。
「つ、つまり、俺って、みんなと同じように魔物を倒したり、自主訓練したらみんなより10倍の成長補正がかかるってこと?」
「その通り。つまり、みんなと同じペースで魔物を狩っても、エイジだけは10倍の速度で成長するから、レベルアップの速度が桁違いということじゃ」
そ、そういうことだよな⋯⋯。
もはや、これだけでもかなりのチートなのでは?
「ただし、自主訓練についてはレベルアップは望めんぞ? おそらく、これが限界じゃ。そもそも、レベルアップは魔物を狩って経験値を得ることで伸ばすものじゃからな」
「そうなんだ」
「自主訓練はレベリングというより、習得した『体術』の質を上げるためのものと考えた方がよい」
「質を上げる? ああ⋯⋯体術の技を『覚えるため』だったり、『磨きをかけるため』とか、そういうこと?」
「そういうことじゃ」
と、ふとここでハクロが『体術』の話をしたのをきっかけに、俺は『理外の加護(Lv1)』のもう一つの恩恵である『魔法、固有魔法、固有スキル、体術の創造』について聞いた。
「『魔法、固有魔法、固有スキル、体術の創造』ってさ、今、確認したんだけど、これって見方によっては⋯⋯⋯⋯さっきの『レベリング成長10倍』よりやばくねーか?」
「ほう? そこにすぐに気づくとはやるな、エイジ? そうだ。この恩恵こそ『レベリング成長10倍』以上に大きなアドバンテージだと言えるじゃろう。なんせ、『魔法、固有魔法、固有スキル、体術』の習得方法が、魔法やスキルを誰かに教わるとか本とかで習得するものではなく、|自分で自作して獲得するもの《・・・・・・・・・・・・・》じゃからな」
そう。最初、『レベリング成長10倍』が目立ってすぐには気づかなかったが、よく見れば『魔法、固有魔法、固有スキル、体術の創造』のほうが|遥かにやばいチートスキル《・・・・・・・・・・・・》だということがわかる。
なんせ、『魔法もスキルも体術も、すべて自作して獲得する』ってんだから!
「ただし、デメリットもあるぞ? ハズレモノは『この世界の常識が通用しない者』じゃから、説明にもあるように、この世界の者たちと同じように魔法やスキル、体術を『人から教わったり、本などで習得する』ことをお前は一切できない。つまり、良い意味でも悪い意味でも『自分次第』ということじゃ」
なるほど、確かにハクロの言う通りだろう。
自分次第?⋯⋯最高じゃないか。なんせ、俺には⋯⋯⋯⋯『日本にいたときのアニメやラノベの知識』があるからな!
「ふっふっふ⋯⋯いろいろ創造ぜぇ〜(スギちゃん)」
思わずニチャァと素敵な笑みがこぼれた。
「ふむ、気持ちの悪い笑顔だな」
ほっとけ。
そんなこんなで、俺はハクロに『ハズレモノ』の力を解放されたあと、このハズレモノのスキルについていろいろと教えてもらった。
そんなこんなで、とりあえず、今の自分の状況を整理してみた。
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【現在の状況】
・クラスメートの策略により殺されかけた
・ダンジョンの最下層100階層でハクロと出会い『ハズレモノ』の力を得る
・『ハズレモノ』は本来『救世主』の役割
・『異世界転生者』は『ハズレモノ』のサポートとしての役割
・現在の世界は『ハズレモノ』は救世主としての存在意義どころか、『ハズレモノ』という称号を誰も知らない世界となっている
・『ハズレモノ』はかなりのチートスキルでした
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「のじゃロリぃぃぃーーーーーっ!!!!!!」
「ひあぁぁぁーーーっ!? だ、抱きつくなぁぁーーーっ!!!!」
俺は嬉しさのあまり、ハクロに思わず抱きついた。
だって、そうだろ?
ちょっと前まで、城の奴らやクラスメートから『無能』とか『クズステータス』ってバカにされていたんだぜ?
それが今では、あいつらの高スペックのステータスが霞むほどのチート能力を得られたんだぜ?
そんなもん、嬉しさのあまり隣の金髪ロリ美少女に抱きつくのは礼儀ってもんだろ?
え? その後?
もちろん、その金髪ロリ美少女から強烈な平手打ちをいただきました。
ありがとうございます。




