プロローグ〜○○新聞より抜粋
恋のキューピッド役? 恋愛対象を決める遺伝子「キューピッド」発見
恋愛対象は遺伝子の配列が決めているーー。恋愛感情を左右させる遺伝子を、K大理学部の研究グループが発見した。発見された遺伝子はCUPIDと命名され、9日付けの米科学誌カレント・バイオロジーで報告された。
原始的な生物では、オスとメスは出会うと相手を限定せずに生殖行為を行うことがほとんどだが、ヒトを始めとする一部の高等ほ乳類ではオスとメスが一定期間を経る、いわゆる恋愛を通じてから生殖行為を行う。しかしどのように恋愛対象を選んでいるのか、そもそもなぜ恋愛を行うのかは解明されていなかった。
K大の弓田助教授(神経生物学)らは、ほ乳類の神経に存在するタンパク質を作り出す遺伝子の中で、遺伝子配列の一部に著しい個体差がある遺伝子を発見、CUPIDと命名した。チンパンジーの個体群を調べた結果、子供ができたオスとメスではCUPID遺伝子の配列の一致率が高いことが明らかになった。またマウスでは、精子と卵子においてCUPID遺伝子が活性化していることも発見された。
今回の発見について弓田助教授は「CUPID遺伝子はマウスの生殖細胞にて活性化していることから、その一致率が受精の成功率に関わっている可能性も考えられる。受精の成功率をより高くするため、CUPID遺伝子の一致率をもとに恋愛対象を決めているのではないか。今後はお互いのCUPID遺伝子をどのように認識しているのか研究していく」と述べている。 またCUPID遺伝子という名前については「銅原子を取り込む領域があるため、銅採取領域(Cu-Picking-Domain)の頭文字をとった。また恋のキューピッド役という意味合いも持たせている」と話している。
(2009年5月10日 ○○新聞)