食の秋の醍醐味
ふわりと空を舞うのは、茜色に染まった紅葉。地面はもう自然の赤で覆われている。
沢山の落ち葉と小枝を集め、火を起こせば冷たい風で冷えた体を、優しく温める。
しかし、それだけでは勿体ないと、焚き火の中に濡らした新聞紙と、アルミホイルで包んださつまいもを放り込む。もちろん消化用の水と、トングは忘れてはならない。
投入してから、凡そ三十分。それまでの間、火を見てなくてはならないが、ぬくぬくとした暖かな炎と、パキッパキッと時折聞こえる小枝の爆ぜる音が身体を癒す。
さぁ、そろそろいい具合だ。トングでさつまいもを、熱々の焔から取り出して、竹串を刺す。スっと裏側まで貫通したら食べ頃。
火傷しないようにアルミホイルと新聞紙を取り外せば、さつまいもの独特な甘い匂いが、鼻腔を走る。
ゴクリと生唾を飲み込み、焼きいもを半分に割れば、ふわっとした黄金色に輝く身が、赤茶の表面の皮先に現れる。
再び生唾を飲み込み、一度口に入れれば火傷しそうなほどに熱く、自然とはふはふっと口の中の熱気を逃がす。同時にホクホクした食感と共に、さつまいもの甘さが口の中を埋めつくした。